- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750514451
感想・レビュー・書評
-
内戦開始初期(2012年)のシリアを取材したルポルタージュ。
本当は現地に行ってみたいのだが、それはかなわなくなった今、書籍などのメディアを通じてしか、その実情を知ることが出来ない状況のシリア。ただ、一つ困ったことがある。ジャーナリストであれ研究者であれ外交官であれ、その背景がどうであれ、「思い」が先行してしまうケースが多いのだ。思いが先行するということは、そこに判断が生じるのだ。そして多くの場合、その判断が事実を曇らせてしまうのだ。
もちろん、あらゆる立場から書かれたメディアに接することで、自分の中のシリアを作り上げることが出来れば理想的だが、それには多大な時間を必要とする。
その意味で、本書は非常に有益な本だった。目線が「被害に遭った市井の人々(特に女性)」に固定されている以外、”思い”の色が濃くないのだ。だからこそそこで何が起こったのかを、できる限り「そこで起こったこと」に近い状況で追体験できるのだ。
戦争で被害を最も受けるのはいつも、市井の人々である。その事実に対するやるせなさが、読む者にダイレクトに伝わる作品である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
月並みだが、戦争のむごさ、そこから何も生まれないことを改めて知ることになる本。
-
ちょっと古いが、戦争のリアルを知れる本。政治や歴史という大きな物語の中で、人間1人1人の小さな思いを綴った小説みたいなノンフィクション。
思いの無力さがとても歯がゆく、そして湧き上がる疑問への答えは書いていないしきっと気づいた人が自分で行動して変えて行かなければいけないのだろう。
で、どうしたらいいのか?考えさせられた。