生きていくうえで、かけがえのないこと

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著者 : 吉村萬壱
  • 亜紀書房 (2016年8月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750514826

生きていくうえで、かけがえのないことの感想・レビュー・書評

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  • 年末ギリギリに駆け込みで読了。若松英輔氏と同タイトルで出版されているエッセイ集。どの章も素晴らしいんだけど「悲しむ」を読んだ時、今まで感じたことのない感覚になった。音が聞こえなくなって、すぅっと遠くなるような…胸を締め付けられるような思い、と表現すればいいのだけど、その言葉ではとても、おさまりそうにない心境になった。

    次のページに進みたくないけど、読んでしまった以上、結果どうなるのか吉村さんと一緒に見届けないとならない…と感じた。読んでバスの中でしばらく呆然とした。

    「悲しむ」を読んで数日間、本を読めなくなった。深く刺さり過ぎて。何をしていてもそのことばかり考えてしまった。その章が好きとか嫌いとかではなく、今までなかった新しい引出しにスッと入った感じ。

  • 生きていくうえでかえがえのないこと、をテーマに選ばれた25の動詞。それについて書かれたエッセイ。多分時々繰り返し開きたくなると思う。読みやすく、面白かった。

    他の方が感想に書いていらしたような、背筋が伸びる感じや、横面を張られたような感じは私は受けなかった。
    あゝ、自分が興味を持って若い頃読んだ本が結構出てくるな、同じ世代かと思っていたら、本当に一歳違いで老いに対して共感する所が多いな、そう思った。反面、深い虚脱感に見舞われた人々の生きる難しさにこんなにも寄り添う、哀しいほど優しい眼差しを文章から感じたのは初めてかもしれない、と思った。「休む」「聴く」「働く」…そこには休むことも、働くことも、音を聴くことさえ出来ないほどに深く心の芯を喪った人々への祈りにも似た、それでも「生きていて良い社会」への願いがある。

    人の弱さ、無力さ、儚さをしみじみと噛み締めながらも、「ときめく」「見つめる」の章に何か生きることの煌めきを感じさせて貰う。

    そして「祈る」の章で「真の祈りは届かない。絶対者は何も応えてくれない。この沈黙こそが、我々の祈りに天が応えてくれたということかも知れない」略…「その向こう側は、人智を超えた領域である」との一文にとても心を打たれた。

    だから祈らないのではないない。吉村さんは多分、いつもこの地球上で起きている様々な事に祈っている人なのだ。そして「読む」で本を女性に例えた時、一番付き合いが長くて、これからも付き合うだろう女性は、ハイデガーの『存在と時間』だと言う吉村さんは、やっぱり私が唯一読み切り、心に深く入り込んだ『ボラード病』を書いた人だと思った。

    実存、存在、生きる意味、生きがい、人間が生きる価値。そんな事を沢山考えて来た人の書く言葉は、読んでいて息苦しくならない透明な水のようだった。

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生きていくうえで、かけがえのないことの作品紹介

休む、食べる、嘆く、忘れる……

わたしを立ち止まらせる
25の人間のすがた

『ボラード病』『ハリガネムシ』『クチュクチュバーン』で知られる異能の芥川賞作家による初のエッセイ集!

精神的に大きな喪失感を味わったり、希望が打ち砕かれた人にとっては、あらゆる刺激が痛過ぎて受け容れられない。そういう人が力を回復するまでには、何年何十年を要するだろう。私の身近にもそういう人がいる。「休んで下さい」「眠って下さい」という言葉さえ、その人を充分に傷付ける。
(「休む」より)

生きていくうえで、かけがえのないことはこんな本です

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