あなたがもし奴隷だったら

  • あすなろ書房
4.04
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  • Amazon.co.jp ・本 (37ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751519738

感想・レビュー・書評

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  • かつて奴隷がどのように、アフリカ大陸からアメリカ大陸へ連れてこられたかを描いた絵本。

    船にはまるで荷のようにつぎ込まれ、アメリカでは物のように売られる。
    絵本とはいえ、本当にリアルだ。

    一度読むと、次開くのに勇気がいる。
    どなたかも書いていたが、高学年か中学生以上向けと思う。

  • 黒人差別を描いた絵本はホロコーストを描いたものと同じくらい多く、名作も多いのだが、これは名作というには重すぎる内容で、絵本ではあるが中学生以上が適当な対象ではないかと思う。
     ロッド・ブラウンが描いた絵に、文章をつけた作品だが、どのページからも奴隷として、家畜やモノとして扱われた人間の、傷ついた魂から血が吹き出す様子が、読んでいる人間にも見える。
     日本人が移民したときも、窓のない船底の蚕棚のようなところに入れられ、発狂する者もいたし、死んだら海に投げ捨てたと『星ちりばめたる旗』や『草花とよばれた少女』にあったが、黒人奴隷も同じように運ばれた。違うのは、鎖で繋がれていたこと。つまり甲板に出る自由も、排泄に行く自由もなかったということ。
     今までもいろんな本や映像で見てきた奴隷たちの姿ではあるが、文章の力も強く、改めて深く自分に問い直し、考えさせられた。
     例えは、鞭打たれ、背中がズタズタになった奴隷の絵にはこんな文章が。鞭打たれた奴隷を憐れむだけではなく、「ムチ打たれる者ではなく、ムチ打つ側に立ってみてほしいのだ。」と。「血がほとばしるまでムチで打つなど、自分は決してしない…と思われるかもしれない。だが、もしもそれをすることで罰せられないとしたら?それをすれば「よくやった!」ともてはやされるとしたら?人をムチ打つことが善だと思われているなら?「悪」には人間の判断をまひさせる働きがある。困難ではあるが、自分がどれだけひどいことのできる人間か考えてみなくてはならない。それをしないかぎり、それをしないうちは、吊るし殺された人たちの見えない影が私やあなたの家の壁に落ち続けるだろう。」

  • 奴隷なんて言葉自体がおかしい

  • 奴隷制度や、奴隷が置かれていた状況がよくわかる。読み進めると、自分が奴隷だったらと想像させられるため、読むのに痛みが伴う。でも、この痛みが歴史を「理解」し、歴史から「学ぶ」うえで、とても大切なのだと読み終えたとき感じた。

    作家と画家の、心がほとばしるような文章と絵にふれたよう。すばらしい作品だった。

  • ジュリアス レスター (著), ロッド ブラウン (イラスト), 片岡 しのぶ (翻訳)

  • 強者が弱者を差別、支配、搾取する弱肉強食の世界、その象徴として奴隷制度の様子が描かれています。ジュリアス・レスター文&ロッド・ブラウン絵「あなたがもし奴隷だったら」、1999.2発行。人間同士、お互いの人格を認め合う時代が来るようにとのメッセージが込められた作品と思います。「自由」は尊く、有難いですね。日本もかつては非人、士農工商、男尊女卑の時代が、今もセクハラ、パワハラ、児童虐待・・・。自由の程度、範囲も含め、いつの世も最も重要なことですね。この(絵)本を読み、自由、平等、博愛の精神を改めて考えた次第です。

  • 平穏に暮らしていた所に
    急に肌の色や髪の色
    言葉も全く違う人間がきて
    さらわれる
    今までピンときてなかった
    人種差別が
    重く心にのしかかりました
    嫌ですね 嫌だな

  • 絵と文書が読者に語りかけてくる。ずっしりと。
    想像を掻き立てられた。

  • [江戸川区図書館]

    「子どもを本好きにする10の秘訣」>「昔話・神話・歴史」で紹介された本。

    上記の"歴史"で紹介されていたらしい。けどそれを知らず、小松川図書館の「毎日写真ニュース」コーナー(毎日新聞の、"毎日写真ニュース"で取り上げられた記事関連の本を置くらしい、これまでこのコーナーの存在は知っていたが、コーナーの趣旨を意識したのは初めて、それとも今年の春からそうなったのか?今週はキング牧師暗殺50年の年として、暗殺現場付近での行進があったから奴隷・黒人問題関連として彼の本も置かれていたらしい)で見かけて、立ち読みした。

    高学年の読み聞かせに使えるかとなかを覗いたが、表紙は一見絵本だが中はかなり字数も多く、奴隷の実態と歴史を交えつつも読者への問いかけ形式で綴った、内容的には高学年以上に相応しい?やや大人向けの本だった。分類の絵本ではなく、3分類。ただ、後半の、よく知っているいわゆる「奴隷」に対する仕打ち以上に、p6に描かれた奴隷船の状況の方が印象的かもしれない。棚のようなベッドに何段にも横たわる、手足を繋がれた奴隷たち。ただ読むのではなく、そのページの挿し絵の説明と意図、ところどころにある筆者の問いかけと彼らの物語の一部を拾い読み出来れば、中学年ぐらいでもつかえそうかも。

    同著者の「おしゃれなサムとバターになったとら」という絵本もあるらしいので、著者を知るべく、そちらも読んでみよう。

  • 淡々と語りかけ問いかける文章に、こころがズッシリと重くなる。

    絵の持つ静かな迫力。
    描かれている人の淡々とした表情にバックの空の青さが切ない。

    奴隷として連れてこられた黒人たちの本当の辛さが分かったとは決して言えないが、
    でも読む前と読んだ後では格段に感じ方が違っている。

  • ほんっっとに……悲しい……
    恐ろしい……
    酷い……

    そんな言葉しか出てきません……

  • 4-7515-1973-5 39p 1999・2・25 初版

  • 自分ならどうだろうか。
    奴隷を鞭打つことを褒められる時代に、人を鞭打つことを拒絶できるか。自分だけの善悪判断を保てるか。
    私たちの気高さには多くの顔がある。
    その言葉を信じたい。

  • もし自分の子供にと考えるといささか刺激的かもしれない、大人の私でも一人で夜部屋で読むには刺激が強いです

  • うかうかと読めない本だ。
    絵の迫力が重くのしかかってくる。
    きれいごとは通用しない。

    訳者のあとがきによると、
    著者は本文中で「人の気高さには多くの顔がある。」と述べている。
    訳者はこれを受けて、「想像する。思いやる。歴史に学ぶ。それらも人の気高さ」であり、「過ちをおかすにしろ、人間には気高さもある。そう信じて、未来を見たい。」としめくくっている。

  • 読者に想像を投げかけます。それゆえに読んでいてより切ない気持ちになりました。

  •  昨年、仲間から教えてもらった絵本である。ずっと心にかけていたのだが、今年の夏に図書館協議会の連絡会で「読み聞かせ」を研修することになり、その本として使えるかと思って購入した。
     うーむ、一読して重たい本だ。その伝わってくるものが明確で強烈で、その訴えるものの重さが、またその重要さが、ずっしりと心に乗っかかってくる。
     絵のすばらしさと問いかける文章のすばらしさとが相まって、「奴隷であること」の想像力をかき立てられる。また、その奴隷を使役する者への想像力も要求される。そう、人は被害者にもなるが、容易に加害者にも転じる者なのだ。
     今自由であること、自分が自分の主人であること、自分が自分に対して責任を持つこと、その尊い意味が改めて了解される。繰り返し繰り返し考えさせられる。
     これは、高校生に読ませるといいかもしれない。上手に読み聞かせができればもっと良いだろう。ただ、読み聞かせをするには難しい本なのかもしれないな。
     重たい、でもとても大切なものをもらった気がする。

  • もしあなたが奴隷だったら…と問いかけながら進んでいくお話。
    自分に置き換えて考えてみて

  • もし奴隷だったらかあ・・
    そんなこと考えたことなかったけど、
    人間扱いされないことのひどさがよーーくわかりました。

    冒頭の船の寝るところの描写は、
    こんな風なのを夢かなにかで見たことあるけど
    ナチスの収容所みたいで
    もっとひどそうで
    うわあ・・ってなりました

    よくこんなことできたなーと今なら思うけど
    当時は同じ人間と思ってなかったんだろうなあ
    おそろしい

  • 売られる所が1番堪えた。

    人種を限らず、売った売られたを人はしてきた。

    最近、冗談で 「女衒にお前を売り飛ばす。」と知人に言われた。
    あの時の雪辱と、奈落まで落とされたような気持ちが忘れられない。

    売り飛ばされた人の気持ちってこんな感じだろうか?と思ったり。

    鞭打つことが褒められることに繋がるとしても、誰か(奴隷)を犠牲にした時点で主人の家族も幸せに暮らせるはずがない。白人を非難しているわけじゃないよ。

    これは誰々がどうとか、人種の問題ではない気がする。

    この制度おかしい。

    自由になれても、帰る場所がない=賃金をもらい主人の家に留まる人もいた。
    留まった人の子どもは違う仕事につけただろうか?多分、それも難しい時代なような・・負スパイラルがいつ断ち切られたんだろう?

    色々考えてしまう。頭に血が上ったような感想ですまない。

  • 奴隷船の場面 改めて、アメリカ大陸の黒人の人々が一人残らず、大半は望まずに、人為的に連れて来られた事に衝撃を感じる

  • 【090131】屁をひって尻つぼめる

    :::::::::::::::::::::::::

    さる上映会で「薔薇の貴婦人」を観た。
    初めて観たのは20年近く前だろう。
    いまだ色あせぬのは名作といわれる所以か。

    その頃、
    私は若く、ギラギラしていた。
    大言を吐き、
    他人を慮ることはできず、
    徹底的に攻撃した。
    時間を売り、
    金を使い、
    快楽を求めた。

    時代もまったくその通りだった。

    私は、そう思っていた。
    しかし、いま、20年前に観た作品に触れると思い出した。
    私なりに想いを抱いて責め、
    歓びを共にしたことを。

    捨てたものじゃない。
    あの時代も。

  • 黒人が奴隷として売り買いされていた頃の、本当にあったお話。
    この当時の、アフリカから無理やり連れて来られた黒人たちのあまりにヒドイ扱いがリアルに描かれています。
    肌の色が違うだけで、これほどまでにひどい扱いを受けなければならないなんて、考えられません。
    当時、奴隷を買っていた白人にも、奴隷商人たちに対しても、とても憤りを感じます。
    同じ人間同士でこんな事が二度とあってはならない。
    子ども達にぜひ読んであげて欲しい絵本です。

  • 絵本であることの意味がある絵本。
    とにかく絵のパワー、強さが半端ない。
    絵から問いかけの声が聞こえてきます。
    僕は3度目の挑戦でなんとか読み通すことができた。

    事実を事実として見つめる、つなげる想像力。
    これこそが今最も必要な力なんじゃないか。

  • リアルな絵と共に、同じ人間として、生きる人間として、人間がすること(してきたこと)の残酷さに胸が痛みます。でも今でもこうした奴隷や差別は存在している、子どもにも「真の国際人」として 現実を見るよう、紹介したい本。

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