- Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
- / ISBN・EAN: 9784751528631
作品紹介・あらすじ
ニューヨークのメトロポリタン美術館を庭のようにして育ってきたセオの人生は、ある日とつぜん大きく変わってしまう。生活の支えだった祖父が事故で亡くなったからだ。最期に「卵の下を探せ」という謎めいたことばを残して。手がかりをひとつ見つけるたび、謎はますます深まるばかり。そして、思いもかけない歴史の暗部にまで・・・・・・。13歳の少女が活躍する極上の美術歴史ミステリー。
感想・レビュー・書評
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13歳の少女セオは、ニューヨークのスピニー通りに、働き者の祖父と数学にしか関心のない母の3人で暮らしていた。ある日祖父が急死してしまい、間もなく届けられた祖父の退役軍人年金支給終了の通知で、自分たちの収入が途絶えたことを知る。残った生活費は384ドル。彼女は、彼が最期に残した言葉「卵の下を探すんだ」「手紙が……」「それと、宝物(トレジャー)」「手遅れになる前に」を頼りに自宅の卵の絵やニワトリの卵を飾ってあるところなどを探し始める。
美術館がいっぱいあるニューヨークを舞台に、貧しいけれど美術品大好きなセオと、有名俳優を両親に持つ、探求心旺盛なボーディの二人の少女が古美術とその所有者の謎を追う美術ミステリー。
*******ここからはネタバレ*******
美術ネタがいっぱいで特にルネサンス期の作品がいっぱい登場するし、登場人物も個性豊かで作品を盛り上げる。
最後のところがちょっとうまくいき過ぎ感はありますが、それでも好奇心と探求心とで読み手をぐいぐい引っ張っていく、非常におもしろい本です。
戦争中の美術品の行方や、捕虜、収容所の人たちのことにも触れられているので、ここから関心を広げていくこともできます。
中学生向けで取り扱われていますが、大人も十分楽しめます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2017年読書感想画コンクール中学・高校の部の指定図書。
表紙の絵が好みで、読みたい!と思いつつ積読状態になっていた。
これは表紙の魅力を裏切らず、面白かった。児童書というカテゴリーに入れてはいけないだろう。
2014年にジョージ・クルーニーが監督して話題になった映画「ミケランジェロ・プロジェクト」を思い出した…観たかったが観れてない…トホホ。格差が広がる現代社会と人類の大きな過ちである第二次大戦、苦境の中の友情がどちらの時代にも光る。
余談。読書感想画は中学と高校が同じ枠で指定されているのだが、この本は今どきの中学生にはちょっとハードルが高いかもしれない。
というのは、本題までが結構長いのだ。動画世代の子ども達は前置きが長いと、「無理!」となってしまうことも多い。
近ごろのブックトークでは、「続きは、読んでのお楽しみ」では読んでくれず、最後どうなるか教えると安心して読んでくれる…という(映画やゲームのノベライズが人気なのもこのあたり)、これはもう考え方を180度変えないと本離れが加速し続けるであろう…。2019.5.24
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ロニコさん、こんにちは。
この本は、選書委員や図書館員には大好評だったのですが、子どもたちには難所があるんですね。
終わりがわかると安心...ロニコさん、こんにちは。
この本は、選書委員や図書館員には大好評だったのですが、子どもたちには難所があるんですね。
終わりがわかると安心して読むっていうのは、家の娘の一人が同じです。ミステリーは、ハラハラしすぎて読めないので、最初に犯人を知って安心して読むんですって。
ストーリーがわかっていると安心っていうのは、読み間違いの心配がないからってことなんでしょうか。
そういえば私も、英語の原書なんか読むときには、しょっちゅう迷子になる(わかっているつもりが、高度な勘が外れている)ので、絵があるとか、おおよそでもストーリーがわかっていると道案内になって安心できます。
今度ブックトークの機会があったら、ラストまで紹介するものもやってみようと思います。2020/11/26
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貧しくて日々の暮らしに苦労しながら生きている13歳の少女が、 祖父の最後の一言を元に、自分たちの暮らしを助けてくれるヒントがあるかも、と、謎解きする物語。
お爺さんが少女に託した絵には、生前少女に知らされていなかった、お爺さんの人生にまつわるストーリーが込められているのですが、少女は、お爺さんに連れられて通った図書館や美術館で培った知識と眼力を駆使して、少しずつお爺さんから託された秘密を探っていきます。
たったひとつの絵画から無限に世界が広がる醍醐味や、図書館や資料館に膨大な資料を蓄積することの意味と価値、そして、アナログな手法で情報を探し知識を掘り下げていくことの楽しさが、少女に伴走するように読み進める読者にも自然と伝わってきます。子どもの頃に読めば、少女と一緒に謎解きする喜びがもっとあったかもしれないけれど、児童書と簡単にカテゴライズするのがもったいない読み応えでした。
児童書としていいなぁと思ったのは、孤軍奮闘していたはずの少女に不思議な友人ができ、さらには、いつの間にか、少女の謎解きを自分ごととして(それぞれの興味関心から、という意味で)サポートしようと勝手でる大人たちが登場すること。
世界の名だたる絵画が常設展示でいつも見られる環境にあるニューヨーカー(ロンドンでも、パリでも、フィレンツェでも・・・いいけれど)への憧れをかき立てられる本でもありました。 -
祖父と母と、貧しくも心豊かに暮らしてきたテオ。心が不安定な母親に代わり、いろいろなことを教えてくれた祖父ジャックが不慮の事故で亡くなってしまう。ジャックが残した言葉を頼りに、塗りつぶされていた一枚の絵を見つける。この絵の謎解きに挑んでいくのだが、大切な相棒ボーディーと出会い、友情を深めていく。彼女のおかげでたくさんの人の力を借りて、絵の秘密に迫っていく。その最中でテオも知らなかったジャックの過去もわかり、心中穏やかではなくなってしまう。しかし、最後は私も驚きの展開だったし、ジャックが残していた手紙にはテオやテオの母親に対する愛情があふれていた。良書に出会えて幸せだ。
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おじいちゃんの、残した謎の暗号をめぐり、セオとボーディは絵画の謎を突き止める!傑作絵画ミステリーです。大人の読書にも耐えうる面白さ。原田マハの美術ミステリーが好きな人ならよいのでは。
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子ども向けの体裁の本だけど、大人向けのご都合主義ミステリーの比ではないくらいよくできていると思いました。物語の幹の部分もおもしろいし、味付けとしてふりかけられているメッセージもけっこうよくて、たとえば、37ページあたりに書かれている美術品に対する対峙の仕方などには、けっこうグッときました。読んでよかったです。(2017年11月25日読了)
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おじいちゃんの遺品の絵の下から現れた古い絵。
セオは友だちになったセレブのボーディーとともに、その絵の謎に迫ります。
美術に興味がないと、もしかしたらそんなにおもしろくはないかもしれないけど、2人の熱意と冒険が楽しい。
セオちゃん、めっちゃいい子で、賢いね。 -
久しぶりにぐいぐい引き込まれる面白ミステリ?だった。
絵のことはよくわからないけど、ある1つの着想から物語を拡げていったことが感じられて、興味深いものがあった。
周りの人達がうまい具合に何かしらの専門家なのはご都合主義的かも。
でも、このくらい気軽に読めて楽しめるのは良いことと思った。 -
絵の秘密のほか、祖父は絵を盗んだのか?という疑惑への謎解きとなっているところがよかった