世界で一番のねこ

著者 :
  • アリス館
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本棚登録 : 179
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (90ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784752004172

作品紹介・あらすじ

エトワールは気品にあふれたねこでした。コンテストでは一等賞に選ばれていました。ところがある日、ひふの病気になってしまったのです。美しくなくなったエトワールが、新しくみつけた自分にぴったりの仕事。ねずみとりコンテストでは一等賞をとれるでしょうか?ねこの成長物語。

感想・レビュー・書評

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  • 皮膚病になってしまい飼い主から捨てられたねこの自分探しの物語。

    拾ってくれたおじいさんにねずみを退治して欲しいと頼まれたエトワールはねずみとりに必死になる。ねずみがうまく取れなくては悩み、うまく取れても悩み、エトワールのもう捨てられたくない愛されたいって気持ちが伝わってきて切なくなる。
    最後に自分の好きな事で1番を取るためにある決意をしたエトワールが眩しい。エトワールに最高の言葉を送ったおじいさんにも泣けてしまう。
    見栄の為の競争はよくないけど、自分の好きな事やりたい事で競い合うのはいい事だし必要だと思う。そしてそれを温かく見守ってあげる人も。

    のら猫タビーの言葉が心に響いて、ルドルフとイッパイアッテナを思い出した。
    初めてねずみをとった日、おじいさんに撫でられているエトワールの顔がもう可愛くて忘れられない。

  • コンテストで一位を取った美しい猫、エトワール。
    でも、皮膚病になり、ご主人様に捨てられてしまいます。
    美しくなくなったエトワールはバイオリン職人のおじいさんに拾われ、おじいさんの役にたつよう、ネズミ取りを覚えるのですが…

    可愛らしい表紙に惹かれ、借りて来ました。
    なぜ相手を大切に思うか、それは、優れているからではない。
    読み終わってしばらくしてから、じんわりと沁みてくるお話です。

  • おじいさんが、エトワールをずっと「ねこ」と呼んでるのが、すごくいい。
    名前じゃないんだけど、愛情いっぱいで。
    おだやかな日々で、お互いを思いやって暮らしているのに、エトワールはおじいさんのもとを離れると決意する。自分を高めるために。
    旅立つエトワールの背中をやさしくなでて、手をはなしたおじいさんのセリフが、すごくいい。

    * 「おまえさんがどこにいようとも、どんなにはなれていようとも、おまえさんはわしにとって世界で一番のねこだ。がんばってくるがいい」

    ほんものの愛って、こういうのを言うんだろうな。
    しみじみ思った。

  • 息子が夏休みの読書感想文に選んだ1冊。
    さらっと読めるが、深く考えさせられる本。
    読書感想文には最適!よく選んだよ。

    息子が読むと、きっと主人公のエトワールという猫に感情移入するんだろう。
    大人の私が読むと、新しい飼い主であるおじいさん側の気持ちになる。
    「1番」になることの意味ってなんだろう?
    人のため?自分のため?
    親が子供に期待をし、子供もそれに応えようとがんばるが、それは本当に子供自身が自分で選んだ道なのか。
    親離れ子離れについて考えさせられる、児童書だけど大人に読んで欲しい作品。

  • ねこのエトワールは、ねこのコンテストで一等賞のねこでした。ある日、皮膚の病気になり飼い主に捨てられてしまいます。途方に暮れているところバイオリンを作っているやさしいおじいさんに拾われ、「ねずみとり」という仕事を与えられます。自分の居場所を見つけたエトワール。そしてねずみ取りのコンテストで一番をめざすという考えになり、悩んだ末、おじいさんに相談します。おじいさんはエトワールが自分で考えたことならばと優しく送り出してくれます。う~ん、一等賞にこだわる訳がわからない、最後は意外な結末でビックリでした。

  • 小学5年生ぐらいの時に図書館で借りて読んでから、ずっと大好きな本!自分の道を進むために、大好きなおじいさんのもとを去る猫、、、
    そのラストはとっても切ないのですが、おじいさんにとってはずっとずっと、その猫は世界で一番の猫なんですよね。
    とっても優しい絵本、絵も文もぜんぶが本当に好き!

  • コンクールで優勝するほど美しい猫だった主人公。
    けれど皮膚病にかかってしまったことで、ご主人から見放されてしまう。
    行き場を失った猫を拾ったのは、バイオリンを作ることを生業としているおじいさんで、猫はおじいさんの頼みを聞き、ネズミを捕ることを始めます。

    最初はうまくいかなかったネズミ獲りも、どんどん上達し、猫は失っていた自信を取り戻し始めます。

    頑張る猫の姿もいじらしいけれど、優しく穏やかなおじいさんの存在がじんわりと胸に迫ってきました。

  • コンテストで一等賞になったエトワールが皮膚の病気になり元の飼い主に捨てられてしまう。そこでおじいさんにねずみを取る事を約束し、家に連れて帰ってもらう。最初は失敗ばかりで中々、取れなかったが野良猫のタビーに狩りを教わり、やがて上手に取れるようになる。取れるようになると今度は取れなかった時の事を考え悩む。
    ねずみが取れても取れなくても、おじいさんにとっては世界で一番の猫だったのに、なぜさらに上を目指したのだろう。エトワールにとっての一番を目指す事を否定はしないが、ラストは読み手によって考え方は分かれるのだろう。おじいさんがエトワールに言った最後の言葉は深い愛だけど、とても寂しい。
    ねずみ取りコンテストで一番になったらおじいさんの元へきっと帰って。

  • 自信喪失したネコがバイオリン作りのおじいさんとの出会いで『特別な才能が無くたっていいんだよ』と言う事を教えてくれる物語。普通ならそれだけで心温まる話として完結するのが多いですが、その先に『自分の道を見つけ切り開いていこうとする』物語が控えていてちょっと意外でした。

  • 世界一美しいと評された猫は、
    世界一でなくなってしまい、
    捨てられる。

    たまたま、通りかかった人に
    拾ってもらって新生活をスタート。

    その生活の中で、
    猫は猫らしい?生き方を知り、
    猫らしく、
    いえ、エトワールらしく生きることを知り、
    やがて旅立つ。

    自分らしい自分を認めてもらえる幸せ、
    それがあるからこそ
    次に迎えるのだと感じる。

    新しいご主人様はステキな人だ。

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著者プロフィール

1978年大阪府生まれ。2004年、第2回ジュニア冒険小説大賞を受賞した『ねこまた妖怪伝』でデビュー。児童文学のほか、ミステリーや恋愛小説も執筆する。著書に、「2013年 文庫大賞」(啓文堂大賞 文庫部門)となった『ハルさん』、『初恋料理教室』『おなじ世界のどこかで』『淀川八景』『しあわせなハリネズミ』『涙をなくした君に』、『きみの傷跡』に連なる青春シリーズの『わたしの恋人』『ぼくの嘘』『ふたりの文化祭』などがある。

「2023年 『初恋写真』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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