カモのきょうだいクリとゴマ

  • アリス館
4.13
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本棚登録 : 177
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (143ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784752005575

作品紹介・あらすじ

卵からかえったのは…あまえんぼうのクリ、くいしんぼうのゴマ。二羽がわが家で育って旅立っていった、ひと夏のお話です。

感想・レビュー・書評

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  • 「実話です。アリス館の編集者さんから、子どもと自然をテーマに物語を依頼されていたとき、息子がカルガモの卵をひろってきて、あたためはじめました。その卵が孵化し、二羽の子ガモが成長して、ぶじに放鳥できたので、「事実は小説よりも奇なり、ですよ」と編集者さんを説得してノンフィクションとして書きました。98%は事実の、ウチの物語です。」(なかがわちひろHPより抜粋)

  • 何度も泣いてしまう場面がありました。

    生き物を飼いたいと言っている娘達がいて、
    あまりにもタイムリーでした。

    改めていのちについても学べ、
    なかがわさんの困惑や心情に涙がとまりません。

    今この本を娘達と読めて本当に良かったです。

  • 野生の生き物を育てる難しさ、葛藤が、子どもにもわかりやすく書かれている。

    いのちについて、考えさせられる本。

  • ムスメが読書感想文用にと借りてきた本・・・。

    また感想文を書きにくい本をチョイスするよね・・・。正直、感想文の良しあしって、チョイスする本におおいに左右されると思う・・・。


    どうも彼女はこの本が好きらしく、過去に何度も借りている様子。
    でも、どうみても感想文には適していないので
    「違う本にしたら・・・」
    とは助言したものの、どうしてもこれでやるとのこと。

    ・・・わかった・・・。
    確かに私も、ムスメくらいの年頃はシートン動物記やファーブル昆虫記を愛読していたよ・・・。
    (だからって感想文にはせんけども・・・)

    さて、ムスメの本を読む力および感想文を書く力を過信しているつもりはないが、最初に好きに書かせたものを読んでみたところ

    「・・・・なんだこれは・・・・」

    と、ズモォォンとなりました。
    いやいや、私も読書感想文は苦手ですよ!? うまくまとまらなくて大変苦労する口ですよ!?
    それにしても、これはひどい!

    なにがひどいって、

    明らかに内容を理解していないよ・・・!

    (ありがち)

    あらすじを書くレベルですらない。

    本を読んでみようと思ったきっかけ(ちなみに、表紙がかわいかったからとのこと)と、挿絵と写真の可愛さについてしか、触れていない。

    こんなん、ある!?
    ええんか、これ!!!

    内容云々の前に、挿絵や写真が可愛いと感じたのはわかった。
    でも、読書感想文で必要なことってそれではないからね!?

    その部分、オールカットで御座います・・・。
    そもそも
    「この本を読んで印象に残ったところってどこなの?」
    と、問いても、絵がどうの写真がどうのしか返ってこず、

    「ほんまに内容を読んでへんな・・・」

    と、なります。
    読み取れなくても、もう少しなんか、あるやろ!?

    もしかしてこの本は観察記やから、感想文を書けるほどの内容はないのか(すごい失礼)!?
    と、思い、とりあえず私も読んでみることにしました。

    わりと時間がかかるかと思ったけど、そこはそれ、児童書なので、1時間もかからずに読み終えました。

    では私の感想文、以下。




    「カモのきょうだいクリとゴマ」を読みました。
    タイトルを見たときは、
    「動物を研究する人がカモをたまごからかえす話なんだろうな」
    と、思いましたが、実際はちがいました。
    ふつう小学生の兄妹が雨の日にたまごを拾ってくるところから物語が始まります。
    ふつうといっても、わたしより動物に興味があり、たまごからにわとりまで育てた経験がある小学生なので、わたしよりもずっと動物研究家だとは思いますが。

    それでも、ツバメやスズメのひなを拾ってくるようなものかと思っていたら、違いました。
    カモは、野生動物なのです。
    野生動物ということは、いずれ野生に返さねばなりません。
    そしてひなといえど、野生であるなら人の力で育てるのには限界があると思います。

    案の定、大きくなるにつれて家の中で飼うのも庭で飼うのも苦しくなり、たった3か月後には
    「大きくなりすぎる前に、野生へ返してあげよう」
    と、近くの池へ放しに行きます。

    はたしてそれまでにどれだけカモと家族の関係が深くなったのか。
    野生に返すラストシーンはとても胸をうちました。
    できるなら、いつまででも餌をあげたい。世話をしてあげたい。寒くないかな、いじめられてはいないかな。寂しがってはいないかな。
    人間としては心配で心配でたまりませんが、だからって最後まで面倒を見ることはできないのです。

    暖かで安全な家から、仲間たちがいる、厳しいけれど自由で素晴らしい世界へ放すときの寂しさは、子離れと同じように感じます。
    子どもが心配だけれど、親が作る世界にいつまでも閉じ込めておくわけにはいかない。
    彼らは彼らの足で歩いていかなければ、未来はないのです。

    動物も人間も同じだなあ、と、しみじみ思いました。
    いつのまにか「見送られる立場」から「見送る立場」に、近付いているわたしですが、見送られる方は、見送る方ほど寂しいとばかり思っているわけではないのだと思おう。

    だって踏み出す先には、素晴らしい未来が待っているかもしれないんだもの。
    巣立つ人は、過去にばかりとらわれるよりも、時にはあっけないほど未来だけを信じてほしい。

    不安と期待を両手に抱え、たくましく巣立っていく。
    そんなクリとゴマのように、いつかわたしの子どもたちも巣立ってくれればいいなと思いました。

    (2015.08.16)

  • 生物多様性の本棚の一冊。
    「幼児向け絵本」の項目に入っているけど、大人にも面白い。読み終わった時は自然とカルガモの生態に詳しくなれる。

    子ども時代にこんな経験をしたら、一生の宝物になるだろうな。でも、まぁ、野生動物には基本的に手を出すべきじゃないわ。きれい事や美談じゃすまない。

    親ガモは、巣がある環境が危険になったら、卵を放棄することもあるんだな。それも生存戦略の一環か。

    鴨の羽色http://www.color-sample.com/colors/130/

  • 小学校中学年の課題図書なのですが、最後の別れのところは泣けました。こんなになついてかわいいんだもん。生き物好きな作者と子供さんの奮闘ぶりがありありとうかがえます。カモ兄弟は、今も元気でいるかしら。

  • ・どっさり143ページあります。カモのきょうだいについてわかるし、タマゴの中もみれます。タマゴを毎日ひっくり返す、カモのタマゴはどう育つのかもわかります。勉強になります。
    ・ポケットにいれられるところがおもしろいです。
    ・この本はゲンがカモのたまごをひろってきて、その中から2羽生まれて、その2羽が旅立っていく話です。この本の2羽は性格が大違いで2羽が水に入ろうとすると、2羽のうち1羽がこわがってもう1羽が入っておいでと言ってるようなやり取りが面白いです。

  • ある日、子供達が家に持ち帰ってきたのは、6個のカルガモのタマゴ。

    近所の田んぼのあぜ道にカルガモの巣があったのだが、大雨で巣は流されてしまい、カルガモ母さんも姿が見えない。
    そのままではカラス等の餌食になるか、腐ってしまうかのどちらか。
    もうすでに2個はカラスに食べられてしまっている。

    そこで、残ったタマゴをひろってきたのだった。

    本来、野鳥を飼うことは禁止されているが、「リハビリ」という名目で、育てる事になった一家の物語。
    いずれ必ず野生に返す、という約束のもとに・・・


    本書は2012年夏の小学校中学年向けの課題図書。

    動物園で飼育されているカルガモのヒナを見て以来、カルガモ好きになったので、前から気になっていた本。
    カルガモのヒナ目当てに毎週のように動物園に通った時期があったが、今にして思えば、よく熱中症にならなかったものだと思う。

    小学校中学年向けなので、写真やイラストも多く、字も大きめなので、あっという間に読めてしまう。

    真っ先に思い出したのはコンラート・ローレンツ「ソロモンの指環」(早川書房)の”ガンの子 マルティナ”のエピソード。
    図らずもハイイロガンの育ての親になってしまったローレンツ博士の奮闘記だ。

    マルティナは昼は2分おき、夜は1時間おきに親の「存在確認」をする。
    ここでうっかり応答を忘れようものなら、マルティナは必死の形相で騒ぎ出す。
    そのため、ローレンツ博士は、やがて寝言で応答できるようになった、と書いている。

    クリとゴマの場合も同様だったらしい。
    (夜中にも鳴いたかは定かではないが、同じカモ科なので、似たようなものだろうと想像している)

    2羽の成長の様子は、読んでいて、思わずにやけてしまう。
    黙っていてもカルガモが後をついてくる、というのは、カルガモ好きとしてはうらやましい以外のなにものでもない。

    ただ、いくら写真を見て、説明されてもクリとゴマの区別はつけられなかった。
    著者も、時々、クリとゴマを間違えていたのでは?と思う。

    が、やがて、この2羽の「個性」の違いに気がつく。
    クリは好奇心旺盛だが几帳面で臆病、ゴマは少々のことでは騒がない、のんびり屋でくいしんぼう。

    カルガモのヒナ目当てに動物園に通っていた時も、ヒナ達は、最初、カルガモ母さんの後をついていくだけだったが、そのうち、「母親べったり派」と「そっちのけ派」に分かれていたのをなんとなく覚えている。

    面白いのは、人間の子供の「反抗期」に相当する時期があったということ。
    成長して、だんだん力がついてくるので、一人(一羽)でいろいろやりたいが、経験がないので、なにかと不安、という時期があるのは人も鳥も同じなのだろか。

    世話が大変でも、楽しい日々はあっという間に過ぎ去り、やがて、野生に返す日がやってくる。
    この類の話では「お約束」かもしれないが、別れのシーンは、やはり悲しい。

    が、クリとゴマは、その後、(別々に)一度だけ「里帰り」をする。

    クリとゴマを離した遊水地から著者の家までの道程は知らないはずなのに、なぜか家の場所を正確に知っていた2羽。
    まるで飛べるようになったから、挨拶に来たかのように。

    その後、著者は、遊水地で口笛と鳴き声で「挨拶」をかわすようになる。

    最初のうちこそ、姿も見せたが、そのうち声だけに。
    次第に疎遠になっていくが、それはクリとゴマがカルガモ社会に溶け込んでいった証。

    望んだとおりの結果になったのだが、寂しさは隠せない。

    著者は、世話になった獣医に
    「今度から野鳥が保護されたら里親になって欲しい」
    と冗談交じりに言われたとき、
    「とんでもない」
    と、すぐに断る。
    それは「世話の大変さ」と同時に「別れのつらさ」があったからかもしれない。

  • いっぱい泣けたー。小学3年生の課題図書(?)でこんなに泣くなんて。作者のなかがわちひろさん、お世話がんばったなー、わんこ飼ってて子育てしててお仕事してて、それでカモのお世話。すごいなー。うちの裏の川にもカモがいて、人を怖がらないで後ろくっついて歩いてきちゃう子がいたけど、もしかして赤ちゃんの頃、人に育てられたのかしら?

  • 平成24年読書感想文課題図書(中学年)。
    大雨に流されそうになったカルガモの卵を保護し、孵化させ、野に帰す、本当にあったおはなし。
    卵は最初全部で8つあった。内2つはカラスにつつかれてひびが入ったり割れてしまっていた。最終的に孵化したのはたったの2つ。それがクリとゴマ。
    写真もたくさん載っていて可愛かった。

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著者プロフィール

東京芸術大学卒業。児童書を中心に翻訳家、作家、絵描きとして活躍。創作絵本に『のはらひめ』『たこのななちゃん』(徳間書店)『おたすけこびと』(コヨセ・ジュンジ絵 徳間書店)など、『天使のかいかた』(理論社)で2003年度日本絵本賞読者賞、創作童話『かりんちゃんと十五人のおひなさま』(偕成社)で2009年度の野間児童文芸賞受賞。

「2023年 『プリンちゃんのなつやすみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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