歓楽の家

  • 荒地出版社
4.29
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本棚登録 : 35
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784752100942

感想・レビュー・書評

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  • この間読んだ短編集、違う本2冊の両方に
    入っていた、イーディス・ウォートンの
    「ローマ熱」が面白かったから、
    図書館で取り寄せて読んでみた。
    (書庫で眠っていたよ)

    これが、とてつもなく素晴らしくて!

    また、二段組の印刷が懐かしくって!
    昔はこう言う本が多かった気がするけれど、
    最近はほとんど見ない気がしますね。

    なんだか昔図書館でせっせと本を借りて読んでいた
    自分を思い出してしまった。

    さてさて、主人公リリー・バートは
    両親は亡くなり、伯母の世話になって暮らす
    29歳の女性。

    伯母から不定期にもらえるお小遣いを頼りに
    暮らすが、美しいものが好きで、
    周りの金持ちの友達との付き合いもあり、
    また一攫千金を夢見てギャンブルにはまったりと、
    なかなか厳しい台所事情。

    大逆転を狙って金持ちの独身男性に
    近付くが、上手く行きそうになると
    わざとかの様にその話を自分から壊してしまい、
    ずっと、ミス・バートのまま。

    どうしても、お金だけの為と割り切れず、
    「このままこの退屈な人と…」と思うと
    嫌になってしまうみたい!

    一部は自分が招いたともいえる災難に襲われ、
    仲良しと思っていた人から罪をきせられ、
    華やかな世界を追われ…

    終わりの方に、ある人と
    お茶をする場面があるのだけれど、

    最初の頃の場面と繋がっていて、
    あまりの「現在」の悲しさに泣けてしまった。

    人物、状況の描写がすばらしく、
    「自分がこうだろう、と思って良い気になっていたら
    まったくそんなことはなく絶望する」と言うような
    感情の動きなんかは、ひたすら「ある」と言う感じ。

    どうなるの?、どうなるの?
    と引き込まれて、せっせせっせと読んで読んで
    読み終わってしまって寂しい!

    この本がたまらなく欲しいのだけれど、
    絶版と言うかこの出版社自体がもう存在しないのですって!

    これからは古本屋さんをみつけたらお邪魔して、
    それでも駄目なら、
    また、いよいよ久しぶりに神田に遠足などしたりすることに
    なりそう!

    美しく、気高く、リリー・バート、
    意地悪で、我儘だったけれど、
    「あの手」を使わないで、本当に良かった、と思う。

    そして、あ~ぁ、セルデン、どうしてなの?と聞きたい。
    でも、やっぱりそれは可哀想だな。(しんみり)

  • 書評家の豊崎由美さんが、時に読者と討論になる問題「訳の巧拙」。原文を読むことがない豊崎さんが、訳の拙さを指摘することに対して読者から「原文を読めないくせになにを言う」という糾弾。

    私も原文はあたれませんが、訳の巧拙というものはあり、作品を味わうにあたって割と決定的な役割を果たしていると信じる。詩心の不在、意味の乏しい忠実さ、そういう気配を感じると残念に思う。

    残念の極めつけだったのが、物語の終盤にリリーとセルデンが語り合う決定的な場面で「脱字」があること。重箱の隅をつつく気はありませんが、クライマックスなのに初歩的なミスが野放しになっている仕事は、どうなのか。

    本作、内容は文句なくしびれる。悲しいことに絶版。「新訳」が世に現れる幸運に恵まれれば、再読したい一冊。

  • 4.29/30
    内容(「MARC」データベースより)
    『18歳で華々しく社交界にデビューしたリリーは、夜更かしとダンスに明け暮れた11年を経て、29歳の誕生日を迎えたが…。リリーの下降転落の傷ましい過程をたどる。19世紀末アメリカ上流社会の破滅的世界を描く。』

    原書名:『The House of Mirth』
    著者:イーディス・ウォートン (Edith Wharton)
    訳者:佐々木 みよ子, 山口 ヨシ子
    出版社 ‏: ‎荒地出版社
    単行本 ‏: ‎348ページ

    メモ:
    ・20世紀の小説ベスト100(Modern Library )『100 Best Novels - Modern Library』
    ・死ぬまでに読むべき小説1000冊(The Guardian)「Guardian's 1000 novels everyone must read」

  • 「フランス女性の働き方 94に登場」

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著者プロフィール

Edith Wharton 1862–1937 ニューヨークの名家に生まれ、幼少時よりヨーロッパ各地に居住。中・長編小説22冊、短編小説集11冊、詩集、室内装飾本、紀行文、文学論、伝記などを出版。
代表作は、ニューヨーク上流社会の人間模様を描いた『歓楽の家』(1905)や
女性初のピューリッツァー賞を受賞した『無垢の時代』(1920)、ニューイングランドを舞台にした『イーサン・フローム』(1911)、『夏』(1917)など。



「2022年 『夏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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