同一性の謎: 知ることと主体の闇

  • 以文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784753103010

作品紹介・あらすじ

私はなぜ私なのか。人間自身の未知なる秘密を出発点に、科学や経済を陰で支える〈法〉のメカニズムを明るみに出し、西洋的制度の核心に迫る。現代思想の要である「ドグマ人類学」の創始者が高校生に向けて語る、格好の入門書。

感想・レビュー・書評

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  • ルジャンドルはフランスの法制史家でローマ法や教会カノン法あたりが専門らしい。また、精神分析家でもある。この二つの専門から、「ドグマ人類学」を提唱している。この本は大学1年生むけの講演で、「主体性の謎」について語っているが、要するに西洋文明を形成している自分ではみえない印、「向こう傷」について論じたものである。西欧はキリスト教社会だと考えられているが、そこに根深くローマ法の影響があり、現代のマネージメントやテクノロジーの発想の多くもローマ法の契約概念や、その中世的な発展に負うているという内容である。グローバリズムは理性の帰結ではなく、西欧文明の烙印を押されており、ローカルの押し売りであることが分かる。講演であるから、実例はすくなく今一つピンと来ない。

  • ボルヘス飽きたー、と思ってこの本を手に取って数ページでボルヘスの名前を見つけたときのボルヘス的迷宮に迷い込んだ目眩。

    読むには早かったかもしれないけど収穫はあったので良しとしましょう。

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著者プロフィール

1930年、ノルマンディー生まれ。法制史家・精神分析家。1957年パリ大学法学部で博士号を取得。民間企業、ついで国連の派遣職員としてアフリカ諸国で活動したのち、リール大学、パリ第10大学を経て、パリ第一大学教授と高等研究実習院研究主任を96年まで兼任。分析家としてはラカン派に属し、同派の解散以降はフリーランスとなる。中世法ならびにフランス近代行政史についての多数の研究を発表したのち、とくに70年代以降、主体形成と規範性の関係を問いながら、西洋的制度世界の特異性と産業社会におけるその帰結を考察する作業をつづけている。既訳書に『ロルティ伍長の犯罪』(西谷修訳、人文書院、1998年)、『ドグマ人類学総説』(西谷修監訳、平凡社、2003年)、『西洋が西洋について見ないでいること』(森元庸介訳、以文社、2000年)、『真理の帝国』(西谷修・橋本一径訳、人文書院、2006年)、『ルジャンドルとの対話』(森元庸介訳、2010年)、『西洋をエンジン・テストする』(森元庸介訳、以文社、2012年)。

「2012年 『同一性の謎 知ることと主体の闇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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