過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか? (アスキー新書 042)

著者 :
  • アスキー
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784756150776

感想・レビュー・書評

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  • 色々な事物に「貼る」必要性、行政と業界の調整が「スピードダウン」につながる様子がよくわかった。

  • 結論を言えば、次の通り。半導体の価格が、
    億単位で下がり、組織において「兵士」の役割を
    人間にさせる必要が、なくなってきています。



    "既存の権威や肩書きが意味を失ってすべての個人が対等に競争し、
    情報処理能力による所得格差が拡大する孤独な世界である"

    (「終章 孤独な世界の中で」P204)


    すると情報処理の方向性が、「逆流」するわけですな。


    ・士官 ←←← 兵士(軍隊)
    ・先生 ←←← 生徒(学校)
    ・YouTube ←←← 一般市民(メディア)


    詳しくはブログまでどうぞ!

    http://a-e-dkmemo.blogspot.com/2013/02/blog-post_24.html

  • 2007年12月25日に創刊された新書のため、企業や経済の情報については少し古いです。しかし
    「半導体の集積度は18ヶ月で2倍になる」
    というムーアの法則に根ざし、破壊的なイノベーションが起きてきたこと、そしてこれからも起きるであろうことを示唆しています。

    日本でイノベーションがなぜ失敗するかをはっきり述べているのが携帯電話の例です。

    (携帯電話の例)
    2007年の情報ですが、日本が携帯電話事業に失敗しつつある状況をグラフによって示しています。

    携帯電話市場の世界シェア。
     ノキア34%
     モトローラ19%
     サムスン13%
     LG7%
     ソニーエリクソン6%
     日本メーカー9%
     その他12%

    失敗の原因によく挙げられるのは、日本の携帯メーカーがガラパゴス化し世界市場に展開できないから、というのは今でもよく言われることですが、そうなってしまった根本の原因は選択した規格が失敗だったからです。
    第2世代携帯電話の標準化の際に日本がPDCというNTT規格に統一したことがひとつの原因です。GSMが世界標準となった世界市場に展開できなくなりました。当時日本市場だけ相手をしていればよかったのでする必要もなかったのでしょう。
    これを可能にしたベースは、キャリアが携帯メーカーに開発費を支払い、開発費は月額通信料金から補填するという販売奨励金の仕組みです。
    NTTが悪の権化なのだと思いますが、携帯メーカーはキャリアから自立しなければならないのでしょう。問題になるのはどうやって開発費を捻出するかということです。

    (ムーアの法則がもたらすものとかわらないもの)
    ムーアの法則でコンピュータの性能がどんどんあがるという流れは半導体の集積度の限界(集積の限界=分子レベルの限界)に達すると思われる今後10年はかわらない、といわれています。

    コンピュータの性能があがっても、追いつかない部分はいったい何なのかを考える必要があり、それはコンテンツや人間の関心だといいます。
    ネットワークが充実し、さまざまなコンテンツを簡単に見ることができるようになった今、関心が分散され、全てを見切れない状態になっています。
    また、そのコンテンツ自体についていうと日本の場合、その利用裁量が著作権によってがんじがらめとなっています。
    *著作権については少し勉強が必要だと個人的に思いました。

    とにかく日本は要素技術には優れているのに、規制によってがんじがらめになっているので全然だめだという事例が多くあることがわかりました。2007年からわかっていたことで、エルピーダメモリ、SHARPの件など、今も変わっていないのが残念です。

  • ムーアの法則によりハードウェアそのものの価値は破壊され、情報取得コストの著しい低下をもたらした。結果、情報の氾濫を引き起こし21世紀型の国境を無意味にする新世界が創設された。さらにそれはネットを統制しようとする国家との間で戦争までも引き起こしている。この先どうなるかは未知数であるが、変化の胎動を感じさせる。。。

  • ムーアの法則でIT業界ができたんじゃなくって、結果論的にムーアの法則だと思うんだけど。ITがどういう風に成長していったかはわかりやすかった。

  • 「半導体の集積度は18ヶ月で2倍になる」インテルの創業者ゴードン・ムーアが1965年に提唱したこの法則は、急速な変化を続けるコンピュータの世界にあっていまだ生き続けている。そして大量に普及したコンピュータが、世界中のすべての人をネットワークにつなげようとしている。ITの爆発的なイノベーションは、既存の産業構造や経済システムそのものを破壊し、全く新しい世界を創造するほどの威力を持っているのだ。コーエンの『大停滞』とは、全く違うイノベーションの見方。

  • NTTは銅線は公社時代に国民負担で建設したものだが、光ファイバーは民間企業として敷設しているので、規制対象からはずしてほしいと総務省に要求しているが実現していない。NGNがまたNTTの独占に戻ってしまう可能性があるが、結構なことだと思う。
    ブログもサイトもどれだけ多くのサイトからリンクを張られているかが大切。ということは被引用論文と同じということか・?
    携帯電話メーカーは中国市場には食い込めずに最後まで残っていたNECも撤退した。シャープは健闘しているね。
    1998年にはゼロだった中国メーカーも2003年には55%までになった。
    IT業界のマーフィーの法則
    1.最先端の技術をい使い、これまで不可能だった新しい機能を実現する。
    2.数百の企業が参加するコンソーシアムによって標準化が進められる。
    3.政府が「研究会」や「推進協議会」をつくり、補助金を出す
    4.メディアが派手に取り上げ、「2010年には市場がXX兆円になる」などと予測する

  • 初めて池田氏の本を読んだが、この人すごい。わかりやすい。

  • [ 内容 ]
    ここ半世紀に起こったイノベーションの数々。
    それらはすべて「半導体の集積度は18カ月で2倍になる」という「ムーアの法則」に支配されたものだった。
    多くの企業がこれを利用して急成長し、あるいはこの威力を見誤って消えていった。
    史上もっとも“破壊的”な経済法則を手がかりに、コンピュータと情報技術の世界の未来を展望する。

    [ 目次 ]
    序章 ビッグ・ブラザーの死(オーウェルの予言 1984年のコマーシャル 中央集権システムの終焉)
    第1章 ムーアの法則とは何か(トランジスタからICへ ゴードン・ムーアの予言 コンピュータという万能機械)
    第2章 ムーアの法則で何が変わるか(情報インフラはコモディティ化する 問題はボトルネックだ 人間がボトルネックになる 情報は個人化する 垂直統合から水平分業へ 業界の境界はなくなる 中央集権かた自律分散へ 系列関係から資本の論理へ 国際化からグローバル化へ)
    第3章 ムーアの法則にどう対応すべきか(情報コスト1/100の世界を想定する 水平分業で生き残るには ものづくりからサービスへ 産業政策から資本市場へ)
    終章 孤独な世界の中で(ITは格差を拡大する 放たれた魔物)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 池田先生様のご本。
    blogでは時としてハチャメチャだけど、この本はちゃんとしてる。
    特にムーアの法則を経済の観点で説明しきってるところが面白い。

    しかし、その法則をデジカメのセンサーに当てはめてみても将来が見えないのが痛い。フォーサーズは売れるの?フルサイズは売れるの?

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著者プロフィール

1953年生まれ。東京大学経済学部卒業後、日本放送協会(NHK)に入局。報道番組「クローズアップ現代」などを手掛ける。NHK退職後、博士(学術)取得。経済産業研究所上席研究員などをへて現在、アゴラ研究所代表取締役所長。著書に『イノベーションとは何か』(東洋経済新報社)、『「空気」の構造』(白水社)、『「日本史」の終わり』(與那覇潤氏との共著、PHP研究所)、『戦後リベラルの終焉』(PHP研究所)他。

「2022年 『長い江戸時代のおわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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