おこまの大冒険〜朧月猫の草紙〜

著者 :
  • パイインターナショナル
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784756244291

作品紹介・あらすじ

舞台は鎌倉。カツブシ問屋のメス猫おこまちゃんは、ある事件から、恋しいとらさんと駆け落ち。ところが、待っていたのは、山あり谷ありの数奇な運命だった…。物語を彩るのは、お姫様や奥女中、彫物師や漁師、それに、立ちすぎるくらいキャラの立った大勢の猫たち。江戸時代の猫好きコンビがおくる、メス猫おこまの一代記。

感想・レビュー・書評

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  • 時折ちょうどよい塩梅で解説が入るもよい。
    駆け落ちからはじまる恋の大冒険が本当に手に汗握る展開。(正直江戸時代の風俗にさほど詳しくないので展開が読めないからというのもある。)
    絵本としても、色彩がきれいで、なにより表紙の質感とデザインが素敵だと思う。

  • 山東京伝、歌川国芳による戯作本の現代語訳。
    オリジナルを左に、右に現代語訳とさらに注釈などが加えられていて
    物語の背景や当時の状況などが把握できる。
    昔の日本人ってこういう小さいものを面白がったり愛でる心があって
    生活は厳しくても気持ちに余裕があるんだろうな。
    国芳による江戸期の風俗絵がこんなに多くて幸せ。
    狐忠信のパロで締めくくられていて面白く読めた。

  • 歌川国芳と山東京山という江戸時代の人気絵師と戯作者が生み出した猫の冒険譚をわかりやすく現代語訳された1冊だ。
    見開きで、片側に現代語訳(訳注なども時折入ってわかりやすい)もう片側に当時の刷本が対になって並び、当時の雰囲気を楽しみながら現代の言葉で物語に触れられる。
    この時代から動物を擬人化して主役に据える物語ってあったんだなぁと興味深い。
    物語はかなり奇想天外というか、「えっ、ここで死んじゃうの?」というような驚きの展開を見せたり、子供向けの草子、と言いつつけっこう際どい性的な話が出てきたりと、現代の感覚とは異なる雰囲気も面白い。

  •  原題『朧月猫の草紙』、歌川国芳の挿絵付の長編絵草紙。猫が主人公で、人間と擬人化された猫が同じ絵に収まっていたり、そうかと思えば別の絵では人間と猫だったり。登場人物の身の上の交錯や伏線も多数。市井の様子や町娘の武家奉公、仇討ちや因果応報など生き生きとした娯楽要素たっぷりだ。
     また、ストーリーや場面は歌舞伎のパロディだったり、挿絵の猫の顔は実在の歌舞伎役者由来だったりだという。同時代の読者はさぞ楽しんだことだろう。
     他方、天保の改革の影響で途中から話に説教くささが増したり、その時々で挿絵が地味になったり、というのもこれまた当時の雰囲気が分かる。

  • 山東京山作、歌川国芳絵の『朧月猫の草紙』の現代語訳、金子信久訳

  • 森川楓子さんの、「国芳猫草子 おひなとおこま」のあとがきで紹介されていたので、読んでみました。

    作:山東京山(京伝の弟)・絵:歌川国芳、「朧月猫の草紙」を現代語訳した一冊。
    波乱万丈すぎる展開の中に、京山と国芳の“猫愛”があふれていて、何とも味わいのある物語に仕上がっています。
    原本(?)が片側にあるので、当時の雰囲気も楽しめます。ちょいちょい広告が入るのもご愛嬌。
    そして巻末の、国芳カラー刷絵はまさに芸術です。

  • 江戸時代にもねこブームはあった。現代と何も変わらない。むしろ江戸時代は犬の野生味が強かったぶん、猫の方がおとなしく人間に寄り添う友として身近に感じられていたなど、カルチャーショックを受けた。ねこは最高。

  • 歌川国芳が挿絵を描く,ネコが主人公の浮世草子全7巻(各巻上下なので全14冊)を合冊し,現代語訳をつけたもの.
    この時代の文学をそれほど読んだわけではないので位置づけがよく分からないのだが,随所に歌舞伎などのパロディがあると聞けば,ああなるほどと思う.
    ノリ的には「弥次喜多」かな? ネコ好きは読むといいと思う.

  • 江戸時代の草紙の現代語訳。横長の綴じ方でなんとなく草紙っぽい装丁です。

    物語もおもしろく歌川国芳の挿絵がとても良かったです。

    江戸の文化もわかりますし、歌舞伎の風刺も入っていたりと当時の状況もわかります。

    何度か読んでみたいネコ本です。
    (以上、ブログ全文です。)

    ブログはこちら。
    http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4741628.html

  • 訳がざっくりなのでせっかくの影印なのに読み下しに時間がかかってしまうのはわたしの力不足のせいだとして(あくまで突き合わせに向かないだけで、雰囲気を味わうにはとても素敵な訳だと思います)、とにかく猫たちがかわいい。お膳の前に座る子猫の姿にやられました。
    中身はいかにも戯作!といった雰囲気で、波乱万丈なストーリーと合わせてさらさらとパロディを味わう感じでしょうか。こういうの大好きです。

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著者プロフィール

金子信久(かねこ・のぶひさ)
1962年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。福島県立博物館などを経て、府中市美術館学芸員。担当展覧会に「亜欧堂田善とその系譜」(福島県立博物館、1990年)、「司馬江漢 西洋との接触、葛藤と確信」(府中市美術館、2001年)、「亜欧堂田善の時代」(府中市美術館、2006年)、「リアル 最大の奇抜」(府中市美術館、2018年)など。「亜欧堂田善の時代」展の企画と図録論文で第18回倫雅美術奨励賞受賞。主要論文に「亜欧堂田善の銅版江戸名所図群に関する絵画史的検討」(『国華』1220、1997年)、「迫真と形象化‐司馬江漢と亜欧堂田善の油彩画」(『民族藝術』22、2006年)、「司馬江漢 西洋風景人物図屛風」(『国華』1336、2007年)など。著書に『日本美術全集14 若冲・応挙、みやこの奇想』(共著、小学館、2014年)、『もっと知りたい長沢蘆雪』(東京美術、2014年)、『子犬の絵画史 たのしい日本美術』(講談社、2022年)ほか多数。

「2022年 『作って発見! 日本の美術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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