世界の美しい本 (Pie × Hiroshi Unno Art)

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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784756247049

作品紹介・あらすじ

美しい「紙の本」の壮大な歴史と物語。中世の豪華な装飾写本、初期の印刷本、17‐18世紀の挿絵と図鑑。ウィリアム・モリスによって定義された「美しい本」、19世紀のプライヴェート・プレス。モダン・デザインとアヴァンギャルド、タイポグラフィの発達、花の様式の変遷etc。

感想・レビュー・書評

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  • 「おとぎ話の古書案内」の海野弘さんによる監修。
    本の歴史を、「美しい本」に特化して時系列に沿って紹介してくれる。
    きらめく箔押しの表紙画像だけでも驚きでしょ?
    中身もフルカラーで、目もくらむような仕上がり。
    収納せずに、いつでも見えるよう書見台に立て掛けて置きたい。

    始まりは、かの「ケルズの書」から。
    この800年頃の「聖なる本」は、スコットランドの小島の修道院で制作されたらしいが、ヴァイキングの襲撃にあい、僧たちはこの本を持ってアイルランドのケルズ修道院に逃れたという。巨大なイニシャルの飾り文字が、圧倒的な迫力だ。
    やがて写本の黄金時代に入るのだが、ひとつ認識していなかったことがあった。
    文字だけでなく、装飾の部分も手書きなのよね、考えてみれば。
    絵具も手製で、彩色もひとの手によるもの。そう思ってアラベスクのくるくるとか眺めていると、古の人々への尊敬の念がふつふつとわいてくる。
    ちなみに表紙画像は、イタリアの「ヴィスコンティ家のための時禱書」。
    (時禱書とは祈りを捧げるための一年間のカレンダーのようなもの)

    ルネサンス期に入ると装飾も様式化され、見た目が整然としたものに。
    2014年に14億円で落札されたという「ロスチャイルドの祈祷書」もある。
    なんと人や花に影が描かれ、立体感を出している。見つけたときは感嘆の声をあげた。
    グーテンベルグの「42行聖書(1455年頃)」も載っている。数えたら本当に42行・笑
    そしてやはり19世紀末のウィリアム・モリス。この名は決して外せない。
    「本の歴史」にもあったが、美しい本を作るための基礎的な条件を明らかにしたという点が大きな功績だ。モリスによる手製の本も載っている。

    20世紀にはいると、皆さんよくご存じのミュシャの「アール・ヌーヴォー・デザイン」が生まれ、日本にもやってくる。美しい本の、世界史的な流れも生まれる時代だ。柔らかく流れるような線の絵は、アーサー・ラッカムやニールセン、デュラックで黄金期を迎える。
    もうね、こんな説明などより、とにかくため息ものの美しさだから見てみてね。

    本書の良い点は、後半に「装飾の花園と理想の文字を求めて」として、ボダニカルとカリグラフィのふたつの出会いが載せてあることろ。
    読書家ではないけど園芸家である私などは、ここが最も喜んだ箇所だ。
    ひたすら美しいバラを描き続けたルドゥーテ。
    英国のヴィクトリア期には、女性のための花の絵が人気を博し、描き方の手引書も求められたらしい。そして、妖精の絵も生まれていく・・

    とまぁざっと載せてみたけれど、ひとつ面白いトリビアを。
    東洋では「蔵書印」というものが一般的だけど、西洋では「蔵書表」が流行ったらしい。
    15世紀に印刷所で発明されたもので、「これは私の本」というしるしに、小さな木版画の紙片を奥付の辺りに貼るというもの。
    注文主のために制作したもので、世界にひとつの蔵書表がそれぞれあったことになる。
    このイラストが驚くほど凝っていて美しい。いや、ちょっと羨ましいほどだ。

    電子書籍でしか読書はしないという方も、今や珍しくない時代だけど、私たちの祖先が書物にかけた願いまで忘れるわけにはいかない。
    目先の便利さとは無縁のところにも、書物の良さがあるのではと思う。
    私も電子書籍はよく読むし、コレクターでもない。
    それでも「美しい本」に出会った喜びはまた格別なのだ。
    見つけたら是非開いてみてね。眼福以上のものがあるから。

    • nejidonさん
      佐藤史緒さん、コメントありがとうございます!
      はい、もうそれはそれは自信をもってお薦めする本です・笑
      レビューにも書きましたが、手書き、...
      佐藤史緒さん、コメントありがとうございます!
      はい、もうそれはそれは自信をもってお薦めする本です・笑
      レビューにも書きましたが、手書き、そして手彩色の時代にあって書かれた「ケルズの書」です。
      ページいっぱいに掲載されていますので、歴史的芸術品をよーくご覧になれます。
      どのトピックも非常に捨て難く、これだけの記事にするのも大変でした。
      ぜひポチって(笑)時を忘れてお読みくださいませ。
      ちなみに青い色はラピスラズリから取った色だそうです。
      どんなに高価だったことでしょうね。
      2020/07/27
    • 佐藤史緒さん
      nejidonさんの偏愛トークに負けて先ほどポチってしまいました!
      本棚が遠のいた〜(>_<)
      でも、ケルズの書、ウィリアムモリス(いちご泥...
      nejidonさんの偏愛トークに負けて先ほどポチってしまいました!
      本棚が遠のいた〜(>_<)
      でも、ケルズの書、ウィリアムモリス(いちご泥棒が好き♡)、アールヌーボー、アーサーラッカムと聞いたら、もう読む前からうきうきしてしまいます。
      今週末に届くので、楽しく自粛できそうです♪
      2020/07/27
    • nejidonさん
      佐藤史緒さん、ありがとうございます・笑
      ようこそ偏愛本の世界へ(^^♪
      こういった本は、すぐ絶版になって古書店入りしそうですよね。
      そ...
      佐藤史緒さん、ありがとうございます・笑
      ようこそ偏愛本の世界へ(^^♪
      こういった本は、すぐ絶版になって古書店入りしそうですよね。
      そうなるとますます入手が難しいでしょう。
      どうぞ楽しまれますように!!
      2020/07/27
  • 箔押しのキラキラした表紙。
    大判フルカラー。
    写本から印刷本まで。
    美麗なイラスト、ルネッサンス、ゴシック、アールヌーボー、アールデコ。
    モダンでキッチュに、ダダ、アウ゛ァンギャルド、バウハウス。
    花文字、飾り罫、タイポグラフィ。
    美しい本のエッセンスをつまみ食いできる本。

    読み慣れないチャレンジ読書の合間のオアシスでした。
    大好きなカイ・ニールセンやアルフォンス・ミュシャもちらりと出てきてテンション上がった。

    アート・ディレクション / 原条 令子
    デザイン / 八田 さつき

  • 特に最後のタイポグラフィのところはかなりためになった

  • きれいな本の装丁を見るのが好きなので借りる。写真をめくりながら見る。

  • 発見した瞬間、ドッキドキした!他の種類(ウィリアムモリスや、ミュシャ、バルビエ、などなど)もずっと手元で眺めたく、何を買って本棚に置こうかをとても悩む。中を開いて目眩く美しい本の世界に入ったら時間を忘れて没頭してしまうこと間違い無い。

    ウィリアム・モリスが印刷とアートを繋げ、美しい本の基本的条件を整備し、次の世代に繋げた功績が偉大。
    見返しの薄い紙がすき。

  • 特に本の表紙の装飾が興味深かった。本来あまり装飾が施されないものにジュエリーのような装飾がなされるだけで、その価値は一際高いものになる。

  • 本の装飾について書かれた本が読みたかったので、取り上げられている内容については満足なんだけど、活字での解説がもうちょっと欲しかった。

  • 流し読みをした。
    思っていたのと少し違ったかな。

  • <閲覧スタッフより>
    豪奢な中世の写本、精密に書かれた博物図鑑や植物図鑑、20世紀のアーティストブックなど、まさに「美しい本」としか言いようがありません。ページをめくってその美しさをお楽しみください。
    --------------------------------------
    所在記号:022.57||ウン
    資料番号:10237320
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  • 昔の美しい手彩色の本のページがいっぱい、載ってます。
    学校にいれるかいれないかはともかく、司書は一度は眺めておいたほうがいいでしょう。
    ちなみに青い色はラピスラズリなので、そういうのはお高い本なんですよ。

    2018/08/22 更新

  • 中世までは基本聖書。
    図鑑、ウィリアムモリス、おとぎ話、ファッション誌、などなど、時代を下ると。
    ミュッシャの祈祷書が好き。

    女性のための花、妖精。
    タイポグラフィなんかもある。

  • ◆きっかけ
    ブクログ。『世界の美しい鳥』を検索しようと「世界の美しい」で検索をかけたらこちらもヒットして気になって。図書館にあれば見てみたい。2017/4/15

  • あかん、もうこれ絶対欲しくなるヤツや!!!!!

  • 読書日:2016年12月1日-3日
    Original titile:BEAUTIFUL BOOK DESIGNS.
    From the Middke Ages to the Mid 20th Century.

    本の装丁で欧州や新大陸等の歴史を垣間見る事が出来ます。

    それからDesignsを見ているのに、装飾が写実的なものもあり、途中から美術館等で作品を見ている不思議な感覚になる事もあり、終始楽しく読めます。

  • <美しい本>として、それ自体がクリエイティブで、美しさを放つ本を時系列で紹介しています。印刷して映える紙、字体の創造から彩色、装幀、レイアウトに至るまで、一冊の本のなかに、トータルに美の世界を築きます。ウィリアム・モリスの取り組みが1番の功労ですね。中禅寺湖畔の旧英国大使館別荘もモリスの装飾に飾られていました。彼は英国の美意識の規範ですね。まさに期待通り!見事な監修の海野さんの一冊です。

  • 綺麗なものは、見ていて楽しい。

  • 美術品としての本。実に美麗だがそれだけに実物も見たくなる。ただ眺めて眼福を得るも良し、解説・コラムで本の歴史を学ぶも良し。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:020.23||S
    資料ID:51600175

    世界一美しい本といわれるケルトの装飾写本『ケルズの書』から始まり、手彩色の豪華本全盛期の中世の装飾写本、アール・ヌーヴォー、デコ期のデザイン書籍まで、美しい本が体系的に解説付きで紹介されています。
    (生化学研究室 大塚正人先生推薦)

  • 昔の本って、貴重だなあ。
    今みたいに量産できないから、高価だったろうな。
    そのせいか、本の装丁のこだわりが半端ではない。
    ミュシャの絵がすてき。挿絵にぴったり。
    飾り文字も美しい。
    日本にはこういう文化はなかったのかなあ。

  • 目の保養!素晴らしい装丁の数々は美術書といっても!

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