情報都市論

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制作 : NTTデータシステム科学研究所 
  • NTT出版 (2002年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757100671

情報都市論の感想・レビュー・書評

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  • 値段に対して相応しいだけの内容をしっかりと提供してくれる、もちろんそれ以上の話しも詰まっている

    建築をやっていて、情報と言う言葉に興味があるのなら入門書としては最適な本の一つと言えそうである。
    実際に隈研吾さん、古谷誠章さんという情報系へのアプローチを見せるコンペ・プロジェクトで有名な両者ならではの論は、近代建築の流れがどのように情報化と言う言葉の中に消化されて行くかを考えさせてくれる。

    もちろん、建築以外の人たちの話しも興味深い
    情報化と呼ばれる現象の中に潜む魔物を次々に解明していってくれる。そして、それがある意味の新しさとある意味の古さを持っている事を

    本書の中に石川英輔さんの江戸時代に対しての論述が納められている点は大変興味深い。それは、現在SNS上で起こっている出来事と大変リンクしてくる。趣味の世界が持つ繋がり、多重人格主義的な世界にとって、そして都市の部族と呼ばれる世代にとって、これほど類似した世界は江戸を抜いて中々ないのかもしれない。

    その論述は、山田雅夫さんが機能を住・職・学・遊と分けた時の後ろ二つに通じる、特に「遊」に対して
    われわれのネットの世界を小さくしているのは、この「遊」の領域の世界なのかもしれない。

    それは、若林幹夫さんがネット空間を現実空間に対する「空き地」、「鏡」という言葉を比喩として使うところにも現れているだろう。現実空間と実生活、仕事=「職」「住」の領域に対して「鏡」の位置としての「学」「遊」
    もちろん、人によってはネットと現実が逆の関係性を持っている場合もある。我々はそれだけ自由な選択が出来る環境にあると言えるだろう。

    多くのネット関係の人間の言葉では、インターネットのいいかげんさと自己責任性を絡ませて論じる。自由と自己責任の関係がこんな所で復権してくる予感を感じさせてくれる場面である。

    小さな世界を構成するスケールフリーネットワークは多くのクラスターを持って、同時にそれは一つ一つが異なる部族である。その多様な部族の塊が密な複雑ネットワークを形成しているのである。それは、既存マスメディアのようなボトルネックな渋滞発生メカニズムの端緒となるような形式ではなく、あらゆる場所から口コミが広がる不思議な世界である。

    解明されつつあるweb世界の兆しを
    この本は提供してくれる事だろう。
    少なくとも、値段相応の分だけ

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