カルチュラル・コンピューティング―文化・無意識・ソフトウェアの創造力

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著者 : 土佐尚子
  • エヌティティ出版 (2009年8月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757102613

カルチュラル・コンピューティング―文化・無意識・ソフトウェアの創造力の感想・レビュー・書評

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  • そもそもアート&テクノロジーの歴史は、1960年代後半に活動していた前衛芸術グループ E.A.Tから始まります。グループの中心を占めていたのは、当時AT&T社のベル電話研究所に在席していたエンジニアです。そこへロバート・ラウシェンバーグ、ロバート・ホイットマン、ジョン・ケージらの著名なアーティストが参加して、ニューヨークを拠点に、美術、ダンス、音楽、映像などの各ジャンルを横断した、アートとテクノロジーの境界を追求する活動を展開しました。E.A.Tは、1967年にMITに設立されたCAVSの母胎となったグループです。そこには、当時、米国に亡命して、MITの建築学科の教授になったバウハウス(産業復興とデザイン運動)のジョージ・ケペシュがいました。彼は、建築の枠にとどまらず、アーバンライフ、環境と生命、芸術と科学の融合といったさまざまな分野で大きなムーブメントを生み出します。ケペシュはその思想をもとに、アート&テクノロジーの研究所(CAVS)を創設し、初代所長に就任しました。米国が新しい芸術に夢と希望を託していた1968年のことです。アート&テクノロジーの研究所としては、個々が歴史的に一番古いものです(現在は、MIT博物館メインギャラリーの三階にあります)。またパフォーマンスやコラボレーションの先駆的な役割を果たすなど、後の世代に与えた影響は大きいと言えます。
    (p.21)


    メディアアートの定義・分類
    1.コミュニケーションに関するメディアアート
    2.機械やロボットに関するメディアアート
    3.物語性を導入したメディアアート
    4.環境や都市デザイン、建築に関するメディアアート
    5.ナノテクノロジーやバイオテクノロジーを使ったメディアアート
    6.IT技術と伝統文化を融合したメディアアート
    (p.39)


    ニューロンのモデル化は、ニューロンの働きを情報の入力と出力に分けます。入力された情報は、閾値を超えたときにのみ出力されます。それぞれの重み付きの入力の総和が各ニューロンで設定されている閾値を超えたとき、発火したものとみなし、他のニューロンに信号を送るのです。
    使用した学習方法は、バックプロバゲーション(誤差逆伝播法)として、入力層、中間層(隠れ層)、出力層の山荘から構成されるモデルで達成に向けて修正を加えていきます。
    以上が使用したニューラルネットの基本情報です。最初に決めるべきことは、何を入力して、何を出力に決めて、何を補完するかという設定であり、その三つの情報がきわめて重要なのです。
    (p.53)


    文化の差という意味でも物語は興味深いテーマを提供してくれます。興味深いのは、世界の神話おとぎ話は、それぞれの国の文化にあわせて状況やシーンは変わっているけれど、大まかな文脈は同じであるということです。例えば「シンデレラ」の基本文脈は、(略)。世界最古のシンデレラのモデルは、九世紀に編纂された「西陽雑爼」に収められている、段成式によって書かれた中国の葉限(イェ・シェン)あると言われています。古代エジプトの伝説の『ロドビスの靴』、日本では、新潟県の民話である「糠福と米福」もシンデレラ話です。それぞれの文化によって、シンデレラのガラスの靴が「歌の詠み比べ」になったり、魔法使いが「魚」であったりします。
    (p.83)


    今こそ、我々に深く内在する民族性の物語を文化的に体験できるシステムを研究する時期にきています。いままで定量化できなかった主観・感性・民族性・物語性といった人々に内属する分かの本質をノンバーバル情報とバーバル情報を統合することで、インタラクティブに表現する研究を提案します。さらにこれに未来のコンピュータのコミュニケーションに欠かせない、感情・意識・記憶の違いを反映させるストーリーテリングの手法を統合したものを「カルチュラル・コンピューティング」の概念とします。
    (中略)
    このようなシステムができてくると、文化をかたどる精神をシミュレートすることが可能になります。またその課程をコントロールすることにより(たとえば仏教伝来の時を仮定した場合など)、任意の文化の精神をインタラクティブに体験することも不可能ではありません。さらには他国の文化を取り入れた新しいポップカルチャーの可能性を探ることなども可能となります。
    (p.124)


    文化人類学者エドワード・ホールは、著者「かくれた次元」の中で、空間の利用が文化によっていかに異なるか、すなわち異なる文化に属する人はちがう言語をしゃべるだけでなく、ちがう感覚世界に住んでいるということを述べています。彼はこれを、「プロクセミックス(文化の近接学)」と呼びました。ホールは、人間に置ける距離を「密接距離」「個体距離」「社会距離」「公衆距離」の四つの距離にわけています。「密接距離」は、愛撫・格闘・保護のきょりです。「個体距離」は、手億訂の個人とコミュニケーションを取る距離、「社会距離」は、個人ではなく業務や社交場の対話、「公衆距離」は講演会の演説などの距離です。各国の文化特質の違いが、このプロクセミックスである程度は説明できます。人間の中で、それぞれの距離に結びつく行動と関係を結びつけたいという願望が、関係の方を作り出しているからです。つまり、人々がお互いにどんな気持ちを持っているかということが、お互いの距離を決めます。
    (p.125)


    「科学者は人間の意識はカオス的な性質をしていると考えている。私たちは、カオス的な機構を取り入れることによって、インタラクションをより多彩でダイナミックなものにするだけでなく、ユーザの意識において核となる課程を反映することを狙う」と、カオスエンジンを設計したカオス研究者のピーター・デービス博士(当時ATR適応コミュニケーション研究所、自立研究室主任研究員)は述べています。
    (略)
    これをさらに進めて、カオス的機構は我々の体や心のすべての即興的な働きを支えている本質的な機構であると言うこともできます。この考え方に従えば、すべての考えられるプロセスは、個々の小さな押したり引いたりというダイナミックなプロセス-そのそれぞれは我々の物理的身体と外界世界のインタラクションを反映している-を複雑に組み合わせたものによって説明されると考えられるでしょう。
    (略)
    カオスエンジンは、我々の「自己」が持っている複数の基本要素を模擬した、多数のダイナミックな要素から構成されています。
    この「自己」は通常二つの相反する要素から構成されており、それらは時には同調して動作し、また時には相反する動作を行います。これらの同調と背反する課程を「カオス的同調」と呼ぶことができます。
    これは音楽における純粋な和音間の同調と似ていますが、より複雑で微妙な性格を持っています。また、ときには、これらの二つの要素は外界世界からの圧力や吸引に単に受け身的な立場で反応します。また、別の時にはそれらはお互いにロックしあい、外界とは完全に独立した動作を行います。またさらに別の場合は、それぞれの要素が全く独自の即時的動作を行い、自分自身が持つ独自のメカニズムに基づき、まったく外界からの制御を寄せ付けず独自の動きをします。同時にそれらの結果を自分自身にフィードバックすることにより、いずれが制御する側/制御される側と分つことにできない無秩序な動作モードに入ることもあります。
    安定しているときは、このカオスエンジンは、あたかも通常の制御装置のような動作をします。しかしながら、上に述べたような他のモードにおける動作の可能性を持っているため、このカオスエンジンの機構はよりダイナミックで、即興的でかつ創造的な動作をする可能性を持っています。
    (p.161)

  • メディアアートの進歩はITの発達に伴い多様化している。
    インタラクティブ漫才なんてのもあるらしい。
    MITは頑張っているアジア系と賢いユダヤ人で成り立っていた。学生の60%以上がアジア系で、優秀なユダヤ人教員が多い。
    アジアに潜む深遠な世界観と西欧のビジュアルアナロジーの融合

  • カルチュラル・コンピューティング 感情や俳句など日本の文化をコンピュータで表現しようとしている著者の研究についての本。ちなみに、amazonで星5個つけている人はこの本にもでてくる著者の知り合い。 http://is.gd/2bvpK

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