- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784757121904
作品紹介・あらすじ
様々な「社会的課題」の解決にビジネスとして取り組む「社会的企業」とは?社会的使命を掲げる新しいビジネスが生み出すソーシャル・イノベーション。感動するビジネスが日本を変える。
感想・レビュー・書評
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事例集。
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社会的な課題の解決をビジネスの仕組みを持って取り組む、それが本書で取り上げる社会的企業(ソーシャル・エンタープライズ)です。
今世界中には様々な社会的な課題が存在しています。
ホームレス問題、環境保全、高齢者・障害者支援、青少年の教育支援、途上国支援、貧困問題等。
大きな政府の限界がある(世界の流れが小さな政府に向かっている)一方で、価値観が多様化している。
社会的企業(ソーシャル・エンタープライズ)はいわゆる慈善活動、ボランティアとは異なります。
市場で社会的な商品やサービスを提供したり、新しいビジネスモデルを作っていきます。
そこでは一つの事業として回っていくような仕組み作りが求められている。
したがって先ず社会的な課題とニーズをつかみ、そして新しいビジネススタイルを提案・実行していくことが必須。
社会的な問題の解決について、わが国ではこれまで政府が管理し対応するものであると考える人々がおおく、
政府行政に依存する一方で、その対応が不十分であれば政府行政批判を行ってきました。
しかし政府が全ての課題に対応しきれるわけではありません。
では、誰が当面する社会的課題を担うのか、誰が多様化したニーズに応じた社会サービスを提供するのか。
社会的企業には
1. 社会性
今解決が求められる社会的課題にい取り組むことを事業活動のミッションとすること、それがポイント。
なぜなら
・それぞれの領域においてどのような社会を求めていくのかという価値やビジョンを明確にすることで社会、ステークホルダーから支持を得ることが大切。
・社会的企業がミッションを掲げて事業活動を展開する事でそれまで多くの人々に、認知されていなかった問題が解決されるべき課題として広く知られるようになる。
1. 事業性
社会的ミッションをビジネスの形にわかりやすく表し、継続的に事業活動を進めていくこと。
事業においてはマネジメント能力、特にステイクホルダーとのコミュニケーション能力、商品・サービスの開発力、マーケティング力が求められる。
1. 革新性 という3つの特徴がある。
新しい社会的商品・サービスやその提供する仕組みを開発すること。
社会的企業には「営利活動法人」「非営利活動法人」の選択が迫られる。
その基準となるのは
1. 市場的制約
市場性(収益性)の有無。活動の社会性が高くとも対象となる顧客が非常に少数である=市場が限られる。
1. 資金的制約
資金調達の可能性。その社会的企業が機械装置など大きな設備投資、初期投資を必要とする場合、資本市場から資金調達が可能な会社形態が選択されます。
1. 法的制約
法人形態により税制上の違いがあり組織選択の一つの尺度になる。
1. 社会的制約
信頼性。NPOはその非配分原則によって収益を搾取しないので、会社組織より信用がおけるという議論がある。
ソーシャルアントレプレナーシップへのステップ
* 企業の前段階
1、社会的課題への気づき
一般の企業においても社会で満たされていないニーズへの気づきは重要ですが。そこでは何よりもマーケットの可能性、事業成がポイントになります。
一方社会起業家については、まず社会的課題の克服と言うミッションがあり現在市場性が高いか低いかというより、その社会的事業にかかわるステイクホルダーを巻き込み新しい仕組みを作っていく、そんなスピリットが求められます。
2、踏み出すプロセス
会社勤めであれ、個人企業であれそれまでの生活を変えることは簡単ではありませんし、そもそも自分で生計を立てている人の場合、中川氏が言うように「自分たちの生活は是っていにできないといけない」。社会的な事業に取り組もうという思いはそれぞれ企業家によって異なるでしょう。しかし出会いを通じて思いを持ち、さらにいくつかの出会いにより思いを強め、それが臨界点を越えた時に企業に至るというプロセス。
* 起業の実行
1、社会的ミッションの確立
社会的起業家は、事業にかかわる従業員や顧客、資源の提供者等ステイクホルダーに、思いを共有させなくてはならない。
明確なミッションはそれに共感する人を社会的企業の新たな支持者として引き込んでゆく。
2、事業の仕組みづくりと事業計画
「ソーシャルビジネスを自己満足で終わらせてはならない」
社会的企業にかかわる人々それぞれがどのように参画していくのか、その仕組みを明確にしていかなくてはならない。 -
フローレンスやアットマーク・ラーニングなどを紹介。
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08088
「想いが社会を変える」という副題がぴったり。
ソーシャルエンタープライズ(社会企業)の企業自体にフォーカスを当てている本は少なくないが、この本はソーシャルエンタープライズを立ち上げた人にフォーカスして書かれている。
どれも参考になるのだが、それは人によって受け取り方が違うところ。
この本のmust readは、第1章と、第8章にある。
第1章「ソーシャル・アントレプレナーという生き方」では、ソーシャルアントレプレナーやソーシャルエンタープライズがいったいどういうものかをしっかりと説明してある。
それも、日本のことが書いてあるので参考になる。
第8章「ソーシャル・アントレプレナーへのステップ」はいかにしてソーシャルエンタープライズを立ち上げるのかについて細かく書いてある。
この本の1章と8章を読むだけでも価値がある。
心に残った言葉
・社会は変えられる
・官に影響を与える、公に影響を与えるのは絶えず民である
・あきらめないこと、いつも前向きであること、振り返らないこと、実績を出すこと、最後に愛敬 -
社会の中でおかしいと感じるところを、政府に対して意義を申し立てるのではなくて、サービスやアイデアで自分でなんとかした人たちの話。
企業するにも様々な形があってどれを選ぶかが大切だと感じました。 -
社会を変える・・・駒崎さんのお勧め
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ずっと昔、「社会起業家」ってな書籍が日本ではほとんどない頃、ドラッカー大先生が「ネクスト・ソサエティ」を読んで、「社会起業家」という概念に触れたのですが、そのときはあまり関心が沸くところまで至りませんでした。しかしながら、昨今のブームとでも言えるような「社会起業家」本の多さに改めて、「アメリカの10年遅れ」的な感覚を感じるとともに、ちょっと書籍を読み漁ってみています。
本書もそんな中の一冊です。読後の感想としては、あまり共感できるところはなかった、って感じです。類似の本を全く読まないで本書を読むと少しは面白みがあったかもしれませんが、よくある学者先生の教科書的なテイストで包まれた文体・構成が、どこか遠い話のように感じさせるのかも知れません。社会起業家の人たちの話自体は十分興味深かったのですが、そこで感じた関心を行動につなげるよう促すパートが全く機能していないのは、やはり日本の学者の能力の低さとでもいえるのでしょう。学者先生の中にも、大きな社会的影響を与える文章力・論理展開力をお持ちな方は何人もいらっしゃいますが、本書に関しては残念ながらそう感じませんでした。 -
最初は個人の熱い想いや使命感から始めた事業が、一定の規模になるに従ってそれだけではまかないきれなくなり、一定の組織化、事業化をする必要に迫られるのだが、そこで安易な妥協をせず、自らの熱意や使命感を組織のミッションに的確に置き換え、いわば個人の熱意の「組織化」をうまく図ることができているところが印象的であった。
http://d.hatena.ne.jp/hachiro86/20080328#p1