経済論争の核心はここだ―アダム・スミスに学べ

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著者 : 増田悦佐
  • エヌティティ出版 (2011年11月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757122840

経済論争の核心はここだ―アダム・スミスに学べの感想・レビュー・書評

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  • 請求記号:331.04/Mas
    資料ID:50064881
    配架場所:図書館1階西 学生選書コーナー

  •  本書は、アナリストの著書だそうだが、その内容には、あまり説得力はないと思えた。
     「デフレ」も「失われた時」が20年を越えようとしている日本において、もはや経済論評は百花繚乱。権威ある学者も自信を失い、誰が何を言っても構わないように思えるが、本書を読んでもテーマとは違い「核心」が見えてきたようには思えなかった。
     本書は、残念な本であると思った。

  • 2011年の末に本屋で見つけた増田氏が書かれた本です、ゆっくり読んでいたら、先週にまた最新刊が出ていました。彼は数年前からすごい勢いで本を出していますね。

    彼の主張のポイントは、欧米や中国インドと比較して、まだまだ日本は素晴らしい点があるということを、実際にあるデータを利用して述べている点が特徴的です。

    エリートが引っ張っていく、傍から見れば素晴らしいと感じられる国よりも、大衆がしっかりしていて政治家等が頼りない感じを受ける「真正大衆国家」の日本に住んでいる私は幸せということでしょうか。

    日本にも問題はあるとは思いますが、日本の強さはしっかりと認識して、それが維持できるように私も日本国民の一人として努力していきたいものです。

    以下は気になったポイントです。

    ・戦後の日本で顕著なインフレの不平等効果が低かったのは、1)実質成長率が高く、名目所得の伸びの中で実質成長に対するインフレ分が低かった、2)経営陣に借りまくってしまえという考え方が少なかった、ことによる(はしがきp7)

    ・金本位制から不換紙幣制への転換で大きく変わったのは、マネーサプライを作り出す根拠が、資産から負債に変わったこと(p5)

    ・銀行はローテク商売で、低い金利で借りた金(集めた預金)を高い金利で貸すこと以外に収入源はない(p18)

    ・本位貨幣である金銀をため込むことが豊かになるとした国は例外なく没落した、スペイン・ポルトガル、フランス等(p27)

    ・インフレと借金の組み合わせこそ、金持ちが貧乏人から金を巻き上げるための不可欠な道具(p38)

    ・購買力の減少率と、インフレ率は完全に一致するわけではないが、ほぼ同じである(p49)

    ・イギリスは1860年代までは格差が大きくなったが、1873-95年の大不況により、平等化の時代となった(p60)

    ・インフレによる借入の実質負担軽減分は、返還期間中を通して高い金利を払わされることで、完済するまでにほぼ金融機関に回収される(p65)

    ・リーマンショックが起きる(2008)前の数年前から、すでに米国の住宅価格は暴落に転じていた(p70)

    ・1970年代以降の変動相場制の中で、日本円は金に次ぐ値もちの良さを示した(p72)

    ・インフレというのは借金の元本目減り分だけ合法的に踏み倒しのできる状態なので、何回でも借金ができる連中は永遠に借り換えを続ける、借金の返済負担がときとともに増大するデフレはもってのほか(p75)

    ・マスコミには円安になるという論調が多いが、実際の為替業務に当っている人たちは、今の円高は実力どおりか、むしろ安いと思っている(p119)

    ・大英帝国の経済発展は、本国と植民地と奴隷供給源がそろって初めて機能する生産体制であった(p131)

    ・日本が貿易赤字になるのは、原油のように大量輸入しているものの価格が突然暴騰した時、震災のようにモノを作って海外に送り届ける機能が極端に衰えた時のみ(p168)

    ・円高でも日本の貿易収支が黒字を維持できるのは、製品輸出の7-8割が資本財・中間財というプロが使うもの(p170)

    ・日本の輸出全体での円建てシェアは41%@2010←36%@2000、アジア向けは全体の55%(p174)

    ・日本の輸出で好調なのは、電子部品、建設機械、工作機械である(p177)

    ・アメリカでは大学を卒業した人は、失業率は3%と非常に低い(p194)

    ・日本人が外国で儲けるためにしている投資は、外国人が日本でする投資の4倍、中国人の場合は7分の1に過ぎないのとは対照的、日本の収益機会はほとんど日本人が刈り取っている(p197)

    ・19世紀までの大不況(デフレ:1873-95が最後)は、金融業界のみを苦しめる経済現象で、金持ちと庶民との格差を縮める素晴らしい時代である、これが知られていない理由として、1)金融恐慌を研究したのは金融業界の人間が中心、2)大衆を苦しめるのは独占企業であり、デフレでないという事実はエリート主義者には都合が悪いから(p209)

    ・1930年代のデフレ期の特殊な現象は、ガリバー型寡占企業のGMが自社の都合のみで自由に生産量を削減できたことによる(p215)

    ・国家管理下の新GMの再上場にあたって、旧GMからの繰り延べ資産:3.6兆円程度を引き継がせてやった、収益が上がっても税金を払わなくても良いという会計処理を認めた(p222)

    ・市場で価格支配力を持った企業は、異常な高価格=低い損益分岐点で事業を運営するようになる、不況時には生産削減をする(p237)

    ・日本の強さは、1)都市部の地価は下がり続けているが、実質GDPは拡大継続、2)2004年以降の国債利回りの変動性が低く安定性の高い金融資産であると、欧米でも紹介され始めた(p257)

    ・所得五分位別の家計純資産保有率の日米比較は、最上位(63vs34)と最下位(1vs13%)に特徴がある(p262)

    ・アメリカの金融資産は、トップ1%:43,1-5%:29,5-10:11%を占める、株・債券・投資信託に絞ると、トップ1%:50.9,1-10:39.4%(p264,277)

    ・ナチスドイツの経済政策がニューディール政策よりも成功したのは、1)ハイパーインフレで落ちるとこまで落ちてから政権奪取した、2)戦時統制経済のみで市場参加者が政策動向を読みやすく対応しやすかった(p298)

    ・欧米型資本主義がうまくいくのは、軍隊的命令系統をもつ事実上の独占企業(例:USスチール、GM,GE,IBM,マイクロソフト、アップル、グーグル)が羽振りを利かせているのみ(p313)

    ・すべての経済論争の核心は、一握りの知的エリートが大衆を引きずり回すのがよいか、大衆が自分で判断し、行動する社会が良いのかである(p316)

    2012年2月12日作成

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日本は世界一の市場経済国である。エリート主義経済学に騙されず、真正大衆国家の道を歩もう。

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