人びとのための資本主義―市場と自由を取り戻す

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制作 : 若田部 昌澄  若田部 昌澄  栗原 百代 
  • エヌティティ出版 (2013年7月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757123076

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人びとのための資本主義―市場と自由を取り戻すの感想・レビュー・書評

  • 仰々しいタイトル。中身は、米国のクローニー・キャピタリズムの問題点を力説する本。


    【書誌情報】
    ルイジ・ジンガレス 著
    若田部昌澄 監訳
    栗原百代 訳
    発売日:2013.07.26
    定価:2,808円
    サイズ:四六判
    ISBNコード:978-4-7571-2307-6
    http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002267


    【目次】
    序章
    アメリカ例外論
    資本主義への信頼の危機
    エリートの裏切り
    ポピュリズムの時代
    変革を求めて
    親市場派ポピュリズムの課題

      第I部 問題
    第1章 アメリカの例外性
    アメリカの何がそんなに特別か(歴史的要因/地理的要因/文化的要因/制度的要因)
    幸運な結果

    第2章 誰がホレイショ・アルジャーを殺したのか?
    業績とは何か
    デモクラシーとメリトクラシーの緊張関係
    タイガー・ウッズと芝管理員
    取り残された多数の芝管理員たち
    ホレイショ・アルジャーの死
    結論

    第3章 クローニー資本主義、アメリカン・スタイル
    競争の効用
    東インド会社
    独占企業に対する従来の見方
    反トラスト法の効用
    他人の金
    クローニイズム
    企業内意思決定の政治化
    現代版東インド会社
    結論

    第4章 クローニー金融
    それはどのように起こったか
    過大な力
    巨大すぎて潰せない
    巨大すぎて管理できない
    利口すぎて監督できない
    寡占的すぎる
    現代版トラック運転手組合

    第5章 救済国家
    成長する巨大国家
    タロックの逆説
    ポーク問題
    反企業イデオロギーの没落
    官民パートナーシップの典型例
    ルービン主義の救済策
    グリーンスパン・プット
    救済国家
    結論

    第6章 知識人の責任
    専門家にご用心
    団結心、派閥人事、集団思考
    結論

    第7章 ポピュリズムの時代
    黄金時代
    追いつく世界
    現代の農民たち
    ポピュリズム的反応
    どちらのポピュリズムか
    親市場的ポピュリズム

       第II部 解決策
    第8章 機会の均等
    不穏な構図
    農業と電子書籍について
    「ひとり勝ち」の経済学
    ボスの価値
    負け組の反応
    スーパースター経済の影響
    スーパースター経済の政治学
    誤った対処法
    最悪のクローニイズム
    バウチャーに基づく機会
    セーフティネットの必要性
    結論

    第9章 競争で不平等と闘う
    クローニー資本主義の正体――まずは学界……
    ……そして医療業界
    競争の積極的推進
    反トラストの再構築
    情報経済下の競争
    コーポレート・ガバナンスの修繕
    結論

    第10章 市場に基づいた倫理の必要性
    非道徳的家族主義
    信頼の重要性
    公民資本
    公民資本の起源
    アメリカ独自の利点
    道徳と住宅ローン
    倫理学と経済学
    社会規範の決定過程
    ビジネススクールの役割
    結論

    第11章 ロビー活動の制限
    ロビー活動はみな平等とは限らない
    証拠は何か
    不正競争
    規制という難題
    サンキュー・スモーキング
    学問の市場の競争
    ニュース競争
    醜聞暴露の実績
    羞恥を与えること
    対等な闘い
    結論

    第12章 シンプル・イズ・ビューティフル
    なぜそんなに複雑か
    シンプル・イズ・ビューティフル
    シンプルな執行
    ゼロのシンプルさ
    対人税への適用
    法人税をシンプルに
    シンプルな確実性
    シンプルかつ... 続きを読む

  • 前半は問題点、後半は解決方法という構成になっており、筆者の主張がわかりやすい。クローニー主義や生産性の向上に対応しない賃金上昇の実態などがわかりやすく述べられている。誰もが感じてい不平等感が明示されているといいかえてもいい。
    P175の農業の例のように、インセンティブとそれに見合う結果についての議論が最もおもしろかった。

    ボリュームがあるが読みやすい。

  • 業績主義が魅力だったアメリカの資本主義が、今では著者の故国イタリアのようなクローニイズム(縁故者びいき)の資本主義に堕してしまっているとし、その問題点と解決の方途を論じている。

    資本主義の真髄は「競争」にあるが、巨大な力を持ってしまった金融機関や、市場原理から乖離したロビー活動、補助金政治の肥大化など、公正な競争の機会を奪い、鈍化させ、パイを少数者に奪われる現代版クローニー資本主義は至るところにある。
    だからといって、資本主義自体を否定することは間違っていて、求められるのは、自由市場を破壊するのではなく救う方向へ向かう「市場派(プロ・マーケット)ポピュリズム」なのだと著者は言う。

    ポピュリズムという言葉が持つ否定的なイメージに対して、著者は「確かなポピュリズムの伝統がある国でのみ、ポピュリズム運動は急進的かつ非生産的な政策を避けることができる」(p. 163)とし、アメリカはそれができる国であるという。
    このあたり、アメリカが本当にそうなのかな?と疑問を持つが、人民の力を集結して立ち向かわない限りは、クローニイズムには勝てないという問題意識は理解できる。
    後者に勝つためには、市場経済の繁栄につながる社会規範・倫理を確立し、また、あらゆるデータを手に入れることであり、さらにそれらはポピュリズム的な動きがないと対抗する力となり得ない。
    ポピュリズムのうねりによって、たとえば、社会的規範を逸脱するロビー活動や過度の利得追求の行動を恥ずかしいと思わせ、クローニイズムの動きを是正させることができるからだ。
    ある意味、ポピュリズムが果たす役割は、クローニー資本主義を壊し、競争や業績主義に戻すティッピングポイントみたいなものを生み出すことだろうか。

    テーマのわりにとても読みやすい本。

  • 日本でもクローニイズムは強まり、官僚の裁量は増大しているというのは監訳の若田部昌澄の指摘。

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人びとのための資本主義―市場と自由を取り戻すの作品紹介

企業のためではなく、人びとのための資本主義を!

アメリカは、大企業のロビイストが政府と癒着し、人びとの富を収奪する「クローニー資本主義」(縁故資本主義)になってしまった。いまこそ一部の大企業のためではなく、人びとのための資本主義を再構築しなければならない。
気鋭の経済学者が、アメリカ資本主義の病巣を摘出し、市場をうまく機能させる経済システムを取り戻す処方箋を提示する。
資本主義の現在を憂慮するすべての人の必読書。

人びとのための資本主義―市場と自由を取り戻すはこんな本です

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