ファーム・コミットメント: 信頼できる株式会社をつくる

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制作 : 宮島 英昭  清水 真人  河西 卓弥 
  • エヌティティ出版 (2014年6月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757123342

ファーム・コミットメント: 信頼できる株式会社をつくるの感想・レビュー・書評

  • 世界各国の株式会社の殆どは次の3つの類型の何れかに分類される。
    アングロアメリカ型(英国、米国)、、、年金基金、保険会社、ミューチュアルファンドと言った多数の機関投資家によって広く所有されており、ある会社の株式の大部分を所有する投資家は存在しない。
    欧州、南米、極東アジア型、、、支配株主である創業家一族により支配されている。
    日本型、、、インサイダー(銀行、保険会社、他の事業会社)とアウトサイダー(海外機関投資家)による、バランスの取れた混合的な所有構造。

    株式会社の掲げる目的は多様かつ独自性を持つべきであり、所有と支配の形態も達成しようとする目的に従って選択されるべき。

    株式会社の最優先かつ最大の目的は、株主またはステークホルダーの利益ではない。その目的とは、人々、地域社会、国家に対して財を生産し、開発し、供給し、サービスを提供する事にある。この目的は、債権者や株主などの投資家に加え、社員、サプライヤー、地域社会といったステークホルダーの関与があって初めて実現される。

    2010年の全世界における株式市場の時価総額はおよそ50兆ドル。民間部門への信用供与総額は90兆ドル。社債の総額は60兆ドル。全世界のGDP総額が60兆ドルなので、世界の負債と株式の時価総額はGDPの3倍超に達している。

    英国と米国以外の国では、大企業を含む株式会社の大部分が株式市場に上場していない。英国でさえ、上位1,000社のうち、25%しか上場していない。フランス、ドイツ、イタリアではその割合は20%。これら非上場企業も含めた世界の時価総額は約150兆ドルと見積もれ、民間部門の負債総額150兆ドルと同額となる。よって、両者の合計は300兆ドルとなり、金融危機において危険性が囁かれた銀行の損失2兆ドルは、はるかに小さい額である事がわかる。

    世界ではおよそ30億人の人々が企業に雇われている。このうち、十分に保護されていない被用者は全体の50%。20%が1日あたり1.25ドルしか賃金を得ておらず、40%が2ドル未満しか得ていない。

    今回の金融危機が起こると、債権者が第一幕の犠牲者となる。第二幕の犠牲者は従業員。続いて、将来世代、環境、地域社会、動物種が犠牲となる。

    オーストリア、ベルギー、ドイツ、イタリアでは、単一または集団としての投資家が企業の議決権株式の過半数を支配している企業が上場会社の約半数を占める。オランダ、スペイン、スイスの上場企業では、その半数は単一の株主が30%以上の議決権株式を支配している。英国では単一の株主が議決権株式を支配している割合は10%未満。

    今後対処すべき課題は、経営者と株主の利益をいかに一致させるかではなく、株主に投資対象の企業に対していかに責任を持たせるかである。

    敵対的企業買収市場がもっとも確立されている国は英国。

    アジアにおける企業買収総額は全企業買収の25%。

    企業買収によりある企業が吸収された場合、雇用の19%が削減され、解雇は製造拠点よりも本社に集中している。

    敵対的企業買収が成功した場合、対象企業の取締役の90%が買収完了後2年以内にその地位を失う。

    株主は、企業の所有者である為、企業が株主に代わって留保している利益は株主のものである。従い、株主は利益を内部留保されるのか配当として支払われるのかを気にするべきではない。株主は、企業が事業活動の資金を必要としている場合には、配当によって株主自身に対し、不要な所得税が課される事や、企業自体に余分な手数料の支払いが生じないように企業に促すべき。

    ケニアのサファリコム社が提供しているモバイルマネーサービス(M-Pesa)の利用者は1,300万人(世帯普及率70%)であり、ウエスタンユニオン社が全世界で行っているよりも多くの取引を行っている。


    株式会社には、契... 続きを読む

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ファーム・コミットメント: 信頼できる株式会社をつくるの作品紹介

①従来の株式会社の中心思想である株主優先の構造の限界を指摘。
②ステークホルダー(企業の利害関係者)への義務の確保や信頼できる多様なコミットメント(関与)を形成するためのメカニズムを考察。
③そのための具体的な企業統治の形態(=信頼に基づく企業)を提案し、その仕組みを解説。

原著は「フィナンシャル・タイムズ」の推奨文献にも挙げられた。
(原題:Firm Commitment: Why the corporation is failing us and how to restore trust in it)

ファーム・コミットメント: 信頼できる株式会社をつくるはこんな本です

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