暴力とグローバリゼーション

  • エヌティティ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757140783

作品紹介・あらすじ

出来事としての思想。世界と人間たちが入り込んでしまった「出口なし」の状況について、ボードリヤールが日本で語った貴重な記録。

感想・レビュー・書評

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  • ジャン・ボードリヤールの2003年来日講演の内容を収録。
    表題の講演「暴力とグローバリゼーション」のほか、翌日・翌々日と続いた講演の「出来事性とヴァーチャル性」「イメージの暴力・イメージに対する暴力」を併録している。
    余談だが表題作読了後、しばらく放っておいたのだが、思い出して今回読了してみました。(泣)
    全体の統一お題としては、9・11アメリカ同時テロです。簡単に概括すると、テロリズムという「出来事」のもたらすグローバル社会との対決が等価交換不能な「停戦不可能」なものであり、しまいには未発生段階での抑止的暴力が生まれ(イラク戦争のような)、「出来事ゼロ」という警察社会に至る、そして、「非・出来事」といってよいねつ造されたイメージ統制(暴力)、さらには進んで見られることを望む住人になるという「歴史の終わり」時代の見通しについて述べている。
    なんともコワイ話ですが、出来事から生みだされ、押し付けられてくるヴァーチャルなモノについて見極める目を持つことが、多様で欺瞞に満ちた現代を生きるわれわれの知恵なんでしょうかね。一方で、そうした出来事や「凡庸な見世物」を望むのはわれわれだという指摘もあり、もって自戒とせねばなるまい。

  • やっと読んだ・・・。普段想像するよりも、もっと抽象的で哲学的な暴力の話。思想を理解するというより、詩的に楽しんで知的な発見をするって感じの楽しみ方しかできない。難しい。これを理解できる程度の社会学の素養がないのが悔しいね。
    現在の世界がのっぺりしていると感じるそのひとつの原因の視点。このレベルで世界を見ることができるということを忘れないようにしたい。

  • 2003年10月の来日講演。
    もしかしたら日本でボードリヤールの話を直接聞ける最後だったかもしれない。。

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著者プロフィール

【著者】ジャン・ボードリヤール :  1929年生まれ。元パリ大学教授(社会学)。マルクスの経済理論の批判的乗り越えを企て、ソシュールの記号論、フロイトの精神分析、モースの文化人類学などを大胆に導入、現代消費社会を読み解く独自の視点を提示して世界的注目を浴びた。その後オリジナルとコピーの対立を逆転させるシミュレーションと現実のデータ化・メディア化によるハイパーリアルの時代の社会文化論を大胆に提案、9・11以降は他者性の側から根源的な社会批判を展開した。写真家としても著名。2007年没。著書に『物の体系』『記号の経済学批判』『シミュラークルとシミュレーション』(以上、法政大学出版局)、『象徴交換と死』(ちくま学芸文庫)、『透きとおった悪』『湾岸戦争は起こらなかった』『不可能な交換』(以上、紀伊國屋書店)、『パワー・インフェルノ』『暴力とグローバリゼーション』『芸術の陰謀』(以上、NTT出版)、ほか多数。

「2015年 『消費社会の神話と構造 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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