比較歴史制度分析 (叢書〈制度を考える〉)

  • NTT出版
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757141247

作品紹介・あらすじ

制度とは何か。それはなぜ存続し、どのように変化するか経済史、ゲーム理論、心理経済学、政治学、社会学等における重要な知見を統合した、比較歴史制度分析の幕開け。歴史研究とゲーム理論の新たな融合。

感想・レビュー・書評

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  • 中世の地中海貿易がテーマ。
    裏切り者に対して「村八分」という制裁を用意することによって、未然に裏切りを防ぎ、取引の妥当性を保ったマグレブ商人に対し、司法を発達させて契約ベースで取引を行い、違反があった場合に処罰するという手法を用いたジェノア商人。
    本書では両者のシステムをゲーム理論で説明している。
    特にマグレブ商人の「村八分」システムが、商圏が拡大するにつれ機能しなくなってくる様子は、日本企業の集団主義的な組織がグローバル化に直面して機能不全に陥る様子とオーバーラップして面白い。
    地中海貿易とかゲーム理論とか自分的にはどストライクなテーマだし、内容も充実していてすごい本なんだけど、いかんせんアカデミックすぎて読み物として読むのはつらい。本気で読み込むなら年単位(下手すりゃ一生)かけて読む覚悟が必要。

  • 原題:Institutions and the Path to the Modern Economy: Lessons from Medieval Trade (2006),
    著者:Avner Greif(1955-)
    監訳者:岡崎哲二
    監訳者:神取道宏
    訳者:有本 寛
    訳者:尾川 僚
    訳者:後藤 英明
    出版社:NTT出版
    シリーズ:叢書 制度を考える
    発売日:2009.12.09
    定価:7,480円
    サイズ:B5判変型
    ISBN:978-4-7571-4124-7

    ゲーム理論を用いて中世の地中海貿易の構造を分析した大著。著者が創始した「比較歴史制度分析」の手法は、制度分析における、数理モデルと歴史研究のギャップを埋める画期的な試みとして世界的に注目されている。
    http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100001955


    【簡易目次】
    序文

    第一部 準備
    第1章 イントロダクション
    第2章 制度と取引

    第二部 均衡状態にあるシステムとしての制度
    第3章 自律的秩序による契約履行制度:マグリブ商人の結託
    第4章 国家の触手から所有権を守る:商人ギルド
    第5章 内政的な制度とゲーム理論分析

    第三部 歴史的過程としての制度のダイナミクス
    第6章 内生的制度変化の理論
    第7章 制度の軌跡:過去の制度は現在の制度にどのような影響をおよぼすか
    第8章 国家の建設:ジェノヴァの興亡
    第9章 制度の軌跡とその起源:文化に根ざした予想と社会組織

    第四部 比較歴史制度分析における実証の方法
    第10章 個人的関係に依存しない取引の制度的基礎
    第11章 理論:歴史対話型の文脈に依存した分析
    第12章 制度,歴史,発展

    付録A ゲーム理論入門 
    付録B 社会学的人間は戦略的か? 
    付録C 理論の役割:評判に基づく自律的秩序制度 

    索引

  • 7140円購入2011-03-07

  • 本書は、中世後期の地中海世界とヨーロッパの経済史を題材に、歴史学的分析方法とゲーム理論的分析方法を統合した意欲的な研究である。歴史学研究に新たな可能性をもたらす画期的な成果といえる。
    ただ、非常に浩瀚な研究書であり、ゲーム理論にも習熟していない私にとっては、十分に内容は理解できず、単に字面を追うだけになってしまった感も否めない。ただ、歴史における制度の重要性、制度の時間を通じた変化への着目の必要性、制度分析における文脈の重要性、中世後期の経済にとって国家よりも自主的な団体による制度が重要な役割を果たしたことなど、本書のエッセンスはおぼろげながらつかむことができた。

  • 山本 吉宣先生に薦められたアブナー・グライフ。別の本を探している時に発見。
    歴史と制度を扱っているものはそれほどないので、是非とも読んでおきたい。
    そういえば学生の頃同じような内容の論文を読んだけど、同一のものかな。

  • [ 内容 ]
    制度とは何か。
    それはなぜ存続し、どのように変化するか経済史、ゲーム理論、心理経済学、政治学、社会学等における重要な知見を統合した、比較歴史制度分析の幕開け。
    歴史研究とゲーム理論の新たな融合。

    [ 目次 ]
    第1部 準備(イントロダクション;制度と取引)
    第2部 均衡状態にあるシステムとしての制度(自律的秩序による契約履行制度―マグリブ貿易商の結託;国家の触手から所有権を守る―商人ギルド;内生的な制度とゲーム理論分析)
    第3部 歴史的過程としての制度のダイナミクス(内生的制度変化の理論;制度の軌跡―過去の制度は現在の制度にどのような影響を及ぼすか;国家の建設―ジェノヴァの興亡;制度の軌跡とその起源―文化に根ざした予想と社会組織)
    第4部 比較歴史制度分析における実証の方法(個人的関係に依存しない取引の制度的基礎;理論―歴史対話型の文脈に依存した分析)
    第5部 結論(制度、歴史、発展)
    付録

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 2010.02.07 日本経済新聞に掲載されました。

  • 池田信夫blogで紹介されていたこの1年で最もおもしろい本。

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