- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784757141636
作品紹介・あらすじ
社会学する感覚をつかもう。入門の一歩手前から門から先の一歩前進まで。
感想・レビュー・書評
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小泉純一郎首相時代、就職できない連中は、度力をしてこなかった、自己責任、という言葉。
中東で拉致された4人の日本人に対する、自己責任、という日本中の非難。
その辺りが、今でも心にひっかかっている。答えがでない。
社会学というものが、助けになるような気がして。
普段考えることから、遠いところにある言葉が続く本。だけど、なにか大切なことが書かれている気がする。
なぜ社会について考えるのか?という問いの著者の答えに抵抗なく頷くことができたからか。
「社会学について考えることは、どうしたって生きなくなくてはならないこの社会ーさしあたって私たちは、自分がそこに生み出された社会を生きるほかはないーをよりよくう知ることで、私と社会の関係がこれまでとは違ったものに見える可能性を開き、私たちが生きる社会が抱える問題や可能性に対する、より大きな視界を開いてくれるかもしれないからなのだ、と。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
社会学部 松澤俊二先生 推薦コメント
『社会学科に所属しながら、社会学者でない推薦者がそれを学ぶために手に取った本。文章が端正で読みやすいのが良い。』
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPAC↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/466460 -
社会学を学び直したくて再読。
社会学の領域で扱われる広範なテーマを分かりやすく紹介しつつ、それらを通じて「社会学する感覚」を掴める内容になっている。社会学の重要な概念やワードも登場する。
自分にとっての社会学とは、
「個人・社会・地球環境、これらの相互の関係性を読み解く」ことだなと思った。 -
【目次】
はじめに [iii-ix]
第一章 「なぜ社会について考えるのか?」という問いに対する「正しい答え」とは違う答え方 001
「正しい答え」への戸惑い
宇宙からの眺めと地面の上の眺め
「役に立つ」から考える?
普通のことの謎と驚き
”うっとりと生きること”からの目覚め
「別の仕方で知ること」へ
[補説] 専門家であることと、生活者であること
第二章 私の中の社会 015
考えるための補助線
政治、経済、社会問題
私が先か、社会が先か
人、もの、土地、死者
「結び目」としての「私」
[補説]「野生児」は存在するか?
第三章 主観的なことと客観的なこと 027
「主観的なもの」が客観的に存在する
無宗教という宗教
林檎教
愛という規範
椅子の社会性
貨幣と物神性
[補説1]科学の客観性について
[補説2]シンクロニシティとユング心理学
第四章 うたっているのは誰? 041
言葉が人に話させる
歌の言葉は誰のものか?
「他者の言葉」と「うたう私」
憑依とモンタージュ
[補説]言語論的転回
第五章 言葉の海、物の海、出来事の海 053
社会が椅子の中にある?
観念のネットワーク
言葉も物も出来事である
[補説]言説って何?
第六章 主体を生きること、身体を生きること 065
まだらな主体
生命過程の非主体性
ノンバーバル・コミュニケーション
言葉も身振りである
身体技術と間―身体性
[補説]身体論と身体の社会学
第七章 メディアの中に住む 079
「場」としての身体
つながりの媒体(メディア)
人と世界を仲立ちする
「虚構」という世界
メディアとしての場所や時
世界の重なりに住み込む
[補説]想像の共同体
第八章 第二の身体としてのメディアと技術 093
代行、拡張、変容
メディアとしての道具
メディアと歴史
機械という〈他者〉
不気味になる世界
[補説]技術論とメディア論
第九章 科学から魔術へ? 107
科学・技術の合理性
科学は宗教より”無知”である
透明さと不気味さと
さまざまな合理性
理解できないことを信じる
魔術化する科学技術
[補説]マックス
・ヴェーバーと「古典」
第一〇章 スター、カリスマ、独裁者 123
ファシズムと全体主義
オカルトと超常性
スター、アイドル、ブランド
カリスマの魅力
誰が”すごさ”を生み出すのか?
「お客様は神様です」
”すごさ”が世界を作り出す
第一一章 鏡と欲望 139
「誰か」の欲望を模倣する
欲望の三角形
人間は真似をする動物である
「社会の鏡」としての人間
従属する主体、模倣する主体
[補説]社会と心
第一二章 欲望を欲望する 153
投機とバブル
他者の欲望を欲望する
使用価値と交換価値
お金の価値とは何か
お金が欲しいのはなぜ?
市場社会
[補説]市場と社会科学
第一三章 つながり、あつまり、ちらばり 167
「手切れ金」としての支払い
つながりとしてのちらばり
「つながり」の三つの形
あつまりのあつまり、あつまりの外側
大衆、公衆、群集
群集の中のつながり
コミュニケーションのコード
[補論]社会という言葉
第一四章 離れてあること、退きこもること 185
たまたまつながり、たまたまあつまる
家族や地域は本源的か?
死は無意味ではない
離れてあることの自由
離れてある場所としての学校
離れてあることの衰退
第一五章 社会学は何の役に立つのか? 199
社会学は役に立たない?
「役に立たないこと」は役に立たないのか?
遊びと恋愛
「役に立つこと」で理解する浅薄さ
手段的能動主義
戸惑いの知
最終解答なき問い
「社会学は役に立つ・・・」
補 私の社会学 215
学問にも相性がある
人は学問を選べるか?
私の学生時代
社会のうたう歌を読み解く
”私たち”の社会学
”リアルなプレイ”としての学問
読書案内 [231-245]
索引 [247-253] -
2007-10-08
社会学の入門には良いかもしれない.
小難しくかかれがちな文系的な文章が,この本では多少ぶっちゃけ気味にかかれているので,そこそこ易しく読めた. -
一応、社会学のゼミに所属し
曲りなりにも社会学の理論を学んできた身だが、
「入門一歩前」という言葉に惹かれ
今更のように読んでみた本。
「入門一歩前」というだけに専門用語は少なめであるが、
コラムや索引、参考文献も何気に明示されているので
ある程度勉強した者でも読みがいのある内容になっている。
特にマックス・ウェーバーとミシェル・フーコーを
あらかじめ読んでおくと面白いだろう。
なお、内容については、
主に言説論、科学論、メディア論、身体論で、
最後には「社会学は役に立つか」という
ある意味で教育論的な締めくくりになっている。
身体論以外は割と面白く読めたものの、
著者の専門である都市論が
ほとんど出てこないのが残念でならない。
文体が平易なので初心者でも読めると思うが…
どちらかというと、社会学をある程度かじっていて
社会学を学びなおしたい人にオススメの一冊である。 -
個人的には、第4章「うたっているのは誰?」が好きです。
特に好きな部分を引用すると:
「優れた歌い手とは、他人の言葉をわが言葉としてうたい、
聴く者にもその歌を、まさに我が歌として聞かせることができるものだろう。
そのとき、うたっているのはその歌い手なのだろうか?
それとも歌が、歌い手の口を借りてうたっているのだろうか?」
ここだけ聞くと、哲学か、文学みたい。社会学の不思議な世界にはまりそう。
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社会学の導入本はこれがベスト。