三低主義

著者 :
  • NTT出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757142398

作品紹介・あらすじ

経済はデフレ、政権は交代、進歩、近代、合理主義といった価値観が揺らいだ現代日本。いま私たちはどのようなライフスタイルを選択すべきだろうか?キーワードは「三低」である。「三低」という視点から、これからの都市、建築、住宅、そして社会のあるべき姿を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 先読みの賢者による次の時代のマニフェスト
    のようでいてそうではない

    提言でなく提案をしろと何処かに書いてあったが、男根的なアフォリズムは無効なのだろうか?

  • 隈研吾の本を読むのは『日本人はどう住まうべきか?』から2冊目。
    五輪で使う国立競技場のデザインをすることに決まって、
    個人的にはとても嬉しい!

    マーケティングをやってる三浦氏の言葉のセンスは、
    いつもなんか微妙なんだけど、言いたいことは分かる。
    でも自説(シンプル族)を前提に話を進められると、
    まだ共有段階でない言葉は、自分に都合よく使われてるようで、
    説明に説得力を感じないことも。

    人間は共有すると社会性が生まれ、所有すると猛獣化する、というのは納得。
    今あるものを壊して新しく作るのではなく、
    生かして直してだましだまし使っていくということがとても重要だと思う。
    作れないくせに、簡単に壊すなよなー!
    技術を残すこと、工夫すること、発想で使い方を見直すこと、
    作った後の変化を前提にすること。
    視線を経済のことばかりに集中すると、
    人間の持つ力がどんどん失われていくと思う。
    二人が語るような方向で建物や街が作られていったら、
    もっと風通しのいい味わいのある場所が増えていくのに。

  • 2010/2/4 発行
    価値観の見直しのススメ。
    次世代は何に欲求を持つか。

    2011年中盤から取り立てられている、シェアハウス・オフィス・リノベーションなどの話題を先見しているよう。
    あるいは、
    刊行ごろ同じように考え、動いていた人々の成果が出たのが2011年。

    全章(対談回)において、章の前半は主題に沿ってるが、話しが進むにつれてだらだらと脱線気味。「こういう事例があるんだけど知ってる?」という会話の応酬に落ちる。

  • 隈さんが吉田健一の近代観を擦り込まれされていたとは! どおりでコンクリートと鉄を使ったモダニズムが嫌いなわけだ。

  • 「高圧的・高層・高尚」から「低層・低姿勢・低炭素」の三低主義へ。

    モール化する世界、鉄とコンクリートに囲まれた世界、息苦しいよ。
    そこで朝から晩まで働きづめなんて。こんなにまわりに素敵な都市が広がってるのに!

    都市のイオン化。同じような街が再生産され続けている。

  • こういう考え方は興味深い。日本国内はいけるかもしれない。海外はどうだろう?比喩的なレッテルを貼ってそれで会話が続くのでちょっと私には難解なところあり。悪い意味で気になるところも多いけれど、妄想を膨らますきっかけになるなあと。

  • ★意外な勉強家★「ファスト風土化する日本」を読んだときは、なんていんちきな社会学風評論家なのだと三浦展に失望したが、これほどまでに都市計画や建築を勉強しているとは知らなかった。素直に恐れ入った。建築が「高圧的、高層、高尚」の三高から、「低層、低姿勢、低コスト」の三低、さらには新築ではなくリノベーションに移っているというのが趣旨。隈研吾の後書きにもあるように、軽やかな建築もすぐに高尚になってしまうが、隈はそれをずっと意識しているという。ニューアーバニズム、DPZのシーサイド、ピーター・カルソープ、宮脇檀の日野の住宅地などは後で調べよう。
     三浦の言うナチュラル・レトロ志向の「シンプル族」がリノベや賃貸を好み、新築を増やさなくても優良な既存住宅を工夫すれば住宅政策はまかなえる、というのは「所有」に抵抗感がある自分にもフィットはする。賃貸のふらふらした軽やかさは好きだ。大学を郊外に作らず商店街の八百屋の二階を改装して教室としたり、古い住宅を老人施設にするのもとても面白い。だが、本書でも触れているがこれは独身者のライフスタイル。子供が生まれた後の展開が見えないのが残念。後は一気に老人施設にまで議論が飛んでしまう。
     本書で隈は自らかかわった東雲の公団プロジェクトを評価している。たまたま先日初めて通りかかった。用途混在など公団としては今までにない工夫はあるのかもしれないが、正直なところとても住めないと思った。10数階のブロックの間を通路が曲がり、子供向けの塾や雑貨店が並ぶ。周囲の超高層マンションと、敷地の角にはりつくイオンにより、圧迫感と閉鎖感がさらに高まる。ついでに言えばここは都心といはいえず、場末の工場地帯の雰囲気が漂う。それは豊洲も同じだが。
     隈が引用し賛同する上野千鶴子の発言がすばらしい。「建築家は新しいプランとかnLDKとか格好いいことをいうけれど、若くて元気なやつはどんなプランでも住みこなせるんだから、そんなものを実験とか社会への新しい提案なんて言ってほしくない」

  • たぶん、一部の人には面白く読める本だと思います。ただ、隈研吾と三浦展の知識が土台になった議論なので、多少建築や都市計画の専門的な情報がないと読みづらいかもしれません。

    少し残念だったのは、ほとんど議論として戦う部分のない対談であること。「そうだよねー」という論調の繰り返しによって、あたかもこの本で展開している「三低主義」が社会の共通理解のように感じてしまうけれど、どうもしっくりこない。自分の個人的体験と比べてしっくりこないだけかもしれませんが。

    なので、それぞれの個人的な体験に根ざしたつぶやき程度に受け止めました。ただし、建築と旅の補完性の議論や、居住と福祉の関係、そして私も実践した「コーポラティブ賃貸」に関する意見のやり取りなど、つぶやきとしてのレベルは非常に高いので、寝る前とかにゆるゆると読み進めるとちょうど良い感じですよ。

  • 三低とは「低リスク・低依存・低姿勢」のこと.
    「高学歴・高所得・高身長」の三高に対抗.

    建築における三高は「高圧的・高層・高尚」.
    これまでの右肩上がり社会の典型モデル.
    「進歩の終わり」,つまり低成長時代には,低層・低姿勢(かわいい)・低炭素(あるいは低コスト)へ移行.

    建築物や都市計画は「公共」である.
    それがゆえに,もっと広く語られてもいいのではないか.

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著者プロフィール

1954年、神奈川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。コロンビア大学建築・都市計画学科客員研究員などを経て、1990年、隈研吾建築都市設計事務所設立。慶應義塾大学教授、東京大学教授を経て、現在、東京大学特別教授・名誉教授。30を超える国々でプロジェクトが進行中。自然と技術と人間の新しい関係を切り開く建築を提案。主な著書に『点・線・面』(岩波書店)、『ひとの住処』(新潮新書)、『負ける建築』(岩波書店)、『自然な建築』、『小さな建築』(岩波新書)、『反オブジェクト』(ちくま学芸文庫)、他多数。

「2022年 『新・建築入門 思想と歴史;ク-18-2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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