手術の前に死んでくれたら―ボスニア戦争病院36カ月の記録

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制作 : Sheri Fink  中谷 和男 
  • アスペクト (2004年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757210882

手術の前に死んでくれたら―ボスニア戦争病院36カ月の記録の感想・レビュー・書評

  • ノンフィクション。これを読んでいるととにかく戦争に関して様々な認識が出てきて、一定の答えが出せなく凄く苦しい。だけど、戦争って本当はそういうものですよね。一概に良い、悪いで終わらないから怖い。

  • 「命を救う時間を与えろ!」

    第二次世界大戦のノルマンディ上陸作戦を描いた映画「プライベート・
    ライアン」の冒頭は、オマハ・ビーチの場面から始まる。そこでの衛生兵
    の台詞だ。

    生と死が隣り合わせの戦争。敵の命を奪うことが目的の場所で命を救うことに
    賭けた人たちもいる。

    1992年、ユーゴスラビアの解体の中でボスニア・ヘルツェゴビナの内戦が
    勃発した。3つの民族が対立し、内紛は民族浄化に向かって惨状を呈して
    いく。

    本書が取り上げるのはボスニア東部の街・スレブレニツァにある病院での
    医師や看護婦、国境なき医師団の活動だ。

    ボスニア勢力に周囲を包囲されたイスラムの街には、何もかも足りない。
    その病院へ戦闘で負傷した兵士、地雷で傷ついた市民が運ばれて来る。

    緊急に手術が必要だ。だが、手術を執刀するのは外科医ではない。内科
    を専門とする一般医だ。

    麻酔薬はない。感染症を防ぐ抗生物質もない。輸血したくとも輸血用血液
    がない。例えあったとしてもその血液を保存する冷蔵庫が稼動していない。

    「手術をする前に、どうか死んでください」。既に化膿が始まった患者の
    足の切断手術を前に、医師は神に祈る。彼の手には切断の為のノコギリ
    が握られている。それは、手術用ノコギリではなく金属を切る為のP型
    ノコギリだ。

    ある医師は自分の生まれ育った街を守る為に銃を握り、ある医師は自ら
    と家族が生き延びる為に街を後にする。

    国際機関の援助も多くの難題にぶち当たり遅々として進まない。そして
    先進国をはじめとする国際社会は、自分たちに何の利益ももたらさない
    地域での紛争を長い間、見て見ないふりをしていた。

    ボスニア紛争を理解するにはイスラム側からの記述だけなので不向き
    だが、戦場での医療行為の実態を理解するにはいいかも。

    「制裁措置なんて、本当に恥ずかしいことだ。集団処刑だ。とても残虐で、
    そのくせ効果はない。病める人々を、貧しい人々を、奴隷のようにこき
    使い殺すだけだ。親玉を肥らせるだけだ。制裁措置なんて、政治的武器
    としても役に立たない。ただ社会構造をじわじわと、しかも確実に徹底的
    に破壊してしまうだけだ」

    国境なき医師団の、ある医師の言葉だ。考えさせられる。

  • 延々と戦場の酷さが綴られる。人はこんな風に壊れていくのか。

  • 気がついたら戦争の中にいた地元の内科医イリヤズ。理想に燃える「国境なき医師団」のエリック。麻酔も、医療器具も、外科手術の経験もない。それでも、傷ついた人々は、僕たちに命を託した―。戦場を生き抜いた医師たちの壮絶なノン・フィクション。

  • 気がついたら戦争の中にいた地元の内科医イリヤズ。
    理想に燃える「国境なき医師団」のエリック。
    麻酔も、医療器具も、外科手術の経験もない。
    それでも、傷ついた人々は、僕たちに命を託した—。
    戦場を生き抜いた医師たちの壮絶なノン・フィクション。

  • ●ボスニア内戦の際、いかに大量の傷病者が出、いかに治療する医師と医薬品が不足し、いかに皆がエゴイストになっていったか、等々を描いたノンフィクション。

    ●普通なら、登場人物の英雄的な行為などが差し挟まれて、それなりにカタルシスが得られるものなのですが、そう言ったシーンは一切なし。
    スレブニツァの惨状を救おうとやって来た他所からの医師や国境なき医師団のメンバーも、途中で擦り切れもう勘弁してくれモードに入り逃げ出す惨状。
    本当にびっくりするくらい盛り上がる場面がなく、延々と物資の不足と手術と治療が続くだけなので、途中でななめ読みモードになりました。
    実際、戦争なんざ美しいものじゃないはずなので、淡々と冷静に書けばこうなって当然なのかもしれないけど、せめて、全体の戦争状況をわかりやすく俯瞰する視点があれば、もっと読みやすかったのになあと思いました。

  • 怖くて最後まで読めないかと思った。けれど、読んでその"現実"を知っておくことは大事だと思った。医療の現場を通じて、民族間争い、そして現代、平和に鈍感な日本人には特にオススメ。

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手術の前に死んでくれたら―ボスニア戦争病院36カ月の記録の作品紹介

気がついたら戦争の中にいた地元の内科医イリヤズ。理想に燃える「国境なき医師団」のエリック。麻酔も、医療器具も、外科手術の経験もない。それでも、傷ついた人々は、僕たちに命を託した-。戦場を生き抜いた医師たちの壮絶なノン・フィクション。

手術の前に死んでくれたら―ボスニア戦争病院36カ月の記録はこんな本です

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