- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784757214491
作品紹介・あらすじ
80年代を彩った伝説のニューウェイヴ・サロン、ナイロン100パーセントの全貌。伝説のスポットに集った人々の証言とエピソード、さらに詳細な資料を軸に、日本のニューウェイヴ・カルチャーの起源を辿るエンサイクロペディア大全。
感想・レビュー・書評
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所謂渋谷系を渋谷HMV(今のSEGAの位置にあった頃)を基点とすれば、ナイロン100%はプレ渋谷系と位置づけられるだろう。
大雑把に言えばピテカンと渋谷クアトロの間にナイロンはあったのだ。CBS渋谷とナイロン100%がHMV渋谷、クアトロ渋谷への道筋を作ったのだ。
そこから出てきた者、憧憬を募らす者に臭うサブカル臭はなんだろう?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
80年代回顧本。しばらくお風呂でよんでました。私はハルメンズのレコードが4万円とかでお茶の水の中古レコード屋においてあったのをすげーききてーとか思っていた(音源はその後再発CDで買ったw)、遅れてきた世代なので、楽しく読めました。そういうヒトが昔を振り返るにはよい本です。
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既存のものを引っくり返す、全く新しい音楽的流行というものは、しばしば「場」を基点として立ち上がる。それは、モータウン・サウンドを生み出したデトロイド、グランジ・ムーブメントの発信地となったシアトルといった地域的なものを指す場合もあれば、パンクを生み出したニューヨークのCBGB、マッドチェスターの震源地となったマンチェスターのファクトリーの場合のように特定のライブハウスが「現場」となって、世界中の価値観を更新してしまう事すらある。
では、日本の場合、そんな「現場」はあったのだろうか?多種の個性が集い、何かが始まり、全てを塗り替えて行くような、そんな場所はあったのだろうか??あった、80年代には。それが、渋谷に存在したニューウェーブ喫茶、ナイロン100%。本書は、約8年程しか存在しなかったそんな場所に集った著名人の証言と詳細な資料を軸に、忘れられた歴史を紡ぐドキュメントだ。
店内は白く無機質な内装。プラスチックの椅子、大理石の床。そこではヒカシューやP-MODEL、プラスチックスがライブを行い、それを客として見ていた戸川純も役者や音楽を始めて行く。そうかと思えば荒木経惟が写真点を行い、大槻ケンジや香山リカ、松岡正剛といった今でもアクチュアルな人たちもこの場に来ていた。今では当然となったインディーズ、つまり自主制作によるレコード販売も黎明期から実践していた。今や誰もが見向きもしなくなった、80年代サブカルチャー特有の、無勝手なままに放出される冷めた熱気が、そんな場を通じて放出されていた事が、多くの証言から炙り出されていく。
おそらく、ここで語られる事の大部分は、多くの人にはピンとこないだろうし、語り手の大半は聞いた事もない人ばかりなのだろう。それでも、ナイロン100%は歴史としてきちんと語られるべきだし、記録として残されるべきだと思う。それは、80年代の渋谷という消費主義社会の象徴的箇所であるにもかかわらず、そこに居る誰かから何かを受け取り、そして何かを始めていった人達が多く生まれていった、人と人との交点として機能した稀有な場であったからだ。そして、その歴史に触れた人が何かを始めたいと思わせるような、そんな想いが込められた場所だからだ。 -
90年代中盤にシーナ&ザ ロケットで始まった俺のジャパニーズ ニューウェーブへの旅。その聖地ともいえるナイロン100%。今まで分断された噂でしかなかった伝説を記録として形にしたばるぼらに感謝。
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2010/2/13購入
2011/6/6読了