人はなぜsexをするのか?: 進化のための遺伝子の最新研究

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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757217393

作品紹介・あらすじ

モテル男とモテナイ男のちがいはどこにあるか?女性には「セックスしたい!」という気分のときと、「子どもが欲しい!」という気分のときがあるのはなぜだろう?なぜ世の中にはバレて地獄を見るとわかっているのに浮気してしまう人がいるのか?ふだん私たちが感じている素朴な疑問に対して、世界中の研究者たちが真剣に取り組んで実験や調査をしてきた性の謎を解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 読んだことを内緒にしようか悩んだのだが、学術的にも興味深かったので…

    有性生殖と単性生殖、そもそもあらゆるコストのかかる有性生殖が何故スタンダードになったかと言えばそれは親世代の遺伝子的エラー(病気など)を子世代に持ち越さないためである。母体がエイズでも子への感染は4分の1に抑えられる。

    異性に対し魅力を感じるのも遺伝子レベルのことであり、男性がスタイルの良い女性に惹かれるのはそういった女性は統計的に妊娠率が高いことを無意識に察知しているからだそうだ。逆に女性は男性の匂いに敏感で、好ましい匂い(一般的には臭いとされる匂いであっても)と彼女が感じる相手は彼女とは別の免疫タイプを持つ男性であり、その組み合わせは次世代である子の免疫力を高め、より生き残りやすい体質へとつながる生殖パートナーを遺伝子が選定する。

    では生殖が繁殖に繋がらない同性愛をどう説明するかと疑問がわくが、同性愛はヒトだけでなく他の生物においても一定数存在する。ヒトに最も近いとされる猿の仲間ボノボでは、同性異性問わない乱交が目撃される。これは群れに無駄な争いを起こさないよう、交尾が精神安定剤的な役割を持っているらしい。

    性感染症については、例えば梅毒やエイズ、クラミジア等は初期には目立った症状は出ない。長い潜伏期間でより多くのパートナーへ感染させることでウイルスとして繁殖を遂げるためだ。性感染症の中には寄生主の性欲を高めて、より自らの繁殖を容易にするものもある。ヒト以外の動物、ヒヒなどは自然界にあるブラックプラムを食べることで潜在的避妊を行い、その個体数を適正に保つことに役立てている。と言うことから推測するに同性愛などジェンダーの問題を抱えるヒトが一定数生まれるのには、人類全体を適正数に保つための遺伝子の企みなのかもしれない。

    遺伝子はヒトの生殖に快楽を与え、繁殖をコントロールしようとした。しかし、近年恋愛に意欲的でない若者が増えてきた。性欲は手軽に発散できるようになり、恋愛の煩わしさや結婚における責任、また離婚率の高さなどから一人でいることの気楽さを選ぶヒトが増えたのだ。iPSやクローン技術など科学の発展、卵子提供や精子バンク、卵子凍結などはまだ一般的ではないがこれが一般的になればヒトは(厳密には違うが)単性生殖が可能になる。恋愛や結婚に夢を見出せないヒトたちはその先駆けなのかもしれない。

    余談だが、一卵性の双子の片方が同性愛者である場合、もう一人もそうである可能性は50%…ジェンダーの問題の大半は母体の中にいる間のホルモンが左右することなので、我が子がマイノリティに生まれてしまった際両親が育て方についてあれこれ悔やむのは無駄なようだ。

  • 鏡の国のアリス
    赤の女王の前で行われている競争に加わって走るアリスが
    ぐるぐる回るばかりでどこにも行きつかないではないかというと
    赤の女王が「同じ場所にとどまるためにできることは、必死にはしりつづけるだけだ」と説明する。
    つまり、バクテリアも植物も捕食者も被食者も、生きているものはすべて進化するために継続的に改善していかなければならない。
    競争に負けないで種が繁栄していくためには、常に大々的に進化し続けることが必要なのだ、ということだ。
    進化が停滞した種は、取り残される。有性生殖は種に、各世代での進化の実験ができるチャンスを与えたー進化の実験は同じ場所にとどまるために必要なのだ。

  • 進化人類学的な見地、性淘汰のフィルターを通して、ヒトにセックスにまつわる行為や仕組みを解き明かす。
    知らない事も多々あり、興味を持って読めるが、性病に関してや、他の生物の性行為にもページを割いてあるので、そこらに興味が無いと少し長く感じる。

    あくまでも学術的見地や様々な研究調査が引用してあって、本当にヒトという種は面白いと思える。

  • 勉強なった。

  • 生命の神秘がよく分かる本。

  • 原題の How Sex Works のほうが正しく内容を表している。セックスについての雑多な科学的知識が詰め込まれているが、なぜ、人がSEXをするのかについての遺伝進化論の観点からの考察はとても少ない。
    一つ新知識だったのは、人間やボノボ以外の動物も、生殖のためでなくてセックスする動物はたくさんおり、同性愛のセックスをする動物もたくさんいるらしい。
    また、いわゆる潮吹きという現象は科学的に証明されており、男性の精液(のうちの精子以外の成分)と似た液体が性的の興奮した女性の尿道管内に分泌されて飛び出る現象で、それほど珍しいものではなく、本文中で、女性の射精とよんでいる。

  • 若干古い本ながら、知らない話が結構のってて嬉しい。
    たとえば
    『ホモは子供を作らないのに、なぜ自然淘汰されないの?』
    に対する、明確な回答が載っていた。
    なるほど。

    ほかにも、男女以外の性のスペクトルに対する、生物学的な説明がくわしい。

    また、女性の性的興奮のシステムについても。
    精液にも性的興奮物質が含まれてるとか。

  • 今まで何冊か読んだ性関係の本では最もよくまとまって
    いたのではないかと思う。それは「オルガスムの科学」
    「赤の女王」「人の性はなぜ奇妙に進化したのか」と、
    今まで読んだうち3冊が引用紹介されていたことにも
    現れていると思う。

    ただその分掘り下げが足りないと感じたのも事実だな。
    そのジャンルの1冊目として読むのには悪くないかも
    知れない。

  • 学術的な真面目な本で、わたしには少し難しかった。けど、ちゃんと読めば面白いと思います。

    家族をつくるためにオルガズムはある。
    恋をするとオルガズムは深くなり、達する回数も多くなる。
    女性のオルガズムは、パートナーとの間によりしっかりした絆を深める。それが愛につながっていく。

    ここが自分的には大事なポイントかな…。

  • ヒトの性を1から10まで徹底的に探る、というコンセプト。
    様々な研究や文献が紹介されており、参考書としても重宝する。

    女性の身体、男性の身体、恋愛におちるメカニズム、セックスのこと、
    男\女の区分け、同性愛、性病、避妊など多岐に渡る分野について最新の研究がレビューされる。
    様々な研究がレビューされるなか、明らかになっているのはどこまでか、
    異論や反論も併せて紹介されているので、議論が偏らないように目配せしている(ように見える)。

    人によって違うだろうが、その常識が誤った知識(もしくは更新されたか)ではないか常に確かめていきたい。本書も言うように、
    「よりよい性生活を送る為の魔法の処方箋は、一言『理解』」だ。

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著者プロフィール

■シャロン・モアレム(Sharon Moalem MD, PhD)
受賞歴のある科学者、内科医、そしてノンフィクション作家で、研究と著作を通じ、医学、遺伝学、歴史、生物学をブレンドするという新しく魅力的な方法によって、人間の身体が機能する仕組みを説いている。ニューヨークのマウント・サイナイ医学大学院にて医学を修め、神経遺伝学、進化医学、人間生理学において博士号を取得。その科学的な研究は、「スーパーバグ」すなわち薬が効かない多剤耐性微生物に対する画期的な抗生物質「シデロシリン」の発見につながった。また、バイオテクノロジーやヒトの健康に関する特許を世界中で 25件以上取得していて、バイオテクノロジー企業2社の共同創設者でもある。もともとはアルツハイマー病による祖父の死と遺伝病の関係を疑ったことをきっかけに医学研究の道に進んだ人物で、同病の遺伝的関係の新発見で知られるようになった。希少疾患や遺伝病への深い洞察は、本書においても大きく活かされている。

「2020年 『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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