- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784757217638
作品紹介・あらすじ
27世紀。人類は銀河系の惑星に散らばり、国連の専制支配下にある。魂はデジタル化され、小さなメモリー・スタックに記録されて肉体に埋め込まれている。外側の肉体を乗り換えていけば、永遠の生命を得られるのだ。フィリップ・K・ディック賞受賞、SFハードボイルド・ミステリの傑作が、ついに文庫化。
感想・レビュー・書評
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翻訳家・田口俊樹さんのエッセイで知った作品。記憶のデジタルデータ化技術により、肉体を交換することで実質的な不老不死が実現した近未来を舞台に元特殊部隊員の主人公が大富豪の死の真相を探るという所謂サイバーパンクものだが、その文体はチャンドラー等の先人達を匂わせる本格派のハードボイルド。お約束の錯綜した人間関係に加え、独自の専門用語がバンバン飛び出すので結構苦戦しながら読み進める。上巻の時点では事件の全貌が全く見えてこないので、下巻に期待。日系人のタケシ・コヴァッチを主人公に据える著者は結構な親日家のようです。
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フィリップKディックの世界感に似たサイバーSF。
主人公が日本人らしき名前と、全体的な、けだるさ感がかなり気持ちいい。
文庫の表紙に惹かれて購入する。 -
SFのジャンルではサイバーパンクなのかな?でも雰囲気はハードボイルド系でした。探偵、謎の殺人、追ったり追われたり、殴り合い、そして煙草。
人格を電子的に保存して、(お金はかなりかかるものの)自由に肉体にダウンロードできる、という発想にドキドキしました。確かに生死も距離も超えることは可能で、それを前提にした社会は、「殺人」「格差社会」「セックス」「宗教」「離別」それぞれそんな問題が起きるのか、と納得。
所々で「タケシ」「オオサカ」「カラテ」などなど日本的な人物、店名、地名が出てくるところが楽しいです。カナカナ名だらけだけどある程度名前は覚えられる。
ストーリーとしては、ちょっと置いてけぼり感があってコヴァッチ孤軍奮闘してるというか話が一つの流れというより色々細切れになってる印象なのが残念。 -
人間の精神や記憶がデータ化され、肉体が容器のように扱われる世界を描くSF。この世界観での裏社会の描写が強烈。寝取られや娼館、拷問はこうなるのかと思わずうなる。ミステリ要素のある本筋にも、この設定が存分に活かされ読み応えがある。
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自分の記憶や行動がチップに書き込まれ、身体は単なる服(スリーブ)となってしまった未来を描くSF。身体が壊れても新しい身体にチップをインストールすれば、また人生の続きを生きていける。金持ちは自分のスリーブを幾つも持ち、永遠の命を手に入れ、チップが破壊されるR.D(Real Death)対策で、何日かに一回チップの中味をクラウドにバックアップする。そんな未来。
かなり読みにくく、これが書かれた当時は凄かったのかもしれないが、今ではたいしたことない様な物がSFチックなよく分からない名前で登場する。そんなSFハードボイルド小説。SF上級者向け。 -
不老不死、魂と精神とは?科学分野の究極のテーマの一つを描き出した世界観は面白い。
壮大な世界設定にしては、結論が寂しい。
世界設定に対するテーマだったら、もっとよかったのに。 -
雰囲気○。未来すぎて、想像が追いつかないところは△。
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面白い本ですよ、と薦められたので図書館で借りてみました。面白かったです。ただ読むのにえらい時間がかかりました。
用語よりも世界観が頭に入ってくるまでが長かったです。主人公は最初の頃フラフラしてトラブルにばかり首を突っ込んでるし。この展開は必要なの?と言う展開ばかり続いているように見えましたが最終的にはすべてがパズルのピースに収まった、と言う感じです。そのまとめ方は凄いなあ。
でも人間が肉体を脱ぎ捨てる時代なんだからもっと監視カメラとか記憶のコピーとかありそうな気もするんですけどね~ 探偵だけは地道な脚で情報を取る作業とか…前時代的すぎる気がしますが。
あ、そうか。それこそ雲の上のお館に行く時とかはその記憶媒体が邪魔になるか。プライバシーと管理社会は両立しないと言うことかな、うん。個人的に作中一番気に行ったのはトレップさんでした。彼女(彼?)は実に仕事に対してプロ意識があってわかりやすい。
肉体を脱ぎ捨てられるってバーチャルな感じかと思ったんですが、他人がそれまで使っていた肉体をまとうって…。なんか人の脱いだ服をそのまま着るような感触で読んでいて生理的にちょっと嫌悪感が。それよりもクローンとかの方が大量生産出来そうな気がするんだけどなあ。どうなんでしょうね。 -
上巻途中まではまぁまぁ楽しみながら読めた。
ページを追うごとにだんだん苦痛になっていき、下巻にいたる頃には、「もうええわ、はよ終われ」ってなってしまった(笑)
会話部分に「ええ?」って入れる和訳表現がイラつく。
上下巻とも読み終わってみたら最終的に退屈だったって……残念にもほどがあるっしょ。
よりSF的に見せるためだろうけど、既存の武器にチャチな言葉をつけ加えてさも進化したものに見せかけたり(それ自体はいい。しかしこの著者は、読者をうま〜く丸め込んでしまうセンスには長けていないようだ。無理はしないほうが良かった。W・ギブスンはそんなことしてないぞ)、主人公のタケシ・コヴァッチが『ニューヨーク1997』『エスケープ・フロム・LA』のカート・ラッセルを想起させるも(=既視感アリアリ、つか観てるよね絶対)、既存の映像作品の登場人物以上に魅力あるキャラに仕上がっておらず、とにかく残念な印象。
何より、これを2000年代のSF/サイバーパンク小説とするには、話のスケールが小さい。
著者自身は“フューチャー・ノワール”と表現しているそうだけど、SFとしても、クライムミステリーとしても、ハードボイルド探偵モノ/ノワール小説としても中途半端とくれば、そりゃ何か新しいカテゴリーを作りたくもなるというもの(笑)
辛辣かもしれないけど、現時点では著者に将来性は期待できない。こんなんでP.K.ディック賞って獲れるのか。
何というか、エンタテイメントとして萌えられる要素が皆無だと思う。 -
これぞ大人のSFといいたくなるような,未来チックなテクノロジー描写満載,かつハードボイルド(個人的には度が過ぎる気も)な内容なので,大人の少年心をくすぐること間違いなしです.
あぁ,なるほど,このテクノロジーがあれば,こういう世界ができあがるのか,と.
世界観がしっかりしてて,ぜひ映画化してほしい.きわめて難しそうだが,昨今のSF映画をみてる限り,がんばればできそう.映画化すればトータルリコールばりの大ヒットになると思います.
ただ、日本語が多少読みづらい.ハードボイルドってみんなこうなのでしょうか.
上巻では,まだでてきている謎が点すぎて,真相はなにもつながってきませんが,きっと下巻で解き明かされるのでしょう.期待も込めて★4. -
折角の、代わりの肉体があるから中々人は殺せないという設定があるのに、がっつりメモリ破壊して殺してしまうのは少し勿体無いような気がする。
まあ格好良いからなんでも良いんだけれど! -
私にもエンヴォイの能力を、、、
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がちがちSFだと思って読み始めたけど、むしろがちがちハードボイルドだったという。人格の外部保存という設定自体は正直ありふれているけど、そこからの死生観がハードボイルドな作風にマッチしてて面白かった。ただやっぱりエロ要素とかムダに殺しまくるところとかはSFファンとしては良くわからないところw 文章が冗長なのに加えて訳もあまり丁寧とは言えないのも残念。大きく展開するらしい下巻に期待!
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27 世紀が舞台のサイバーパンク・ハードボイルド・サスペンス(?)。
人間の精神はデジタル保存出来、
死んでも肉体を乗り換えて不死でいられる。
読み始めて直ぐに、あれ?なんか面白くない・・・。
そのうち面白くなるはずだと読み進むが、
モヤモヤとした気持ちのまま読み終わってしまった。
アニメやハリウッド映画の底本の様な印象。
きっとアニメ好きの人には、大変面白いのかも?
それと詳細な描写のエロシーンはいらんと思う。
次作「ブロークン・エンジェル」も読もうと思っていたが止めておく。
2003 年 フィリップ・K・ディック賞受賞作品。 -
ずっと読みたかったけど文庫本になるまで待ってました。ディック賞受賞?だったかなんだったか。とにかくSFというよりは、ハードボイルドとして秀逸。続きを読んでからちゃんとした感想を書きます。
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上巻読み終わった時点では好みの範疇です。
本筋と関係ない(今のところ)とはいえ、火星人云々の舞台設定はいらないような・・・途端、安っぽいSFに感じてしまうので。 -
ハードボイルドな探偵ものミステリとミリタリーSFが合体!と云った具合。
攻殻機動隊で、人の魂はデータとして取り扱えるかみたいなことが繰り返し云われてるけど、それが全く可能になった世界。
だけど纏う肉体と、精神には分ち難い繋がりがあるらしいことも物語の中では語られている。
身につけるものが違えば気分も違ってくるのだから、肉体が全く別人のものになってしまえば、…まあそうなんだろうな。
SFらしいギミックと割と古典的と云うかコテコテななマッチョな趣味嗜好が入り乱れていて、中々面白く読めた。
星四つにするか悩んだけれども。