- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784757302280
感想・レビュー・書評
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アキバ系ビジネスについて、オタク層の分析から、既存のビジネスモデルの説明ないし、アイデアを提案した本
目次
<blockquote>第1章 アキバ系商品とは
第2章 オタク系ビジネスのキーワードは「萌え」
第3章 オタクの経済と生活
第4章 「オタグッズ」の魅力を分析する
第5章 世界に拡がるオタクビジネス
第6章 秋葉原はいつまで「アキバ」なのか
</blockquote>
意外に良本……なのだが、どうもAmazonではすこぶる不評のようで。
この本は、あくまでアキバ系のビジネスをする人が、マーケッティングを行う為に基礎知識として読む本だと思う。
不評の原因は、その対象読者層から外れた人が読んだ感想が多いからなんじゃないかなぁ……と。
それと、オタク層に関する分析が深く切り込んでいるから、一種のバッシングにつながってるんじゃないかと思った。
<blockquote>このため、オタク相手にビジネスを展開するには、彼らがどうして現実を嫌うのか、どの程度のことを彼らは「イヤな現実」とみなすのかを事前によく研究しておくことが必要である。多くの場合、彼らのいやがる現実というのは、彼らの好むとされるものにほど近いところに存在する。<b>「セックス」と「妊娠・出産」などはこの好例だ。オタクは一般の人が気にならない程度の「現実」でも大騒ぎし、拒否反応を示してしまう事がある。</b>
(中略)
この歯車が悪い形に回転すると、<u>昨日までさんざんもてはやしていたものに対する興味を急に失い、</u><b>次の瞬間罵倒し始めるようになる。</b>
</blockquote>
下線・太字はわざとつけました。
こういう気質は分析されると気分がいいものではないのだけど、アキバ系ニュースで大騒ぎになる話題としては、数年に一度は発生しますね。去年(2008年)にも1〜2件ありましたねぇ。
しかし、著者は人が悪い。オタクバッシングしてると捉えられる文脈もある。
<blockquote>何しろ彼らは、もはや日本では珍しくなってしまった「処女性」の熱烈な信奉者である。未だ性体験を持たない純潔なものを高く評価しようという姿勢には、これが21世紀の若者なのか? と驚くしかない。タネを明かせば、<b>異性と付き合った経験の少ない自分を正当化するために「処女性(童貞性)」を尊重しているのに過ぎないのであるが。</b></blockquote>
いや、太字部分ぶっちゃけ過ぎだろJK。それを言っちゃ反感買うのは間違いない。
一方、ビジネス的な推察だが、ターゲット層を「団塊ジュニア層」が「現役オタク」、それより上は「ガンダムオタク」と銘打って論じている。
ターゲットの分け方は間違ってはいないと思うが、ちょっと粒度がでかいかな。それこそステレオタイプ的な分け方になっているきらいはある。まぁ、流れ上しょうがないのかも知れないので、ここを過度に突っ込む事は避ける。
<blockquote>基本的にオタク業界は、消費者とクリエイターの距離が、他の業種と比べるとかなり接近しているものなのだ。
このためオタクは「チャンスがあれば自分もオタグッズクリエイターに」と考えている。ある意味オタグッズクリエイター企業を自分のライバルと認定しているため、その人気をくつがえすチャンスが見つかったら容赦はしない。税の申告漏れがあろうものなら、「脱税企業」のレッテルを貼り付けられ、インターネット上でネガティブキャンペーンを張られてしまう。</blockquote>
このあたりも、アキバ系の特殊さを示す文脈だろうか。
昨今ではインターネット上のネガティブキャンペーンは珍しいものでもなくなった。だけど、そういう運動を行っているサイトの情報を見ると、凄まじいまでに詳細な情報が集まっている事に気づく。
まぁ、ざっとかいつまんで紹介してもこのような感じだろうか。書評文の更新をしない前提で書いているので、具体的な事例の紹介は省くが、おおよそ2008年のアキバ系ニュースをざっと見ると、この文脈にひっかかる事例が見つかると思う。
ただし、著者の主観が入った文章(しかも、表記の荒れが目立つ)なので、手放しに喜べない本なのだけど、参考として読むのならば、中途半端なアキバ系新書本よりはアキバ系への理解が深まると思う。決して教科書にしないということかな。
アキバ系というものに関して、昨今の新開発やらで環境が変わっているので、この本の内容が古くなっている事もある(2004年初版)ので、それも理解したうえでどうぞ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
松田:読了
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オタクをまじめに分析してるのか、ばかにしてるのか評価はわかれるところ。まぁ興味ある人は一見の価値あり。