愚愚れ! 信楽さん -繰繰れ! コックリさん 信楽おじさんスピンオフ- (ガンガンコミックスJOKER)
- スクウェア・エニックス (2014年12月22日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (151ページ)
- / ISBN・EAN: 9784757545083
感想・レビュー・書評
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私的には、スピンオフってのはアリかナシで言えば、アリだ、ただし、作画を担当する漫画家次第だが
自分だけの絵柄を失わないと同時に、原作者の絵柄に似せられるか、もしくは、求められるモノを描ける高い画力も勿論、大事だが、私はもっと、他にスピンオフの内容を愉しむために重きを置いてる点がある
以前、『FAIRY TAIL ブルーミストラル』の感想を書いた時にも述べさせてもらったが、原作者に対して、尊敬の念と共に、オリジナルの面白さを超えてやるって勝ち気、気概、原作者に向けた対等なライバル意識があるか、そこが私にとっては大事なのだ。無自覚であろうと、心の中に少しでも、それがあれば、話に如実に表れる
そう言う意味では、この『愚愚れ! 信楽さん』はスピンオフとしてレベルが実に高い。オリジナルにはない、遠藤ミドリ先生にも出せない面白さが存分に詰まっていた
コックリさんでなく、化け狸・信楽を主役にしている点も好感が持てる。過去話であるのに加えて、コックリ、信楽ともに、ベタだが特殊性も併せ持つ刑事って職に就いている設定も面白かった
オリジナルでも、稀に男前な一面を見せてくれる彼が、この作品ではそれなりにゲスさを醸しつつも、本当にカッコいいのだ。信楽ファンの女子は手放しで喜べるだろうが、『操操れ!コックリさん』が全般的に好きなファンからすると戸惑うなぁ。でも、カッコいいから文句はない
信楽の、どんな女にも優しくする、この一点だけは同じ男として尊敬できる。他の部分はまぁ、アレだw きっと、彼のような男を「伊達男」と呼ぶんでしょうね。まぁ、普段は「駄目男」だけど
コックリさんの本気モードの姿が見られる第1化け、手錠プレイにニマニマ笑いが隠せない第2化け、どちらも笑えると同時に心温まったが、やはり、私は信楽が一人の女の為にポリシーを曲げる強さが見える第3化けをお勧めしたい
たった一巻で締め括ってしまうのは、実にもったいない。遠藤先生がOKを出せるのなら、是非、続編を描いて欲しいものだ。可能なら、前後編の話を読みたいな
この台詞を引用に選んだのは、オリジナルの信楽が実際に言いそうだ、と納得する一方で、宗一郎先生にしか出せない味をしっかりと感じられたから詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
おじさんの懐は、金はなくとも深いのさ。
『繰繰れ!コックリさん』の名脇役、化け狸の信楽さんを主役に据えたスピンオフ漫画です。
本編のシュールギャグっぷりは鳴りを潜め、女の子にやさしーちょい悪なイケ親父の警察人情劇を描きます。
警察? って思った方は正解。
面食らうのも当然かもしれませんね。
この漫画、全四巻と言う構成の中で一応、彼らが妖怪相手の警察をやっていた頃の過去編という体裁を取っています。
が、本人の口による嘘かホントかわからない語り、本編の時間軸は出てきても繋がりそうなのに微妙に途切れてる部分(顔の傷とか)、幽玄夢幻な仕掛けも施されています。
本編がギャグであるので、何でもありな懐の深さを考えれば考えても詮の無きことですが、すべてを信じても部分的に信じても話は成立します。
そもそも「騙すこと」を領分とする信楽さんの生き方に則れば、あんまり考えすぎるのも野暮ってものでしょう。
個々の話としてはちょっとしんみりとした王道の幽冥譚が多く、ビターなエンドも多いですが、ハッピーエンドもハッピーエンドで一癖ある不思議な味が捨てがたい。
昭和中期の雰囲気漂う町の風景と、全般に漂う冬の香りが大人を演出します。
老いも若きも女の子は素敵に描かれていますし、それをエスコートするおじさんがカッコいいですね。骨太な絵ですが、中年のかさつきをはじめ、老若男女の肉付きが実によく描き分けられているのです。
多少老成はしていてもツッコみ気質な世話女房な相棒のコックリさんとのつかず離れずなパートナーシップはバディ物としても得点高し。
この巻では、男二人の誰得な入浴シーンがあったりするのですがそれでも色気を感じてしまいました。
本編で頻繁に女体化する分、あんまり違和感が無いというのもあるのでしょうが。
本編主人公のこひなは幕間ごとにカメオ出演と言った趣。けれど、本編の定番ネタはしっかり話作りに活かされています。
もちろん、そのまんまのギャグというわけではありません。男同士の掛け合いで、しっかり笑いは作ってますけどね。
狐狗狸の中で信楽っていう狸さんは一番安定感があります。一番場数と経験を重ねてそうな年長者の貫禄は伊達じゃありませんね。
負ける姿が容易に想像できないことに対する安心感とでもいいましょうか。
ギャンブルとか女遊びとか単独行動の中でニートしてるのみならず、こういう過去もあって事件を解決してきたんだよって物語を提示されて、想像の余地が広がった気がします。
長く生きた者によるサイレントな感情の動き、刑事らしい追跡と逃亡、恐ろしげなあやかしの存在感、ひとつひとつ話を取っても見せ場満載の一巻でした。
取っ掛かりは多く、懐も広い。そんな彼のことが好きになれます。
元々好きな人にとっては更に魅力が広がること、それを確信しています。 -
繰繰れ! コックリさんの化け狸、信楽おじさんが主人公のスピンオフ第一巻。
狐、狗、狸の中から選ぶならやっぱり狸なんでしょうね。パット見ヤクザ者で、その実はというテイストの話で、本編のようなギャグはあまりなし。個人的にはおじさんの右目の傷の秘密なんてやってほしかったんだけどな。
狐と狸が共に刑事として働いている世界で、二人の関係性とか見ても、本編とはちょっと時間軸がずれ(ちゃっ)ているような感じ。 -
続刊が欲しくなりすぎる程度には良いスピンオフでした。原作を損なうこともなく、突飛すぎる世界観に引っ張り込むわけでもなく。遠藤先生と宗一郎先生、元アシスタント仲間ということで執筆されたのかな-。原作からの違和感を感じることも一切なかったです。クズ格好いいおじさんのお話。
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ウェブで1話見て気になってたのでコミックス化嬉しい。
こういうこともあるのかなーってのは夢が広がります。
1話でコックリさんの髪留めの経緯気になってたんだけど、一生懸命な彼が愛しいのでまあいいか気分。 -
キャラの中で信楽が一番好きなのでスピンオフも。
まさか描いてる人が別だったとは思わなかった。でも絵が綺麗なので満足。
最初から警察官な信楽とコックリさんの話が始まったので予想外だったけど楽しめたけど、2人の設定が日常メインの原作とかけ離れてるので、公式による二次創作と感じた。
1話の謎めいた少女が可愛らしい。そして少女に言った信楽の言葉がいい男って感じなのでずるい。また3話の少女も笑顔で隣に佇んでいるのなら、最後の幻で幸せを感じられたのかな。
スナックの雇われママなコックリさん可愛い。