黒水村 (一迅社文庫)

著者 :
  • 一迅社
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本棚登録 : 78
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758040068

作品紹介・あらすじ

漆黒の森、底知れぬ闇をたたえた深い山。光なき、黒い影に囲まれた山村「庫宇治村」。単位の足りない生徒のため組まれた課外学習の一環でこの村を訪れた、立花玲佳たち七人の生徒と引率の片平教諭は、この地に隠された恐ろしい伝承と名状しがたきものの存在を目にする。そして村に黒い雨が降るとき、耐え難き苦痛の記憶とともに死んだはずの者たちが目覚める。この村に隠された秘密とは。そして、黒き雨の降る地に花咲き実る、鮮血の色をした果実「アカモロ」の正体とは何か?新進気鋭のホラー作家、黒史郎による渾身の閉鎖村ホラー、ここに開幕。

感想・レビュー・書評

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  • 玲佳は小説家を夢見る女子高生だった。そんな彼女は、学校の企画に参加するため、とある村へと赴く。やっとの思いでたどり着くと、そこは黒く薄汚れた、異様な村だった。あまりの様子に不安を覚えながらも、企画のプログラムをこなそうと奮闘するが……。
    ***
    ホラー小説や怪談本を多数手がけている作者さんが執筆したライトノベル。ライトノベルなので絵柄はかわいいが、内容はなかなか恐ろしい。村に入る前に目撃される異様な儀式、その先にある過疎化した限界集落、訛りのキツイ村人、気持ち悪い植物、村で守らなくてはいけないしきたりに、不気味なわらべ歌、村独自の風習などなど、閉鎖的な集落を舞台にしたホラーに欠かせない要素がたくさん詰め込まれていた。それぞれが喧嘩をすることなくマッチしていたと思う。語り口は軽く、サクサク読みやすいが、その文体でも迫りくる不気味な声や、降りしきる黒い雨の描写は気持ちが悪かった。序盤は村の異様な雰囲気に怯えながら読んだが、中盤になってからは怖さと面白さが半々ぐらいで駆け抜けていった。ひたりひたりと背後から怨霊が忍び寄る、ジャパニーズホラーの展開ではないが、圧倒的な脅威を以って走り寄ってくる様に、心臓が縮んだ。強大な敵を討ち滅ぼし、目的を砕くというような展開も待っていて、飽きなかった。様々な要素を楽しむエンタメ系ホラーだったという印象。 最後は、全てを解決したという雰囲気も醸し出しつつ、不安な余韻も残しつつ終わっていった。最後に、出てくる高校生の一部が割とハイスペックなので何でも許せるという精神で読んだほうがいいかな。こんなこと、できるわけないじゃん、と思ったその瞬間からこの本の面白さがなくなると思う。あと、クトゥルフ神話を読んだ事がある人はニヤッとする要素もあるのかもしれない。私は残念ながらクトゥルフ神話は読むのに躓いてほぼ未履修だが、一齧りしている私にも、何となくではあるがそうじゃないかな?と思う要素があったので。

  • 濃密な世界観を楽しめる作品。視覚的恐怖と理解し侵食される恐怖、この二つのものがキャラクターに置かれていて非常に好感触。ラストには仕掛けと恐怖が大きくなっていくが、それゆえに好みは別れるかもしれない。

  • あー、B級的での閉鎖空間伝奇物です。
    夜に読むと少しは怖いかな?といった感じで。
    絵は可愛いです。
    あとじゃ、もう少し『閉鎖空間』と言うキーワードを生かして欲しかったなあと。

  • タイトルは舞台となる閉鎖的な村の名前で、読みは「クローズ村」。このあまりに酷いネーミングセンスに惹かれて購入。

    作者は、第一回『幽』怪談文学賞長編部門大賞を受賞した優秀なホラー作家ということもあって、ホラーの成分はきっちり濃厚。時におどろおどろしく、時に気味悪く、そして時にはサイコ。ライトノベルにもここまで背筋を奮わせるものがあるんだな、と衝撃を受けた。
    ただし、それはホラーという局地的な成分のみでのこと。

    筆者は今回の作品がライトノベル初ということで、ライトノベルらしい作品を、と意気込んでいたのだろう。ただ「ライトノベル」というジャンルに対して、特別愛情はなかったんじゃないか。
    無個性な導入、見覚えのあるキャラクターや人間関係、ご都合主義、ありえない人格変化…。
    遠目から見た平均的なライトノベルといった感じだが、一線で活躍するライトノベルでは、これらを無理なく作品に溶け込ませているものだ。無茶ではないように、もしくは無茶であっても納得できたり解決しなくても別にいいやと思わせるような仕掛けが組み込まれていたりする。
    しかしこの作品では、それらの処理が為されていないように思う。聞きかじりの「ライトノベルらしさ」を無理やり詰めたという印象だ。
    快活の具として作用している部分もあるのだけど、特に佳境以降は、作品を安っぽくおとしめるようにしか作用していない。これは広げた風呂敷をうまく戻せなかったせいもあるんだろうけど…。

    ドヘタクソな説明で申し訳ない。(しかも妄言じみてるし…)

    ホラーとしての価値は低くないと思う。舞台となる村の文化や住民は面白く異常で不可解で、そして得も知れぬ雰囲気が常に漂っている。
    ただ「ライトノベルらしさ」を意識しすぎていて、物語進行(設定の紐解き)の邪魔になっているかな、と。ろくな説得力もなくキャラクターが万能だったり大天才だったり…、本作ではこういう系の粗は無視しづらい。恐怖描写が地に足をつけたものなだけに。
    タイトルのセンスもそうだが、ライトノベルを変なふうに意識したせいで、何かを間違え続けている。
    そんな印象。

    一言でいうと、調理ミス。
    もったいない作品。

  • ライトノベルでホラーが読めるとは思わなかった。
    (なんか他に出てましたっけ?)
    画が好きだ!

    でも、生き残りすぎだろう、とか思っちゃった(笑)
    次は東京で文字通りでドンパチすれば面白い
    昨今の健康ブーム的なアレとかエコとかで引っかかるヤツ多いって

    …すいません、妄想です。本書籍とは関係ありません。

  • ホラーとしてはどこかでみたことのあるような展開。話としては面白いけど、主人公に感情移入しにくい勘は否めず…
    でてくる方言も読みにくいし理解しにくい。
    良くも悪くもするすると読んで、終ります。
    ホラーを銘打つ割にはあまりホラーっぽくない…気がする。ホラーというにはあまり怖くないのが一番の理由。
    危機迫る状況を描写しているわりには緊迫感とか臨場感とかそう言う感覚が抜けている、という感じ。
    文章の好みかもしれないけど…どうしてもただ話の進行を見ているだけになりやすく、結果としてホラーというには物足りない感じでした。
    ネタと展開が結構好みだっただけに勿体無いな。

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著者プロフィール

黒 史郎 (くろ・しろう)

小説家として活動する傍ら、実話怪談も多く手掛ける。「実話蒐録集」シリーズ、「異界怪談」シリーズ『暗渠』『底無』『暗狩』『生闇』『闇憑』、『黒塗怪談 笑う裂傷女』『黒怪談傑作選 闇の舌』『ボギー 怪異考察士の憶測』『実話怪談 黒異譚』『川崎怪談』ほか。共著に「FKB饗宴」「怪談五色」「百物語」「怪談四十九夜」「瞬殺怪談」各シリーズ、『未成仏百物語』『黄泉つなぎ百物語』『ひどい民話を語る会』など。

「2023年 『横浜怪談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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