れんげ荘

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.50
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758411356

感想・レビュー・書評

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  • R4.7.2 読了。

     40代半ばの独身のキョウコさんが会社を早期退職し、貯金を切り崩し生活費月10万円、築年数50年ぐらいの「レンゲ荘」で一人暮らしを始める。冬にはすきま風、梅雨時はカビ、夏には蚊の襲来などと闘いながら、鳥の声や草の匂いを知る。もちろんエアコンも無い。
     きっと自分なら不安しかないような生活を送るキョウコさん。梅雨時期の湿気やカビ、夏の蚊の襲来と暑さ、冬の寒さに隣人のおしゃれな60代の女性のクマガイさんや大家さん家族に相談したり、助けられたりしながら、懸命(?)に生活している姿になんとなく勇気づけられました。そしていい味を出しているのが友人のマユちゃん。キョウコさんの相談に適切なアドバイスをくれるこの物語には欠かせない存在。
     気がかりは、今はそんなキョウコさんを受け入れられないキョウコさんの母親にいつか理解してもらえる日が来るのかですね。
     このれんげ荘はシリーズ化されていて、続編が数冊あるようです。キョウコさんの今後が気になります。読みたい本が増えて悩ましいところです。うーん。

    ・「たとえば誰かみたいになりたいとか、具体的な人じゃなくても、頭の中に描いているかっちりした鋳型に、がんばって自分を嵌めようとしてるんじゃないのかな。どこにいても。その人にふさわしいモデルケースなんて、誰も教えてくれないの。そんなものはどこにもなくて、自分の頭で考えて自分になるしかないのよ。」
    ・「変に意味づけしようとするから、あれこれ悩むのよ。」
    ・「自分が何もしなくていいように、器が整っているのは楽だけど、その部屋はいろいろ手を加えて住む楽しさっていうのもあるんじゃないの。」
    ・「辛くて嫌なことも多いけど、楽しいこともあるわよ。それは自分で自分を楽しませることを見つければいいんじゃないのかな。悲しいのは悲しいけど、それでもやっぱり悲観しないで生きていくのが、大事なんだと思う。」

  • こちらで知って、読んでみた本。
    良かった。

    職場の人間関係も性格のきつい母親との同居も嫌になった主人公が45歳で仕事を辞めて家賃三万円のれんげ荘に引っ越して月10万円で生活を送るお話。

    最初から最後までお母さんが強烈で、平坦な生活を綴る文章のアクセントになっています。出てくると「またか」とうんざりする気持ちと「今度は何を言い出すのか」とハラハラする気持ちになります。
    お母さんは強いけど、お兄さん家族は常識的で優しい人たちで家族での食事会に誘ってくれたり母を牽制してくれたり、キョウコを心配してくれて「まっとうだなぁ…」と感心してしまいます。

    私が好きだったのはマユちゃんで、弱っているキョウコに淡々と諭すくだりはいつもさすがマユちゃん、と私も諭されている気分になりました。

    腹が立つことも、辛いことも軽妙な書き口で語られるとクスッと笑えてしまったり、癒されるときもありました。
    ラストシーンがよくて、今もじわじわ余韻に浸っています。

  • 45歳でそれまでの人生をリセット。
    家賃三万、ナメクジが入り込み、蚊の大群も襲ってくる。部屋の中で雪が降る。
    そんな場所でも、自分の居場所と思えて楽しめるならサイコーだろうな。

  • 45歳にしてリタイア生活を始めた主人公のキョウコはボロアパートで月10万の生活を始めます。トイレ共同シャワーのみの、吹けば壊れるボロアパートですが、昭和レトロでなんとなく素敵な感じです。全てが嫌になり何もしない生活を選んだはずですが、そこでも迷ったり焦ったり。キョウコの気持ちが共感できて、群さんはそんななんの特技もない普通の人を描くことに長けているなと思いました。物はなくとも小さな幸せを見つけて生きることが、逆に豊かなのではないかと気付かせてくれる小説です。

  • これまでの生活に区切りをつけて「すみれ荘」という3万円のアパートで生活することに。いろんな人間模様もみれてとても楽しかった!

  • 四十五歳で仕事を辞めて一人暮らしを始めたキョウコのお話。何もしなくていいなんて、一度は憧れる暮らしだよな〜。羨ましいけど実際にはできないだろうし、逆にそれくらいは働かないとできないのか…とも思ったけど。
    何気ないことに気付けるのって、きっと心に余裕があるからなんだよな。季節の変わり目とか、生き物の鳴き声とか。そういうの、ちゃんと感じて生きたいよな。

  • 群さんの本を読んでみたいと思った。
    仕事に疲れた45歳のキョウコ。母親からの干渉もひどく、何もかも捨てたいと思い、一念発起!仕事を辞め、れんげ荘に一人住む。野宿しているような厳しい季節もあれど、れんげ荘での暮らしは悪くないようだ。お友だちや姪っ子ちゃんが好きと言ってくれるれんげ荘。果してキョウコはどう生きていくのか。
    仕事を辞めたいと思う日は多いけれど、キョウコのように一念発起できない自分は小心者だなと思う。

  • 就職した都心の広告代理店をきっぱり辞め、10万円で暮らす古い安アパートに引越しをした。アパートには個性豊かな人々が住んでいた。豊かな暮らしに慣れると蚊に襲われたり隙間風やカビに悩んだり考えられない。でもそれなりに生活を楽しんでいる。これが贅沢貧乏なのだろう。

  • 1か月10万円生活。

    きっと無理だろうなあ。

    とても快適とは言えないれんげ荘での生活。想像しながら読みました。

    何か、自分に合った楽しみを見つけるといいのかなあ。でも、お金がかかっちゃったらダメか?

  • いくら貯金をしたのか、働きもせずこの先どうするのか。虫、湿気、寒さ気になり過ぎて集中出来ない。

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著者プロフィール

1954年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。数回の転職を経て、78年、本の雑誌社に入社。デビュー作『午前零時の玄米パン』が評判となって、作家専業に。「無印物語」で人気を博す。『かもめ食堂』『れんげ荘』『三人暮らし』など著書多数。

「2023年 『老いとお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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