山本周五郎戦中日記

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758411851

作品紹介・あらすじ

周五郎が遺した日記から、太平洋戦争中の全文を一挙収録。緊迫した状況のなか、作家として、そして家族の大黒柱として、何を考え、どう生きたか-。未公開部分を含む第一級の昭和史資料!六十六年の時を経て、初の書籍化。

感想・レビュー・書評

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  • 原稿進み具合、飲み喰い、知人往訪の記録に加え、次第に空襲の記述が入ってくる1941〜45年2月迄の小説家の日記。「仕事だ仕事だ」「がんばれ」「神よ」の言葉が目立つ中、生や死についての思考もあり興味深く読んだ。

  • 山本周五郎が奥さんと死に別れ、
    長男とも離れ離れになった状況を
    事細かに知れると思い、購入。

    結果としてその時期に到達するまでに
    日記は終了してしまう。

    山本周五郎の親戚や知人との交友関係や、
    作品を仕上げるのに苦悩する様子が
    ありありと表現されている所が良かったが、
    空襲警報のなった時刻や戦闘機の飛行状況などが
    事細かに記録されており、
    一庶民の戦時中の手記としても
    貴重と思われるものだった。

    昭和19年11月頃からやたら日記の頻度、分量が
    濃密になり、戦時中という生々しさが増す。

  • 日米開戦から45年2月4日までの戦時下の日記の初収録。作家として足場を固めこれからという時に周五郎を襲ったのが空襲の恐怖。戦争と日常が交錯するなか、家庭人としての周五郎、作家としての周五郎の足跡を肉厚に補完する貴重な記録。

  • 太平洋戦争開戦時から東京大空襲直前までの日記である。改めて驚かされるのが、真珠湾攻撃から4カ月あまりで本土初空襲があり、忌まわしい恐怖はその後終戦までの長い間人々の日常生活と共に存在したことである。困難な時代にありながら、執筆活動を「仕事」と称して黙々と筆を執る著者の姿に心を打たれる一方で、酒好きな庶民としての生活風景にニヤリとさせられる。

  • イメージどおりの周五郎だったのがうれしい。
    がんばるべし周五郎。がんばるべし周五郎を読む人!

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著者プロフィール

山本周五郎(やまもと しゅうごろう)=1903年山梨県生まれ。1967年没。本名、清水三十六(しみず さとむ)。小学校卒業後、質店の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来)。雑誌記者などを経て、1926年「須磨寺付近」で文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞。『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』など、とくに晩年多くの傑作を発表し、高く評価された。 

解説:新船海三郎(しんふね かいさぶろう)=1947年生まれ。日本民主主義文学会会員、日本文芸家協会会員。著書に『歴史の道程と文学』『史観と文学のあいだ』『作家への飛躍』『藤澤周平 志たかく情あつく』『不同調の音色 安岡章太郎私論』『戦争は殺すことから始まった 日本文学と加害の諸相』『日々是好読』、インタビュー集『わが文学の原風景』など。

「2023年 『山本周五郎 ユーモア小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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