群青のタンデム

著者 :
  • 角川春樹事務所
2.98
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本棚登録 : 333
感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758412438

作品紹介・あらすじ

警察学校での成績が同点で一位だった、戸柏耕史と陶山史香。彼らは卒配後も手柄を争い出世をしていくが-。なぜ二人は張り合い続けるのか?異色の連作短篇警察小説。

感想・レビュー・書評

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  • 「教場」に続く警察小説。
    あの時もちょっと思ったけど‥

    今回は、二人の警察官の人生を追いつつ、連作短編でひとつひとつ事件が語られます。
    警察学校で同点の主席だった戸柏耕史と陶山史香。
    卒業後も成績を競い合い、気にかけ合うのです。
    職場は違い、相棒というわけでもないのに。
    二人は順調に出世していくのですが。
    事件の関係者だった中学生の薫が史香を慕って警察学校に入り、警官となり、30年の歳月が流れます。

    意外な展開で、これも愛情の形?という‥
    長い間の気持ちを思うとズシンと来るものがあります。
    「教場」はすごく面白かったんです!が、しまいに怖さが勝ちすぎて、警察学校は悪の巣窟か?!と思えてきたのと似たような~
    えぇと、こんなヒドイ話でいいのか‥?っていう。
    酷いと言っていいのかは、読み方もあるかも知れませんが、書き方もあると思うのです。
    長い年月の挙げ句が‥
    これで深く感動するというより‥後味悪くなってません?

    ラストの印象を除けば、全体は、言葉を選び抜いて、すっきりと仕上がっています。
    「傍聞き」の頃から変わらないスタイルですね。

  • 警察学校の卒配から定年までの軌跡を描いた連作短編集。
    1作1作の年月の経ち方が恐ろしく早い上に、落ちの説明が雑で、私の理解不足化もしれないけれど、全然意味が解らない。教場がなかなか良かっただけに、期待外れな1冊。

  • 連作短編で、長い時間の流れを描いた作品である。
    しかし、時の流れを実感するというよりも、あまりにも駆け足で語られたような感じがしてしまった。
    新人警官だと思っていたら次は警察学校の教官、片や外国へ派遣など、戸柏と陶山の立場はめまぐるしく変わる。
    この、不親切なまでのぶっきらぼうな語り口は、読者に高度な想像力を要求する。作者が想定している事柄を読者も精密に読み取らないと、話の流れも意味合いもつかみそこねてしまうのだ。ふだん、丁寧かつ親切な語り口に慣れてしまっている私には、とても困難な作業だった。
    そしてあのラスト。なぜあの時点なのだろう。そして結局わからなかった。なぜそこまで二人が張り合うのか。きっとたくさん読み落としているんだろうなあと思うが、無口な人と対応しているようなもどかしさで疲労困憊である。何度も何度も読み返すことでしか読み取れないんだろうなあ……。

  •  長岡弘樹さんの新刊は警察小説である。警察学校での成績が同点1位だった2人、戸柏耕史と陶山史香を中心に展開する連作短編集になっている。

     この2人、交番巡査時代から手柄を競い合い、順調に出世の階段を上っていく。彼らの立場はどんどん変わり、最後には定年退職後を描くという、警察小説としては異例の大変長いスパンの物語になっている。なぜそこまで張り合うのか?

     これが男性警察官同士のライバル関係なら、さほど珍しくはあるまい。現在では多くの女性警察官が活躍しているし、女性警察官が登場する作品も多いが、男性社会での孤軍奮闘という描き方が多かったと思われる。

     互いの点数を探りつつ、利用できる局面では利用する。そんな2人だが、対等な関係とは言い難いことがすぐわかるだろう。どちらかといえば、耕史が史香に助け舟を出している。巡査時代の史香は、捜査手法といいあまりにも未熟に映る。

     2人の出世スピードの早さに戸惑うが、各編はミステリーとしての意外性に満ち、短編としての完成度も高いのはさすが長岡さんである。2人が年齢を重ねると同時に、かつての関係者が立場を変えて絡んでくる。連作としてもツボを心得ている。

     後半に入り、段々突っ込みを入れたくなる場面も増える。特に…おいおいおいおい、高い志はどうしたんだ…。しかし、経歴に傷がつくのを巧みに避け、出世街道を驀進する2人。もっとも、その陰にはゴニョゴニョ…だったわけであるが。

     最後の「残心」は前篇・後篇に分かれている。2人とも警察官を勤め上げ、もはや張り合う必要もないのだが、奇妙な関係に終わりはないらしい。警察OB・OGとして、鋭い観察眼はいささかも衰えていない。そして見抜いてしまった。

     何を見抜いたかは読んでみてください。こんなに駆け足で2人の警察人生を描き、最後の最後に何だよそれはっ!!!!! 元々後始末をきっちり描かず、読者の想像力に委ねる長岡作品ではあるが、こんな結末で読者にどうしろというのだ。やられました。

  • 同期の警察官の男女の連作短編です。いろいろな事件に関わりながらあっという間に年月は経ち彼らは出世していきます。一つ一つの話にはちゃんと伏線が張られています。それでもなんとなくどこかが置き去りにされているような変な違和感を持ったまま読み進めたのですがエピローグに思わずのけぞりました。だからなのか!と腑に落ちた部分もありましたが読み返さないとわからなかった部分もありました。技術的に巧みだとは思いますが、もう少し分かり易い方が単純に楽しめるような気がします。

  • 内容紹介
    警察学校での成績が同点で一位だった、戸柏耕史と陶山史香。彼らは卒配後も手柄を争い出世をしていくが――。なぜ二人は張り合い続けるのか?ベストセラー『教場』につづく異色の警察小説。

    短編集。8章あるうち3章読んで挫折。
    あまりに状況説明が足りないせいで、内容について理解できない。
    思わせぶりなセリフ、行間を読み取る事で物語の深みやウラが分かるのかもしれない。
    自分のレベルでは読み取り切れず意味不明なままであり、途中断念。

  • 2人の男女がお互い警察官として、出世を競いながら歩んで行く話です。物語としてはとんとん話が進んで行くのですが、誰がどうしてどうやって何を考えてどうなったのかよく分からないのです。整理すれば分かるし、結局はある程度理解出来たんだけれどもちょっと疲れました。
    一話毎に時代がぐんと進んで行く流れは面白いです。最初新人として意欲に燃え、刑事になり、中堅になり、警察学校の教師になり、署長になり副署長になり。人生の縮図をさらりと読ませるあたりはやはり上手いです。
    行間から心象風景を読み取らせようとするあたりは、自分の文章に自信と信頼があるんだなと思いましたが、もうちょっと親切に書いても良いのではないかなと思います。折角なかなかいい題材なのに乗り切れなかった。個人的にはですが。


  • 新米警官の戸柏耕史が、章を重ねる毎に交番勤務から刑事、教官を経て、最終話には元警視正という地位にいるまでの連続短編集。

    一字一句、アンテナを立てて読むことをオススメします。伏線だらけです。
    あちこちでリンクしてます。

    最終話の一番大きな真実にポカーン、、、
    わたしは、読み終えた直後から読み直すことになってしまいました。

    そういう訳で二度楽しめます。

  • とても面白かった。

    捕り物劇中心ではなくある警察官と周囲の人々の成長を、警察官の人生を描く。各話ごと、年代が進んで行く。

    各話、顛末を細かく語らず、読者に想像させる。最終話で見せた大岡裁きは、「仲間を売らない」で最後まで残った事件を解決に導いた。

  • 教場が面白かったのでこちらもチェック。
    2人の同期の出世争いを長年にわたって描いた内容。

    にしても、時間軸がものすごく早いし、
    視点が今誰なんだ?と思うことが結構ある。
    教場の時はそんなことなかったので敢えてやっているのかな??

    最後のどんでん返しは
    突っ込みどころ満載。
    罪を認めさせる為に人生使いすぎじゃないですかw

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著者プロフィール

1969年山形県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒業。2003年「真夏の車」で小説推理新人賞を受賞し、05年『陽だまりの偽り』でデビュー。08年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。13年刊行の『教場』は「週刊文春ミステリーベスト10」の1位、「本屋大賞」6位などベストセラーとなった。他の著書に『線の波紋』『波形の声』『群青のタンデム』がある。

「2022年 『殺人者の白い檻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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