励み場

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著者 : 青山文平
  • 角川春樹事務所 (2016年8月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758412926

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励み場の感想・レビュー・書評

  • 小説において、セリフとセリフの間の描写が多すぎると、リズム感が失われますが、その描写が巧みであるほど、次のセリフの深みが増すという効果が存分に感じられる文体と思いました。

    青山文平の二冊目でしたが、ボクは青山文平にハマりつつあることに気づきました。

    ボクのような現代人にも、すっと物語に入っていけるのは、時代背景が想像しやすい描写ということもありますが、登場人物の心理が砕いて描かれているからではないかと感じました。

    激烈な感動はありませんが、終盤心が揺り動かされる感触がありました。

    夫婦であっても、互いの心の奥深くを理解しあうことは難しいのだと思いましたが、互いの向く方向が同じであれば、次第に理解は深まるのだとも思いました。

    間違って認識していても、向かうべき方向がブレなければ、いずれ真実に当たるのだと思わされました。

    青山文平を引き続いて読んでいこうと思いました。

  • 時代設定、環境設定にちょっと違和感は感じるが、青山文平氏の筆力はさすがである。

    まどろっこしいと思える心理描写、どうして素直に行動できないのかと思わせる、この心の内をぐるぐる回るような表現、これが作者の力量なのかもしれない。読後感はすばらしい、主人公たちの幸せを祈りたくなる。

  • 平安の世になり、新たな大名に仕えること良しとしない小領主は武士を捨て名主になり、領主に仕えていた家臣達は「名子」と呼ばれる農民になる。そして主従関係を維持し自由の利かない名子は、やがて小作からも下に見られる存在になって行きます。この作品は、そんな名子の一人の青年・笹森信郎と、名子の家から豪農へ養女になった娘・智恵の物語です。
    爽やかな物語です。
    笹森信郎は真正直に懸命に働くことで、武士に返り咲く事を目指します。そしてその妻となる智恵は、自らの出生に悩みながら信郎を愛します。
    智恵の父と姉の智恵への想い、信郎が調査に赴く上本条村の久松加平の名主としての想いなど、脇を固める登場人物も見事です。

  • 「名子」という言葉は今回初めて知った。本来なら武家に仕える者として誇りある名前のはずなのに、時代が変わり、主家が武家でなくなれば、逆に卑しいかのような響きに変わる。
    「名子」であることに拘り縛られた夫婦。それぞれの視点で「名子」としての生き方、「名子」とは何かを見つめていく。
    そんな夫婦の行方が緊張感たっぷりに描かれている。

    これは個人的な好みなのだけれど、青山さんは短編や連作短編の方が良い気がする。

  • “名子”というのがキーワード。あまり聞き慣れない言葉ですが、この物語では主人公の生き方に大きく関わっています。“名子”である夫は武家に戻ることを望み、自分も“名子”であると打ち明けずについてきた妻は夫の出世の為に身を引こうとして悩みます。身を引かねば、と分かっていながら夫への愛も捨てきれず、思い悩む妻。夫はその時に顕彰の裏付をとるためにある村に調査に行っていて…、という話。
     今まで読んできた時代小説とは異なる視点で、面白かったです。青山作品2冊目でしたが、他の作品も読みたくなる作家さんです。

  • 帯文:”事件は人間の内にある。” ”真の武士を志す勘定所普請役の夫と再縁の妻。” ”直木賞受賞後、第一長篇” ”信郎は江戸へ出て勘定所の下役になり、実績を積み上げて、真の武家を目指すのだが……。「仕事とは何か」「人生とは何か」「家族とは何か」を深く問う書き下ろし時代長篇。”

  • それは、最初に思っていたものとは異なってしまうかもしれない。だがそれも…

  • 青山さんの作品を続けて読みたくなったので早速。

    江戸時代物というだけではないので、多少難しい言葉もあったのは確かだけれど、時代背景が感じられる面白さがあったので、中盤以降はぐいぐい引き込まれた。

    どんでん返しがあるのも、”励み場”をより強く印象付けてくれると思う。

    ”励み場”は、頑張れる場所、頑張れば報われる場所だそうだ。

    夫信朗、妻智恵、それぞれの立場で書かれているので、切り口が分かりやすい。

    これまで江戸時代物として読んでいたのは、テレビの影響も大きいので、どこかドラマっぽさもあったけれど、この本はこの時代を生きている姿がしっかりと投影されているので、置かれている環境、生い立ちからどうして上を目指すのかが現実的に伝わってきた。

    青山さんの著書にハマりそう!

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