今日のハチミツ、あしたの私

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.79
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本棚登録 : 1198
感想 : 162
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758413022

作品紹介・あらすじ

恋人の故郷である朝埜市で、蜂蜜園の手伝いを始めることになった碧。蜜蜂たちの暮らしの奥深さを知る日々のなか、十六年前に自分の人生を助けてくれた不思議なできごとを思い出す-。草木がゆたかに花を咲かせる小さな町。不器用な家族の愛が心にしみる、書き下ろし長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 『もし明日人生が終わるとしたら、きっとわたしは、喜ぶ。』

    いきなり、こんな言葉から始まる物語……


    中学生の碧(みどり)は学校でいじめられ、家でも居場所がなく、摂食障害になってしまう。
    そんなとき見知らぬ女性に蜂蜜をもらった。
    「あさのはちみつ」というラベルのついた瓶から、とろりと一匙……

    この出来事が碧の人生を大きく変えた。
    自分の明日は自分で変えられるのだと知り、前を向き、つよく生きていく。

    16年後、30歳になった碧は仕事を辞めて恋人の故郷へ行くのだが、色々あって養蜂場で働くことになる。
    見知らぬ地で色んな人と関わり、どんどん居場所を作っていく碧。
    本当にたくましいなぁ。

    「自分の居場所があらかじめ用意されている人なんていないんだよ。自分でつくっていかないと」

    うん。その通りだな。
    自分で切り開いていかないと、何も始まらない。
    今日もしっかり美味しいもの食べて、がんばろう!
    明日の自分のためにね!

    そんな元気の出る一冊でした。
    が、ただひとつ……
    碧の恋人があまりにも頼りなくて、最後まで情けなくてね。
    それがちょっと引っかかりました。

  • 寺地さんの本は、なぜか読み込んでしまうというか、時間がかかってしまう。
    人生の絶望の中にいた頃、たまたま出会った人にもらった「あさのはちみつ」
    あさのはちみつがくれる、新しい出会いの中で、成長していく。
    毎日大変なことだらけだけど、仲間と一緒にひたむきに生きる姿に元気がもらえる小説でした。



  • 寺地はるなさんの作品は起承転結の『起』の中に細かな承転結がリアルにあるのが心地よい。

    「蜂蜜をもうひと匙足せば、たぶんあなたの明日は今日より良くなる」
    読後、そんな些細な言葉に元気で勇気ずけられる自分がいる。

  • 『大人は泣かないと思っていた』で寺地さんの作品を初めて読み、他作も読みたいと思いつつ、すっかりそのことを忘れていたが、先日図書館で寺地さんのコーナーに行き当たり、数冊借りてきた。

    本作は、婚約相手である安西の父親に結婚を反対された主人公の碧が、紆余曲折を経て、安西の地元で養蜂を営んでいる黒江に養蜂の弟子入りをし、そこで新たに出逢う人々と交流を深めていくお話。

    主人公の碧について、胃痛で悩む反面、職場で上司の青木に割とストレートに自分の意見をぶつけている描写もあり、序盤は彼女のキャラクターのイメージが定まらなかった。
    また、安西も優柔不断だし、彼の父親も、その家族も、かなり利己的で失礼な人たちで、こんな家族ならこちらから婚約願い下げだわ…と思ってしまった。

    後半もう一山あるかな…と期待を込めて読み進めたが、養蜂場が荒らされる事件くらいで、強く心に響くものはないまま読了。
    穏やかな作品で、文量もそこまでないので、さらっと読むことはできる。

    余談だが、女性の登場人物が増えていくたびに、「この人が学生だった碧に蜂蜜をくれた女性か?」と何度も罠にかかったのは私だけだろうか?笑

  • 主人公の碧は過酷な中学生活を送っているそのとき、子連れの女性から蜂蜜の小瓶をもらった…その後食に対する思いを改めるようになり、30歳になったとき恋人の故郷で養蜂の手伝いをするようになる…。様々な出逢いを通して、碧はさらに成長しかけがえのない場所を新たに作り出していく…。
    たくましいなぁ~と感じました!その根底にあるのは、中学時代の大事な思い出なんだろうなぁ…。普段あまり使っていないハチミツがすごい身近なものに思え、元気を出すために常備しておくのもいいかなぁ~なんて思ったりしました。

  • 寺地はるなさんの作品は、はじめてでしたがとても元気になれるお話でした。後半は、ほろりと泣けてしまいました。
    食べることの大切さを改めて感じ、私も碧さんのように前向きに自分を大切に生きていけたらいいなと思います。
    寺地さんの他の作品をもっと読んでみたいです!

  • 読み始めは、主人公が可哀想過ぎて苦しくなってしまい、最後まで読めるか不安になってしまいました。でもそんな心配は無用でした。
    やりたい事、居場所を自分の力でちゃんと見つけて仲間たちと笑って過ごせるとようになってよかったです。
    黒江さん,安西が最後投げやりにならなくて一安心。これも主人公、碧のおかげかな?

  • 最初碧は弱い子のよう描かれているが
    なんて強い人だろう


    見知らぬ土地で彼の父親に認めてもらうため
    なんの手立てもなく切り拓いていく様は
    とても逞しかったです


    それだけになぜ安西?感は拭えませんでしたが
    自分で選んで生きていく様は
    見ていて気持ちがよかったです

  • 中学時代イジメにあい拒食症になった碧。
    ある日子連れの女性に出会い辛辣な言葉を投げかけられ、ひと瓶のハチミツを貰った。
    女性の言葉とハチミツによって食べることの大切さを教えられた碧は…と始まります。

    プロローグからいきなり30歳の碧です。
    料理関係の仕事につきたくましく働いてますが
    彼氏だけはいただけないʅ(◞‿◟)ʃ

    だけどこの碧がいいんだ〜!
    こんな風に生きていけたら何があっても大丈夫だと思わせてくれるし勇気をもらえます(^ ^)

    あーすっごく美味しいハチミツが食べたい!


  • ★3.5

    結婚の為、仕事も辞め恋人・安西の故郷である朝埜市に移り住んだ碧。
    ところが結婚話は、安西の父親に全く認めてもらえず難航。
    そのなりゆきから、かつて養蜂が盛んだったこの町で、養蜜園の手伝いを始める事に。
    そこで蜜蜂の不思議や生態の奥深さを知った碧は、16年前に自分の人生を助けてくれた、
    不思議な出来事を思い出す――。

    何もかも捨ててきた碧だったが、相手がハッキリしなくても私は私と、
    自分自身で周りの人との関係を築き、広げてゆき、前に進んで行った。
    上手くいかない事を相手のせいには決してしない。
    自分がどうしたいのか、どう生きたいのか、ドンドン動いていく。
    今までと違う生活に紆余曲折しながらも、たくましく生きる碧。
    芯がとっても強くって人柄も素敵な人だった(*´▽`*)

    食べる事の大切さ。
    自分自身が自分を大切にしなくて、嫌ってたら、周りの人はみんなますます
    大事にしてくれないし、嫌いになっていく。
    自分自身って本当にどうあるべきか、大切だなぁ。

    寺地さん初読みでしたが、流れる空気感や伝えたい事、
    勿論文章もとっても心地よかったです。
    大好きな作家さんになりました~(*´ `*)

    「はちみつをもうひと匙足せば、多分あなたの明日は今日より良くなる」
    あしたは今日よりよくなる…未来に希望があって良い言葉でした。

    • あいさん
      こんばんは(^-^)/

      昨日本屋さんでビビッときた本です。
      しのさんの感想を読めてよかったです♪
      参考になりました。
      私は「ミ...
      こんばんは(^-^)/

      昨日本屋さんでビビッときた本です。
      しのさんの感想を読めてよかったです♪
      参考になりました。
      私は「ミナトホテルの裏庭には」だけ読んでいます。
      2017/04/13
    • しのさん
      こんばんは(#^^#)
      コメントありがとうございます。
      うわ~偶然にも今日本屋さんでビビッときた本だったのですね~(*'▽')
      私は、...
      こんばんは(#^^#)
      コメントありがとうございます。
      うわ~偶然にも今日本屋さんでビビッときた本だったのですね~(*'▽')
      私は、寺西さん初読みでした。
      とっても大好きな作家さんになりそうな予感で、巡り合えた事にとっても幸せを感じています。
      他の本も読んでみたいって思ってます( *´艸`)
      ミナトホテル…もタイトルは存じ上げていました。
      今度読んでみますね~(#^^#)
      2017/04/14
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著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

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