風よ 僕らに海の歌を

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.29
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本棚登録 : 75
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758413053

感想・レビュー・書評

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  • ラジオDJの野村雅夫さんがTwitterでオススメされていました。(巻末で解説も書かれています)

    第二次世界大戦では、日本だけではなくイタリアも大変な状況におかれていたことを、この本ではじめて知りました。
    国のために命を捧げる日本人と、個人を重んじるイタリア人の性格はとても対照的ではありますが、ふとしたところで日本とイタリアの親和性も感じられ、イタリアにますます親近感が湧いてきます。
    宝塚の街の描写も細かく描かれており、イメージを膨らませながら読み進められました。

    ちなみにお店のモデルとなったアモーレ・アベーラは母によく連れて行ってもらったお店で、母にこの本をプレゼントしたらとても喜ばれました。この本との出会いに感謝です!

  • 日本とイタリアの歴史を音楽、料理と絡めながら進むおしゃれな作品。

  • 宝塚市にある現存するイタリア料理店では最古クラスの『アモーレ・アベーラ』の創業者をモデルとした小説。
    宝塚学検定の勉強で知ったことがいろいろでてきて、ちょっとした宝塚学検定の復習になった。
    内容は、ジルベルト・アリオッタというイタリア人とその息子(日本人とのハーフ)を中心とした話で、様々な人がその二人(主にアリおったのほう)について懐かしみながら語るか、その二人の視点で物語を描くという一風かわった作りの小説(自分はこういうのあまりこういう形式の小説は読んでこなかったので、最初ちょっと混乱した)。
    語りの章のほうは、マサユキという人ににむけて語ってるのだけど、いったいこれが誰なのかほとんど伏線がなくて分からなかった。多分、予想できた人はいないんじゃないかと思う。
    ストーリーとは直接関係ないのだけど、この本でアーモンドの花が桜とよく似ているということを初めて知った。ググったらたしかに似ているのだけど、一度見てみたいと思った。
    途中、手塚治虫がでてきたのはちょっと驚いた。手塚治虫もアモーレアベーラ(作中の名前は『リストランテ・あるもんで』)にいったんだろうか。
    いい話だと思うのだけど、最後の章だけど、非現実的でちょっと驚いた。何で最後の最後だけ、ファンタジーっぽいだと。後、エピローグもよく分からなかった。
    ところでこの本、本の中心の折り曲がっている部分にほとんど余白がなく、折り曲がっている部分の近くに書いてある文字がちょっと読みづらかった。ハードカバーなせいか、あまり大きく開くこともできないし(特に、真ん中のほうのページ)。

    それと、ちょっとだけネタバレになるけど、ジェシーは結局母親に会えたんだろうか。そこ重要だと思うのだけど、書いてなかったような。

  • この前に読んだ小説が神戸で、こちらもいきなり神戸でシンクロニシティ。宝塚とかも出てきた。ヒョウゴ文学。
    朝の連続テレビ小説とかで観てみたい、と思ったら著者はテレビの放送作家さん!

  • 前半は知らなかった第二次世界大戦末期のイタリア軍と日本軍の関係が描かれていて興味深く読めたが、後半は視点が多くて話が飛び飛びになり、つながりを楽しめなかった

  • 第二次大戦末期から現代までの史実を元に、実在した人物も多く登場する小説。
    舞台は神戸、宝塚等の阪神間で私には馴染みのある土地だけに物語の世界に入っていきやすかった。
    大戦末期に神戸港沖でイタリア艦船が沈没し、その乗組員が日本の捕虜になったこと、またそのイタリア兵たちが生き延びるために日本の兵として沖縄戦へ出る船に乗り組み、そして多くが死んでいったこと等の史実に驚かされた。
    戦争のなかで生き延びるため、故国イタリア、シチリアに帰ることをあきらめ、日本で恋に落ち、日本で生きることを選んだ主人公の人生は波瀾万丈である。イタリアやイタリア料理、また宝塚という土地柄から手塚治虫が登場したり、実在の宝塚スターが登場したりと親しみやすい内容になっているが、この小説の本質は戦争の悲劇とそれでもそれに立ち向かい人生を切り開いていく人間の強さであろう。
    終盤シチリアを舞台に主人公に孫達の話は進むが、戦争に翻弄された人びとの壮大な人生とシチリアの明るい海や街との対比が際だった。

  • ジルベルト・アリオッタは、戦時中、日本で捕虜になり、戦争が終わった後も故郷イタリアには帰らず宝塚でイタリア料理店を開く。彼の息子・エリオはミュージシャンを目指すも、父親のイタリア料理店を継ぐことになる。そんなジルとエリオの人生を、いろんな人が語って聞かせてくれる。無花果の夢が印象的。ジルが帰らなかったイタリアのジェーラの地に、孫の大樹はイタリア料理店を開く。故郷を慈しむ気持ちが、その血に流れていたのだな。スケールの大きい物語だった。人は誰しも生きてきた軌跡があり、物語がある。タイトルが好き。

  • さわやかな読後感が心地良い。
    ただ生駒の宝山寺へ母親を探しに行った帰りに、ケーブルカーから見えるのは大阪ではなく奈良の夜景。

  • 人生には予想もしないことが起こる,だけど悪いことばかりではない.料理や音楽に真剣にそして楽しく取り組んだイタリア人アリオッタの親子三代にわたる物語.無花果の夢を見たらどうして不吉なのかがよくわからなかったが,誰にでもジンクスはある.ミートボールのスパゲティが今は食べたい気分.

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著者プロフィール

1958年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業。2012年に「いつの日か来た道」で第19回松本清張賞最終候補となり、改題した『勇者たちへの伝言』で2013年にデビュー。同作は2016年に「第4回大阪ほんま本大賞」を受賞した。他の著書に『空の走者たち』(2014年)、『風よ僕らに海の歌を』(2017年)がある。

「2022年 『甘夏とオリオン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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