オトナの片思い (ハルキ文庫 い 12-1)

  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758434072

感想・レビュー・書評

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  • 短編集なので楽しそうだなぁ、と思ったものの、よく分からない恋ばかり。
    やはり、短編集は深くまでは書けないので難しのかな

  • 結ばれることが全てではない、大人の片想いは10代頃とはまた違った愛のかたちに気づける。

  • ショートショートの恋愛話。休憩ごとに1話読めてよかった。読んだことのなかった作家さんの話がたくさんあってお得感あり。「真心」を読んで鰻が食べたくなりました。

  • 恥ずかしながら石田衣良の書いた小説をこのアンソロジーではじめて読むことになったのだけど、美しくよどみのない文体にあっという間に引き込まれた。
    料理とか食べ物に少しだけフォーカスしつつ、そこに恋愛をフュージョンさせる。気まぐれに吹く風が、ぱらぱらとページをめくってしまうように読める恋愛アンソロジーだった。
    恋愛って好きなものを食べたり、嫌いなものを食べたりするようなものなのかもしれない。あるいは得体の知れないなにかを食べることだろうか……?

  • 角田光代『わか葉の恋』がよかった。いくつになっても恋していたいとおもえた。現実と恋は両立がむずかしい。

  • 爽やかな話しが多かった印象。
    休憩中に1話読みきれる量で、いい気分転換になった。
    短編集もいいな。とも。

  •  人気作家11人が、「オトナの片想い」を通しテーマに据えて短編小説を競作したアンソロジー。

     山田あかねの「やさしい背中」が読みたくて手に入れたのだが、生来のケチのためほかの作品も全部読んでしまった。

     ほかに登場するのは、石田衣良、栗田有起、伊藤たかみ、三崎亜記、大島真寿美、大崎知仁、橋本紡、井上荒野、佐藤正午、角田光代といった面々。

     『料理通信』という雑誌に連載されたものなので、料理や食べ物に関するエピソードがたくさん登場する。「大人・片思い・おいしいもの」の三題噺のようでもある。

     直木賞作家や芥川賞作家も参加するなか、我らが山田あかねはほかの作品と比べまったく遜色ない短編を寄せている。遜色ないどころか、収録された11編のうち、私は「やさしい背中」が2番目に気に入った。

     いちばんよかったのは、佐藤正午の「真心」。これは傑作。短いながらも、誰にも真似できない佐藤正午ならではの世界が展開されている。

     あとは、角田光代の「わか葉の恋」と、大崎知仁の「ゆっくりさよなら」が同率3位というところ。
     角田のものは、他愛ない話ながらも文章の力で読ませる。大崎知仁の作品は会話がいきいきとして素晴らしい。
     
     伊藤たかみのものは地味ながらも佳編。栗田有起、大島真寿美、橋本紡のものは取り柄のない凡作。三崎亜記のものは唯一のファンタジーだが、アイデアが空回り。井上荒野のものはディテールはよいが構成に難ありで、起伏に乏しく印象が薄い。

  • いい意味で心が痛くなる本。
    ある程度の年齢になると片思いがちょうどいいのかもしれない。
    「わか葉の恋」が一番好き。

  • 2016/03/08読了

    久々の更新

    恋愛を題材にしたオムニバス形式の作品は、その作家の男女や人生観、生活感、倫理観、そして創造と想像の奥行きを観察することができる一番の方法だと思う。

    ----

    当たり前のことだが、女性だって年を取る。
    いつまでも子供の様に輝けるわけではないし、身を固めたならば新しい恋は公にはするべきではない。
    しかしふと恋に落ちることもあるだろう。
    もしくは、大切にしてあった恋
    一方は終わっても他方はそうではなく
    両思いの一方が切れてしまった瞬間とは、片思いになるのだろうか。
    『オトナ』の片思いとは、不憫だ。届かない、救われないことはわかっていても、なぜ人は恋をするのか。

    恋愛描写に強い作者陣が描く片思いは、鮮やかで、痛みがある。
    ゆえに、幸せの存在を考えてしまうのかもしれない。

    余談だが、作中に何度か出てくる「食事」の風景
    恋愛と食事は切り離せないものだ。人間の三大欲求に深く関連する なんて、よく言うもの。

    『フィンガーボウル』石田衣良
    深いつながりは持たない
    ベッドにはいかない
    でも食事はする
    そこに快感があるのならば、食事はセックスの代償行為だ。

    『リリー』栗田有起
    恋をすると不調になる。気持ちに身体が追い付かない。
    リリーだなんてかわいい言葉を使えるのは女子高生ならではの特権だ。
    でも心情だけなら大人だって「リリー」が許されるのかもしれない。

    『からし』伊藤たかみ
    人のこだわり、ゆずれないところ、妥協するところ
    共通の何かがなければ生活は成り立たないのかもしれない。

    『やさしい背中』山田あかね
    女性は異性のたくましい部分に目が行く。
    背中、腕、指、足、首筋。。。
    そこからの視覚→相手の人柄などを観察する。
    ふとした時に恋をするとはたぶんこういうところから。
    "実らない方が甘美な恋もある。そっとしておくのがいい思いもある。"(P78)

    『Enak!』三崎亜記
    これはファンタジー色が強かった。
    「影無き者」ってなんだろう。たぶん、何かの比喩なんだろうな。世捨て人とか?影は職 影は自分の陰の部分 影は過去、お金、家庭、何とでもいいかえることができそう。
    何もないものが何かを生み出す過程。

    『小さな誇り』大島真寿美
    誇りという部分はどこにあったのだろうか。
    ぬるいけれども心地いい関係によりそっていたい女。

    『ゆっくりさよなら』大崎知仁
    いつかこんな時が来るのだろうか。
    できればあってほしくないがこんなことはよくあるらしい
    いわば日常だ。だがそれが一番響く。
    この本で一番印象に残るエピソードだ。
    両片思いが夫婦になり、そして片思いになる、切なさの果てに。

    『鋳物の鍋』橋本紡
    なんだか日常をなぞっただけの話だった...
    正直微妙だったが、反町スペシャルは飲んでみたい。

    『他人の島』井上荒野
    これも正直いまいち。おばちゃんは面倒な生き物だ。

    『真心』佐藤正午
    若いお兄さんの、恋愛というよりも縁の話かと。
    出前を頼んで事故にあった、というので大きなストーリーができているから、恋物語は蛇足だと思った。
    作者が著者なのだろうか、主人公がやけに上から目線で好きになれなかった。もったいない。

    『わか葉の恋』角田光代
    大人になることを認めていても
    自身の中で肯定していても心のどこかであきらめられないところがまだある。
    その中で、見かけるだけでもいい と心浮立つことがある。
    まさしく大人の片思いとはそういうことなのだと。
    恋をすると苦しくなる。昔とは違っても、わくわくする気持ちがある。
    大人になった時の自分は何を思う

  • 11人の作家さんが紡ぐアンソロジー。
    1篇がごく短い読み物なので、
    手軽に読めちゃうところは可。
    しかし、特に感動するわけでもなく、
    普通過ぎて興醒めな部分は不可。

    アンソロジーは、好きな作家さんや
    お初な作家さんが一挙に読めるので、
    お得感があるのだけど、
    この本に関しては、それほどの得は感じられず。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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