- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758435475
感想・レビュー・書評
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ヴィヨンは二回目。他は初めて読んだ。
ヴィヨンはうすぐらくおかしみがある。これ好きだと今回気付く。
皮膚と心は女性特有の性質を的確に捉えていて、唖然。
桜桃は“子供より親が大事”という一節が使用される度にどんどん心に深入りしてくる。短いながらも、まとまりがあってすき。もう一回読みたくなっちゃうよ。
この文庫本の紙、変わってる気がする。ざらりとして手に優しい。好き。
古い本が好きだけど・・それにしても新しい本の読みやすいこと。はまりそうである。 -
読んだ期間*2012年3月21日~3月27日
“私は人に接する時でも、心がどんなにつらくても、からだがどんなに苦しくても、ほとんど必死で、楽しい雰囲気を創ることに努力する。そうして、客とわかれた後、私は疲労によろめき、お金のこと、道徳のこと、自殺のことを考える。” -
皮膚と心が印象的だった。おたふくだから自分を卑下していても、実はそうじゃない感情を持っていたって事を発見するのが、共感できた。
秋風記に出てくる役に立たないもの、っていうゲームは、人間失格のアントの話を思い出した。 -
太宰治の複数の作品を載せた作品集。
文章の美しさは真似したい。
ただ、治ちゃん、やるね。なかなか病んでるね。
君、この「桜桃」を書いた直後、入水自殺で死んだね。
筆では発散しきれなかったのかな。
人間、多かれ少なかれ、病んでる部分があるので、
共感できる部分はあるのだけれども、
全部の読みきると、「これは、カナリやな。」と。 -
太宰治の「ヴィヨンの妻」「秋風記」「皮膚と心」「桜桃」の4つの短編を収めた本。ちょっと名作を読みたいときに気軽に手にとれるお値段。「皮膚と心」の妻に感情移入してしまった…女性の感情が男性でもあんなにわかるものなのか…とちょっとびっくり。巻末の解説がお笑いのピース又吉。
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皮膚と心、好きだ。泣きたいのに泣けなかった。まるで「泣いてはいけない」と言っているかのように、心が涙をおし殺す。衝撃だ。
まるっきり誇りを失ったとき、女は必ずそれを思う。プロステチウト、それは私も思い悩まされたものである。あのとき、あの日、私は本気で。けれどこれを読んで、やっとあの時の気持ちに答えをもらった思いである。私は誇りを失っていたのか、ねぇ太宰。
又吉のエッセイもやっぱり良かった。私は彼の言葉が本当に好きだ。 -
恥ずかしながら初、太宰治。
うーん、思ってたほど暗くはなかったけど死に対しての憧れのようなものがすごすぎた。
私には残念ながら難しかった -
風呂に入りながら「桜桃を読んでいて、頭まで湯に浸かってもうこのまま頭を出さず死んでしまおうか」と思ったのが私である。嘘だけど。
ただ、「ああ、太宰はこんなにして死んでしまったのかなぁ」と湯の中で考えたり、「いやちがう、隣には誰かが居ただろう。」とも考えて、湯から抜けでたりしたのは、まあ本当のところだ。
太宰の作品は優しい暗さに満ちているのだと僕は思う。死にたいと言いながら死にきれない。死を怖がる。生にしがみつく。誰にでもあるのだろう、そんな心の奥底を、ありのままに表現する。だから、ピース又吉直樹さんのエッセイにあるように、共感を引き起こされるのだろう。
「皮膚と心」などまさにそうだ。私事だが幼少よりアトピー性皮膚炎に悩まされたこの肌は、あの自信のない夫婦の片割れによく似たものがあると思った。肌を見せる事を怖がり、それ故に人から遠ざかり、他人にぶつかれない。自分のことを殊更に悪く言い、卑下してしまう。
ただ、途中からあの妻の吹き出物は、心の醜さが表出してしまったものではないだろうか、とも思えてきた。現状を喜ばしく感じなければならないのに、身分不相応なのに、よりよいものを欲しがる。そんな悪い心の噴出したのが、あの醜い吹き出物何だろう。
そう考えながら読み終わって感じたのは、もっと自信を持って生きよう、というのとだった。太宰は「皮膚と心」にそんな気持ちを込めたのだと思ったのだ。
身の上に共感し、そして自信をつけろと語りかける「皮膚と心」は、私の心の一冊になるだろうと、確信している。 -
『秋風紀』と『桜桃』の主人公は太宰自身のことを書いているように思った。
他の作品も含めて、人間の心の中にある弱さというものがよく表れていてよかった。
又吉のエッセイもすごくよかった。