残月 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
4.23
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本棚登録 : 4180
感想 : 555
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758437455

作品紹介・あらすじ

吉原の大火、「つる家」の助っ人料理人・又次の死。辛く悲しかった時は過ぎ、澪と「つる家」の面々は新たな日々を迎えていた。そんなある日、吉原の大火の折、又次に命を助けられた摂津屋が「つる家」を訪れた。あさひ太夫と澪の関係、そして又次が今際の際に遺した言葉の真意を知りたいという。澪の幼馴染み、あさひ太夫こと野江のその後とは-(第一話「残月」)。その他、若旦那・佐兵衛との再会は叶うのか?料理屋「登龍楼」に呼び出された澪の新たなる試練とは…。雲外蒼天を胸に、料理に生きる澪と「つる家」の新たなる決意。希望溢れるシリーズ第八弾。

感想・レビュー・書評

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  • 「つる屋よ、わたしは戻ってきた」(何をアナベル・ガトーみたいに言うてんねん)

    去っていった人たちを静かに思う『みをつくし料理帖』シリーズの八
    「ふき坊、泣いてばかりいたらあきまへんで、そんなんではあの人かて安心して帰られしまへん」(だからお前誰やねん)
    そして去る人があれば姿を現す人もあったり、登龍楼のあの野郎もまたちょっかい出してきやがるし、御寮さんにも大きな転機が!

    登龍楼との最終決戦の予感もするし、そしてそしてあさひ太夫と幼馴染みに戻って「野江ちゃん」「澪ちゃん」「ひまちゃん」と呼び合える日は来るのか!(おっさんいつの間に混じっとんねん)

    うーん、楽しみ!

    • 1Q84O1さん
      あなたはつる屋常連のひまわりの旦那じゃないですかい

      久しぶりにつる屋に帰ってきましたね

      帰って来たかと思ったらもう突っ走ってますやんかー...
      あなたはつる屋常連のひまわりの旦那じゃないですかい

      久しぶりにつる屋に帰ってきましたね

      帰って来たかと思ったらもう突っ走ってますやんかー!

      シリーズ九も読み終えていよいよ最終巻ですね^_^

      最後までつる屋、ふき坊、そしてお澪坊を見守ってくだせぇ!
      2022/12/24
    • ひまわりめろんさん
      読み終えました!
      めちゃくちゃに面白かったです
      あっという間の出来事でしたw
      読み終えました!
      めちゃくちゃに面白かったです
      あっという間の出来事でしたw
      2022/12/27
  • 光が...。雲の隙間から一筋の光が見えましたよ!
    みんなの幸せな未来に繋がるであろう光が。
    嬉しくなっちまうじゃねぇか。ちくしょう。

    読後なんと、夕食を作る私の手際にも変化が!
    野菜を作ってくれた生産者さんに対して感謝をしつつじゃがいも、人参の皮を丁寧に剥く。お米を研ぐのも食べる人達のことを考え1粒1粒を大事に。お肉には命を頂くことに感謝。ええ、それが当たり前に出来てこそ真の料理人なのです。

    では仕上げにカレー粉を作ってくれた方に尊敬の念を込めて...あっ!!またカレー粉買っとくの忘れた!!今から買いに...ってこの展開何度繰り返してるんだい?おめぇさん。真の料理人にはまだまだなれねぇな。

    ...以上、読後感想でした。

    • へぶたんさん
      ひま師匠!お言葉ありがたく頂戴しておきます!

      ...突然失礼しました、皆さんのように師匠と呼んでみたくて(笑)。夢が一つ叶いました\(^^...
      ひま師匠!お言葉ありがたく頂戴しておきます!

      ...突然失礼しました、皆さんのように師匠と呼んでみたくて(笑)。夢が一つ叶いました\(^^)/
      コメント嬉しいです!ありがとうございます♪
      2023/12/17
    • ひまわりめろんさん
      どんどん呼んで下さい
      師匠感しかないですもんね

      良かったらうちにも遊びに来て下さいね
      うちの一門は気の良い人らばっかりなので
      どんどん呼んで下さい
      師匠感しかないですもんね

      良かったらうちにも遊びに来て下さいね
      うちの一門は気の良い人らばっかりなので
      2023/12/17
    • へぶたんさん
      高い敷居を越える心の準備が出来たら、とろとろ茶碗蒸しを持って是非お尋ねしやす!
      高い敷居を越える心の準備が出来たら、とろとろ茶碗蒸しを持って是非お尋ねしやす!
      2023/12/17
  • 素晴らしく良かった!

    又次の初盆の種市の言葉も良し。お芳と佐兵衛の再会とお芳の新しい人生の始まりも良し。
    お澪坊と登龍楼との対決も痛快、そしてところどころいいこと言うりうさんがナイス。

    まさに三方よし。

    早く次が読みたいが、焦らします。

    オススメ!

  • ご寮さん、どうぞ幸せになっておくれやす(/ _ ; )

    今回はご寮さんの今までが報われていく巻でした。
    なんて素晴らしい人なんでしょ!

    登龍楼の嫌がらせも難なくこなし、ふきちゃんも又さんの思いを胸に料理人として育ってます!

    さぁどんどん幸せが見えてきましたよ〜\(//∇//)

    あと二巻…終わるのが寂しい。゚(゚´Д`゚)゚。


  • 4月ごろから、そろそろかなぁ・・と思っていた。
    5月になって、前作からそろそろ1年だというのに、どうしたんだろうと急に心配になっていた。
    先週、読書仲間さんから「6月15日に発売だそうですけど、ご存知ですか?」と知らせが!
    もちろん、同じく心待ちにしていたお仲間さんにもすぐに伝えました!

    発売日に届いた、みをつくし料理帖第8弾。

    小学生の時、教室に遅くまでいると
    担任の先生が秘密の引き出しから出してくれたきれいな色のキャンディー。
    外国製だったのからしら?
    大事に持って帰って、机の引き出しにしまって、何度も眺めたあの時の気持ちにも似ていて・・・。
    読み始めてしまえば、あっという間に終わってしまうことがわかっているから、
    惜しむ気持ちで最初の数ページは行きつ戻りつしながら、ぐずぐずしていても、
    エンジンがかかったら、もう止めることはできません。

    第7弾までのじりじりする展開とはずいぶん異なり、
    それぞれの進むべき道がはっきりと見えてくる。
    確かに、人生でも急に物事が動きだし、気づけば結論が出てしまうようなこともあるよね。
    どうやらこのシリーズも終盤に差し掛かっているようで・・・。

    髙田さんの書く市井の人々は凛としている。
    つる家の人々にとってかけがえのない人をまた失い、辛いことも次々に起こるけれど、
    ささやかな喜びや人の情に光をあてて、哀しみを抱えながらも歩き出せば、
    何か良い変化がもたらされると信じられる。


    もう会うことのない人。
    亡くなってしまった人。
    喪失感で自分を見失いそうになっても、
    頬を濡らす涙が乾く日は2度と来ないと思っても、
    人はいつか気づく。
    会えない今を嘆くより、出会えたことを感謝したいと。
    会って話すことはできなくても、その人が存在したことは
    決して消すことはできないのだと。
    心の中に留まり、所作や考え方の影響を受けていたことに、はっとさせられる。
    ああ、確かにあの人はいたのだと。


    誰かの気持ちが少しでもほぐれていくようにと手をかけて拵えた料理。
    それを口にしたときと自然と幸せそうな笑みがこぼれる。
    滋味あふれる料理の数々。
    味わい深い人々。
    豊かな気持ちを養ういくつもの言葉に、
    ささくれ立っていた自分が穏やかになっていくのがわかる。


    「この歳になってわかることだが、残された者が逝っちまったの者のために出来ることは、そう多くは無ぇのさ。中でも大事なのは、心配をかけないことだ」(P74)

    「そのひとを大事に胸に留めて、毎日を丁寧に生きようじゃねぇか。身の回りの小さな幸せを積み上げて、なるたけ笑って暮らそうぜ。そういう姿を見て初めて、亡くなったひとは心から安堵できるんじゃねえのか。」(P75)

    「ひとの幸せってのは、銭のあるなし、身分のあるなしは関係ないんです。生きていて良かった、と自分で思えることが、何より大事なんですよ。」(P244)

    この拙いレビューを読んだどなたかが、いつか手に取ってくださったら、本当に嬉しい。
    1人でも多くの方におすすめしたい、わたしにとって大切なシリーズなのです。

  • 面影膳、干瓢海苔巻き、艶やかな卵黄の味噌漬け…

    無骨でとっつきは悪いが豊かな滋味に溢れている乾物。そんな、又次を思わせるような乾物を取り入れ、三日精進の膳を考える澪。大切な人を亡くした人々の心に染みる高野豆腐の揚げ物…

    息子佐兵衛との再会、また坂村堂の父で名店「一柳」店主 柳吾との交流…など、ようやくご寮さんにも幸せが。
    澪にもあさひ太夫との再会やふきの成長など、いよいよ「つる家」卒業の可能性を感じる展開。

    前の巻が辛いことばかりだった分、幸せの兆しが嬉しい。

    卵黄の味噌漬けや醤油漬けは今ネットでも密かなブームのようだけど、こちらはこぼれ梅(味醂かす)を使うからより味に丸みが出て美味しそう。

  • みをつくしシリーズ8作目。
    一途な女料理人・澪に転機が‥?!

    前作で吉原の大火があり、大事な人を失った悲しみを抱えている「つる家」の面々。
    料理人の又次に命を助けられた摂津屋が澪を訪ねてくる。最後の言葉の真意を知りたいと‥
    あさひ太夫こと幼馴染の野江のことが、これまで以上に気にかかる澪だが、おいそれと身動きは取れない。
    そんな澪のまわりで、運命が動き出す。

    幼い下足番だった少女ふきがすくすく成長しているのがいいですね。
    悲しみを乗り越え、澪の仕込みで料理の腕が上がっていくのが頼もしい。

    ご寮さんことお芳の一人息子・佐兵衛は長らく行方知れずだった。
    ようやく行方がわかったと思ったら‥ややこしい事情が?
    気を揉ませつつ、何とか良い方向へ。

    「つる家」常連の坂本堂の父・柳吾が病に倒れ、お芳は看病に。
    反目していた父と息子の関係にも変化が訪れていた。
    「一柳」の店の人たちも、お芳に一目おくようになっていき‥
    このことでの幸福感で心温まり、とても後味が良かったです。
    大きく心揺れる澪ですが、そろそろ幸せになってほしいもの。

    今回のお料理は~
    残月ーかのひとの面影膳
    彼岸までー慰め海苔巻
    みくじは吉ー麗し鼈甲玉
    寒中の麦ー心許す葛湯

    丁寧に生きる人々が描かれていく様子と、手間ひまかけたお料理の味が相通じる世界。
    章題と食べ物の名前を見ただけでも、ほっこりします。

  • 『みをつくし料理帖』第八巻となる『残月』もまた、他の巻と同じく四話が収録されているが、この巻では、澪の母親代わりの芳が存在感を放っている。料理店の女料理人として腕を揮ってきた澪とそれを取り巻くつる家の面々が、一期一会でこれまで出会ってきた人たちと交錯し、その交わりが新たな物語を生み出している。一期一会とは言ったものの、決して出会うばかりではない。別れもあるし、出会うことで新たな懊悩が生み出されることもある。このようなとき、人はしばしば右往左往してしまうものだが、かつての天満一兆庵の女将を務めた芳は、かようなときにこそ光を放つ。一流の料理店の女将という経験がそうさせるのは間違いないが、目の前にある障害に瞬時に対応できる瞬発力を見るにつけ、芳という女性が『みをつくし料理帖』において重要なポジションにいたことを再確認する。

    澪もまた、一介の町人相手の、今に例えるなら庶民的な定食屋でありながら、江戸の料理番付に「とろとろ茶碗蒸し」が評価されたことで、江戸で一二を争う一柳や登龍楼といった大店とかかわりを深めてゆく。そんな折、一柳の店主を父に持ち、今は版元をしている坂村堂が、父の知り合いの旅籠店主の祝言での料理を澪に頼みに来る。一柳は一柳なりの矜持で「仕出し料理」は受けないということで、澪、つまりつる家にお鉢が回ってきたのである。

    一柳の店主柳吾とその子坂村堂。柳吾と知り合いの旅籠の主人は、かつて芳とひと悶着あった。
    芳の息子で、天満一兆庵の江戸店をかつて切り盛りしていた佐兵衛は、澪が吉原廓で知り合った友しのぶとの交わりを通じて、芳が長年待ちわびた息子との邂逅を果たすこととなる。
    澪が請けた祝言の席での料理がきっかけで、芳は息子佐兵衛との再会とは別の、新たな出会いをも果たす。並の女性なら運命の波に翻弄され、自ら逃げ出してしまうかもしれないが、芳はそれでも毅然としている。そんな芳が、人前では見せない弱さを、我が愛娘ともいえる澪の前でだけ時に晒してしまう。この弱さも、『残月』の読みどころの一つだろう。
    いずれにしても、つる家を中心にして多くの人が交わり、つる家がなければあるいは互いに出会うこともなかったかもしれない人々が十重二十重に絡み合うさまは、注意して読み進めないとそれぞれの人たちの関連性が不明瞭になってしまうほどだ。人々の絡み合いが、物語に深みを与えていることは言うまでもない。料理で言えば、旨味のもととなる出汁のようなものであろう。

    そして、澪はついに、火事で焼失した翁屋の仮宅で、名医源斉の仲介を経て、あさひ太夫こと野江とついに対面することとなる。これまでは翁屋の瀟洒な襖越しに互いの声を交換するだけだったが、本作では澪は野江と互いに顔を見合わせて話をするのである。そのいきさつもまた、人と人との出会い、一期一会の人たちとの交わりを大切にしてきた澪ゆえの、ある意味では当然の帰結だったのかもしれない。情けは人のためならず――人にかけた情けは、輪廻して、巡り巡っておのがもとに舞い戻るという例えの通りだ。

    十巻からなる『みをつくし料理帖』もあっという間に二巻を残すだけとなった。つる家の店主種市は本作の中で大きな決心をした。その決心を後押ししたのは、普段、仏頂面して文句ばかり垂れている戯作者というのも面白い。あれこれ言いながらも、みな澪の虜になっているということだ。澪がこれまで多くに人にかけてきた情は、ぐるりと回って、今まさにおのが運命を動かそうとしている。いよいよ物語はクライマックスを迎えることとなるだろう。

  • 今まででいちばん気持ちよく泣けたなぁ。
    小松原との別れや又次の死や、このところ辛い話がつづいたけれど
    今回はそれらを乗り越えて、少しずつみんなが次の一歩を進み始めました。
    鮮やかな若草色の表紙もいちばん好き。

    「みをつくし」には、日本の美しさと日本人の情け深さがいっぱいつまっていて、こういうこと忘れちゃいけない大切にしていかないといけないってことを教えてくれる。
    旬の素材を丁寧に、食べる人のことを気遣ってつくられる澪の料理にも
    それを見守り支える周りの人たちにも、
    どんな逆境でも自分で道を選んでいく澪の生き方にも。
    私自身も励まされ癒されて、あたたかい気持ちをもらっています。
    シリーズももう8作目だけど、読むたびに、本当にいい話だなーとしみじみ思う。

    ご寮さんは佐兵衛とついに再会し、坂村堂も父と和解し、澪も野江と再会。
    そして最後のご寮さんの新しい縁。
    人と人との結びつきに、幸せの兆しが見えてきて、
    澪ちゃんも眉を下げるだけでなく、料理人としての強さが出てきて
    次作では大きな転機を迎えそうで、切ないけど楽しみです。


    (2014年8月25日 再読)

    • nobo0803さん
      tiaraさん

      こんにちは♫
      毎日暑くて、なかなか本を読む気にもなれず・・
      久しぶりにブクログを見てみなさんのレビューを読んで、本を読む気...
      tiaraさん

      こんにちは♫
      毎日暑くて、なかなか本を読む気にもなれず・・
      久しぶりにブクログを見てみなさんのレビューを読んで、本を読む気がおきてきました!(^^)!

      みをつくしシリーズ、この巻はまだ読んでないのですが、澪と野江ちゃん再会できるんですか!?ご寮さんと佐兵衛も再会ですか!!
      前作まで悲しいお話が続いてて・・読むのが切なくなってたのですが、この巻は幸せな気持ちになれそうですね♫
      読める日が待ち遠しいです!(^^)!
      2013/08/25
    • tiaraさん
      nobo0803さん

      あぁなんだか、ちょっとネタバレしてしまって申し訳ないです。
      そうなんです、悲しい別れが続きましたが、今作では人と人と...
      nobo0803さん

      あぁなんだか、ちょっとネタバレしてしまって申し訳ないです。
      そうなんです、悲しい別れが続きましたが、今作では人と人とが結びついていきます。
      澪ちゃんも揺るがない強さを見せてくれます。

      みをつくしシリーズいいですよね。
      わたしもやっと読めた!って思いでしたよ。
      夏バテにもピッタリの内容だと思います☆
      2013/08/25
  • みをつくし料理帖 第8弾。しみじみとする展開。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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