鈴蘭 (ハルキ文庫 あ 10-18)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 105
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (594ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758437639

感想・レビュー・書評

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  • 作中、ガラの悪いダブルのスーツの中年男が「なんでサウダージを知らないんだ」と言って、バーテンダーに絡んでいたが、この男は、もしかして、ススキノ探偵シリーズの.......

  • 久しぶりの畝原シリーズ。
    このシリーズは社会的な問題を織り交ぜつつ精神的に危ういひとが常に出てくるので、ススキノの探偵シリーズよりも重くて暗い印象がありますが、今回は女性たちに何ら危害が及ぶことがなく、安心して読むことができた。



  • 私立探偵畝原シリーズ第8弾。
    今回は、ゴミ屋敷と貧困ビジネスが題材。
    テーマの絡ませ方は、シリーズ一貫して秀逸。
    ただ、本作は特に、人の一生についての哀愁が物凄い。作中で、語らせる老人たちが実に含みがある。
    富める者も貧なる者も、あるどこかからその人生の岐路が分かれて行く。
    題名の「鈴蘭」の意味が解かれる時、鼻の奥がつんとなる。

  • シリーズものは1作が気に入ると、あとは安心して読めるものである。

    人の敷地内にゴミで壁を形成し住んでいる男、その近所で手作りテーマパークを営む老人、行方不明の恩師を探してほしいという依頼、もう、おなじみだが、畝原の周りで、さまざまな出来事や事件が、ポツリポツリと起きる。

    この作品では、ネジが外れた、薄気味の悪い人間は出てこない。

    結末は切ない。

    シリーズの中では、異色ともいえるだろう。

    で、楽しみにしている幸恵の成長だが、話せる言葉も少なく、いまだに発作が起きることはあるが、それでも、みんなが笑っていると、嬉しそうに笑うまでになっている。

    それが、とても嬉しい。

  • メインとなっている活動家のおっさんの話は大変切ない。何をやってもうまくいかない男、打ち捨てられたものへの同情心、攻撃性。
    他方で絡んでくる元教師の捜索。
    貧困ビジネスへの批判的な視線も取り入れつつ、でもジェロニモが再登場したのはとても嬉しかった。彼が元気に立ち直ろうとしているのは、希望。
    今回はかなり地味で、著者特有の警察や役所への痛烈な批判は出てこない。北海道の行政の闇への踏み込みは浅く、むしろ個人の哀しみに深く分入っていく感じ。
    後期ロスマクドナルドのリュウ・アーチャーに近づいているのだろうか?

  • 今回はゴミ屋敷に貧困ビジネス、
    時代に沿った話には、なるほどぉと納得。
    根っこは悪い人ではないけれど、
    その良さが発揮されないゴミ屋敷の住人。
    お花を植えて待ち人が戻るのを待つ、ゴミを拾い集めながら。
    彼にしてみれば、拾うのではなく、救うのであろう。
    ゴミとポエムが一緒に存在する。
    理解できそうで、できない。

    妻の病気に理解を示さなかった元高校教師の
    後悔してもしきれない思いといい、
    やりきれない世の中だと思う。

    幸恵の成長が、私も嬉しい、「アジアジ~」


    やっぱり畝原氏はいいなぁ。


    シリーズにでてくる札幌の住民が再登場するのは嬉しい。
    もちろん、ダブルのスーツの俺も。


    探偵・畝原シリーズ、追いついてしまった。
    嬉しいような残念なような・・・
    もう後は待つ身の私。早くぅ。

  • いつもの感じ。次が楽しみ。

著者プロフィール

一九五六年札幌生まれ。本郷幼稚園中退、本郷小学校卒、東白石中学校卒、札幌東高等学校卒、小樽商科大学中退、北海道大学文学部哲学科中退。
現場作業員、ポスター貼り、調査員、ガードマン、トラック助手、編集者、広告営業、コピーライター、受刑者など諸職を転々。
一九九二年『探偵はバーにいる』(早川書房)で小説家としてデビュー。同作は、一九九三年『怪の会』激賞新人賞受賞。
二〇〇一年『残光』(角川春樹事務所)で日本推理作家協会賞受賞。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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