- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758438636
作品紹介・あらすじ
海辺にある養護施設・愛生園では、「ワケあり」なこどもたちが暮らしている。そのなかのある少年は、クールに言い放つ。「何が夢かって聞かれたら、この世界をぶちこわすことだって答えるね」。ままならない現実の中で、うつむくことなく生きる彼らに、救いの光は射すのか-。個性的な青春小説で人気の著者が切実かつユーモラスにつづる、少年少女たちの物語。
感想・レビュー・書評
-
最近、養子縁組に関心がある。児童養護施設で困っている子どもを引き取るってどんなことだろうと、ふんわりと考えている。そんな時にふと図書館で手に取った本。
内容は、、お涙頂戴的なものではなく、複数の子どもからのフラットな視点でかかれた園の様子や周りの様子。
大人から見ると(親がいない、親から虐待されるというのは)通常ではない悲劇的な状況だったとしても、その当事者である子どもからすると、それが当たり前の状態であり、それほど悲劇感を感じないように描かれている。
だからこそ、子どもはすべての周りの状況をそのまま受け止めてしまうので、環境や教育っていうのがその子に与える影響っていうのがとても大きいんだということが、読み終わってぐっと胸に迫るお話だった。
しかし、たびたび児童ポルノみたいな話が混ぜ込まれているが、子どもってそんなにそんなに?状況によっては高確率でそのような危険にさらされるものなのだろうか、、と本当に心が痛む。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
児童養護施設が舞台。何人かの子どもたちのことが淡々と綴られる。施設に来た理由は様々。描写はなんだか生々しいけれど、事実こういう目に遭っている子どもたちがたくさんいるのだ。川島誠の小説は無駄に性描写が多くてやっぱりそこは嫌悪感を覚えるんだけれど、この作品においては生々しい傷跡のようでまだ許容できた。
-
児童施設を舞台に描かれる少年少女たちの物語です。
孤児だけでなく育児放棄、虐待を受けた子供達。希望的でも無く、かと言って悲惨なばかりでもなく。リアルといえばリアルだが、ちょっと捉えどころがなくて。
もっともそれが川島さんの意図なんでしょうね。答えは無い、この話の主人公たちや読者が自分で考え、作って行くしかない。色々と大変だけど。そんな風に言われているように思います。