サファイア (ハルキ文庫 み 10-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.62
  • (118)
  • (381)
  • (350)
  • (41)
  • (8)
本棚登録 : 4063
感想 : 277
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758438957

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ほとんどが後味の悪い終わり方だった。
    最後二つの話はその救済措置(?)的な展開かな。

  • ムーンストーンをテレビで見て原作を読みたくなりました。
    短編集のどれも面白かった。
    猫目石やサファイア、ガーネットが好きです。

  • 各篇に宝石の名前がつけられた短篇集。すべて後味がよろしくないと予想していたが、さほど悪くないものも混じっていたのが意外だった。最初の『告白』もそうだけれど、こういう短篇はうまいし、物語の語り手の選び方もいいなぁと思った。

  • 久しぶりに湊さんの作品を読みました(7カ月ぶり)。

    これがまた、するすると読める、非常に読み口の良い短編集。楽しいのでサクっと一日で読了でありました。

    この人もやっぱり、すごいストーリーテラーですよ。

    ・・・
    イヤミスだ何だ言いますが、兎に角面白い。話の構成やツイスト、はたまた連作となっていたり、話の筋も豊富で、そのどれもがすごい。

    その中でデフォルト設定となっているのが、「女性」でしょうか。湊さんの作品では母と子の関係を軸に話が展開することが多いのですが、本作は宝石の名前に模して、その名にふさわしい女性とストーリーが展開されるものです。

    以下、タイトルと共に概要もお知らせします。

    真珠・・・自称「昔は結構モテた」というおばさんの独白。それを聞く男性。次第に全貌が浮かび上がるおばさんの狂気。果たしてこのおばさんと聞き手の男性との関係とは。

    ルビー・・・特殊な老人ホームに滞在する「おいちゃん」とその裏の畑で作物を育てる家族とのほっこりする物語。老人ホームの性格や「おいちゃん」の正体やいかに。都心から実家に戻った長女が気づくその実態とは。歴史テイストあふれる物語。

    ダイヤモンド・・・とある初老の男性がプロポーズに送るダイヤモンド。当の男性、道端でうずくまる雀を助けたことから、「雀の恩返し」を受けることに。「恩返し」が暴く「ダイヤモンド」の醜さとは。幻想系。

    猫目石・・・3人家族の家庭に迷い込む隣家の猫。これをきっかけに隣家の奥さんはこの家族への干渉を始める。3人家族は崩壊するのか? ツイストが効いたホラー系。

    ムーンストーン・・・議員の夫を殺め留置される女性。彼女の回想をベース物語は展開。そして別の筋ではとあるいじめられっ子の話。二つの筋が交わる結末には一抹の希望が。

    サファイア・・・引っ込み思案の女性が出会った初めての彼氏。ものを欲しがらないように自制していた彼女が初めて出会った彼氏に言った欲しいもの。そのために彼氏はこの世を去ることになる。悲恋系。

    ガーネット・・・サファイアからの連作。彼氏亡き後、その真相を小説として発表した元彼女。その過程で見えてきた彼のアクションや心根、そして彼女の怨恨や悲しみのほぐれが描かれる。

    ・・・
    ということで、実にキレイに読める作品でした。

    上からものを言うようであれですが、完成度の高い、美しい読み口のよい作品群であったと思います。言い方を変えれば「クセが足りない」と言えなくもありませんが。

    でも、万人が楽しめる、そして多種多様な作品を収録している楽しい作品であったと思います。

  • 湊かなえさん作品の中でも「イヤミス」感が少なめだと思うので、初心者さんにも読みやすいのでは…!
    でもその中でも彼女の魅力とも言える「人間の闇/醜さ」みたいなところはやはりしっかり描かれていて、人間とはどういう生き物なのか考えさせられるなと思います。

  • ごめんなさい…実は「湊かなえ作品」=「後味が悪い」そういう印象があります。
    でもそう思いながらも買ってしまうのは結局は面白いからだと3冊目ぐらいからは諦めて買ってしまう…(笑)
    だからいつもおっかなびっくり読むのです。
    今回はいい意味で期待はずれ。後味が悪いなんてとんでもない!いろんな湊作品に会えました。
    私が1番好きなのは「ムーンストーン」。
    小百合が英語教師に「気を取り直して、って言う言い方はおかしいと思います。」で始まるセリフ。これはよかった!!なんとも溜飲が下がる!
    ありがと~う!下がりすぎたよーーー!!(笑)
    気持ちよくて何度も読み返してしまった。なんだか私の日常のモヤモヤも一緒に吹き飛んだ気がします!
    (2023/10/8、他の読書管理サイトからお引越し。レビューは読了当時の記録。)

  • 久々に読んだ湊かなえさんは湊かなえさんでした。
    明るく軽い本を読んでいたわたしにとって、はじめ重くて暗い質量にグッときました。
    ただ、不思議なことに、最後は泣いていました。
    解説の児玉憲宗さんのお話がこの文庫本のバランスを見事にとってくれていました。

  • 不穏な空気がずっと流れていたのに意外と最後に救いがある話が多くてびっくりした。なんでこんなにずっと不穏な感じを出せるのか。

  • 湊かなえ作品は、やきりれない感情と終着点のない後悔の印象が大きかったけどイヤミスじゃない物語も素敵。彼女を通して見える世界の話、とても好き。ダイヤモンドは東野圭吾っぽいなと思った(男性一人称だからかも)

  • 10年越しの再読(たぶん)。
    展開も程よく忘れていて、新鮮な気持ちで読むことができた。

    執着、嫉妬、欲望、憧れ、秘密、悔恨
    人間の複雑な感情が宝石に混ざるように散りばめられている物語は、10年前の自分には今ほど滲みなかったのではないかと思う。
    多分「後味の悪い話だな」「他人の闇が垣間見えるのは面白いな」程度の感想だったような気がする。

    登場人物たちほどではないにしても、プラス10年間の人生経験で肉付けされた感情の幅を持って、この作品にあたると当時は気づけなかったところまで共感が落ちていく感覚を味わえた。
    色んな意味で自分とはかけ離れている人々の語りなのに、作品の向こう側の世界をぼんやり見ているだけでは済まされないこの感じ。
    侵食性・侵襲性のあるイヤミスは、突き刺さって抜けない感じがする。

    この本をもう一度読むために、また10年頑張って生きられそうだと思った。

全277件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

湊かなえの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
湊 かなえ
湊 かなえ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×