幕末まらそん侍 (ハルキ文庫 と 6-1 時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 453
感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758439138

作品紹介・あらすじ

黒船の来航により、風雲急を告げる幕末の世。安政二(一八五五)年、安中(群馬県)藩主・板倉勝明は、藩士の心身鍛錬を目的として安中城内より碓氷峠の熊野神社までの七里余り(約三十キロ)の中山道を走らせた。"安政の遠足"とも呼ばれた、日本のマラソンの発祥である。美しい姫をめぐりライバルとの対決に燃える男。どさくさ紛れに脱藩を企てる男。藩を揺るがす隠密男。民から賭の対象にされた男。余命を賭け遠足に挑む男。悲喜こもごもの事情を背負いながら、侍たちが走る走る。果たして勝者は?そして安中藩の未来は?人気の著者が放つ、涙と笑いの痛快スポーツ時代小説!!

感想・レビュー・書評

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  • 映画化した「サムライマラソン」に、数々の疑問点が湧き上がり原作を読んで確かめることにしたのだけど、原作の方がはるかに面白く共感を覚えた。映画が外国人監督によって撮られているせいか、従来持つ「侍」のイメージが優先され、同著者による「超高速参勤交代」などに著される良さが消されていると思った。
    日本のマラソン発祥とされる”安政の遠足(とおあしと読みます!)”を題材にして書かれ、全5篇の連作形式でそれぞれ遠足に参加した侍たちが描かれていた。出場したそれぞれの主人公たちは身分、年齢、人生観も違うが「遠足」に参加することで、他人より秀でたい、自分は特別でありたい考えを改め、平凡な日常の中にこそ幸福があると思うようになる。もっとそこに焦点を当てて欲しかった。映画は遠足大会を開催した安中藩城主板倉勝明を盛り立て大団円となるのだが、武士道に傾より過ぎていて、私的には涙と笑いで痛快さを前面に押し出してもらいたかった。
    ただ、小説では藩主の娘・雪姫(小松奈々)の影が薄いのに対し、映画はアクティブな姫として存在感が増していたのは良かったと思う。印象に残ったのは第5章「風車の槍」で、又衛門を竹中直人が演じている。佐藤健は隠密の役だったが、もっとみたかったと感じるのはファンだからだろうか。期待していたほどの評価が得られないのは当然かなぁ。小松奈々さん、もっと観てみたい!

  • 『超高速!参勤交代』の作者ということを後から気づいて驚いた、、、

    この作品とまだ2冊しか読んでいないのだが、これだけで見ると作者はマラソン?長距離ランニングが好きなのかなとかなり勝手に考えてしまう(笑

    最初は藩主が大変な企画をしたものだと考えていたが、それを取り巻く様々な人の物語を見ていく内に内容が繋がっていき、最後に纏められているのがとても好きだった。

  • 「サムライマラソン」として映画化された物語の原作。
    日本におけるマラソンの始まりとされる幕末の「安政遠足」(「えんそく」ではなく、「とおあし」と読みます)を題材にしたコメディーかつ少し感動するお話です。
    小説を読んで面白かったので、映画も見てみましたが小説と映画でかなり内容に差があります。

    作品は5章に分かれ、それぞれ別の人物を中心に描いています。最初はそれぞれ別の独立した内容かと思っていましたが、何せ小さな藩の中での出来事なのでそれぞれの章の主人公が関係しあい、別の章にいい感じに登場するのが楽しいです。自分の主人公パートではちょっと抜けていたりするのに、他の章で登場するとけっこうカッコよかったりとか。

    遠足では「1位になったものには褒美を与える」となっているので、当然各参加者はいろんな作戦とか裏技を使おうとしますが、まあ当然いろんなトラブルやドタバタが起きますよね・・・
    江戸時代の時代背景をしっかりと残しつつも、今の人たちも考えそうなあの手この手を考えるお侍さんたちが面白いです。

    時代は江戸時代のことを描いていますが、上司と部下の人間関係の難しさ、男と女の人情劇から地方と都会の格差・働き方の問題と言った社会問題まで現代に通づるような描写が多数描かれています。
    「あ~、それ分かるわ~」とお侍さんに共感してしまいました。
    背景は江戸時代ということもあり、途中には斬り合いや暗殺と言った暗い描写も出てきますが、基本的にコメディタッチで読みやすいと思います。
    ラストはやや唐突で一気に進み過ぎる感じはありますが、感動的な流れから最後はしっかりとオチをつけて爽やかな印象で終わるあたり、作者の構想力の素晴らしさを感じます。

    これから映画を先に見られる方が多くなるかもしれませんが、ぜひ小説での原作を読むことをおススメしたい1冊です。
    魅力的な各章の主人公が絶妙なバランスで関係しあい、物語を進めていく面白さを味わえるのは小説ならではだと思います。

  • 気楽に読めて、あと味が爽やかで、あたたかいものが心に残る、良質の人情喜劇です。読んでるあいだじゅう楽しくって、笑ったり、ほろっときたりで、最後はおおっ!と盛り上がり、しみじみとした気持ちの良い余韻が。

    これは読んでよかったと心から思えました。
    文章が読みやすくて、スイスイと、2、3時間ほどで
    読めたのもよかった。

    映画「サムライマラソン」を見て、わけがわからずモヤモヤしていたのが、なるほど元々はこういう話だったのか!とスッキリしました。

  • 202304/コミカルで面白かった。

  • これも映画になってるんだ!!
    キャストをついつい見て…佐藤健の役ってどの人だった??とペラペラ見返して、あぁ…ピッタリかも…。 それぞれの章で それぞれの登場人物のストーリーがあるので短編集みたいに読めた.
    .
    3章隠密 5章風車の槍 が面白かった!
    2章の逢引は…女って怖いわぁ…と

  • 軽井沢から碓氷峠に親しみがあり手に取りました。まだ読んでいない方、ホントに面白いです。一話目の話が二話目に、二話目の話がまた次につながります。第五話は最初から涙がでてきます。まだ映画は見ていませんが、とても興味があります。

  • 遠足=とおあし

    映画はコケたそうだ

  • 「超高速!参勤交代」の作者が史実にある遠足(とおあし=マラソン)を題材にした痛快スポーツ時代小説。
    独立した5編の話が、同じ遠足を舞台に繰り広げられる秀作です。特に第5章は読みながら思わず涙ぐんでしまいました。

    作者:1969年、大阪府豊中市生まれ。関西大学工学部卒業。「超高速!参勤交代」で第三十七回城戸賞受賞。2013年に同作の小説『超高速!参勤交代』で作家デビュー。同名映画で第三十八回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。作品も第五十七回ブルーリボン賞に輝く。15年にはシリーズ二作目の『超高速!参勤交代 老中の逆襲』を刊行。同作は16年「超高速!参勤交代 リターンズ」として映画化された。

  • ほぼ漫画だね

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。2011年「超高速!参勤交代」で第37回城戸賞を受賞し、同名映画は第38回日本アカデミー賞最優秀脚本賞、第57回ブルーリボン賞作品賞を受賞。さらに同名の小説で作家デビューを果たす。他の著書に『幕末まらそん侍』『超高速!参勤交代 リターンズ』『引っ越し大名三千里』『スマイリング』『チャップリン暗殺指令』など。

「2022年 『決戦!賤ヶ岳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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