勇者たちへの伝言 いつの日か来た道 (ハルキ文庫 ま 14-1)
- 角川春樹事務所 (2015年11月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758439626
作品紹介・あらすじ
ベテラン放送作家の工藤正秋は、阪急神戸線の車内アナウンスに耳を奪われる。「次は…いつの日か来た道」。謎めいた言葉に導かれるように、彼は反射的に電車を降りた。小学生の頃、今は亡き父とともに西宮球場で初めてプロ野球観戦した日を思い出しつつ、街を歩く正秋。いつしか、かつての西宮球場跡地に建つショッピング・モールに足を踏み入れた彼の意識は、「いつの日か来た」過去へと飛んだ-。単行本刊行時に数々のメディアで紹介された感動の人間ドラマ、満を持して文庫化!
感想・レビュー・書評
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yhyby940さんこんばんは。フォロー、ありがとうございます。私は西宮北口駅の一つ東の武庫之荘に20年暮らしていたブレーブスファンです。面白い小説ですよね。こんばんは。フォロー、ありがとうございます。私は西宮北口駅の一つ東の武庫之荘に20年暮らしていたブレーブスファンです。面白い小説ですよね。2020/08/24
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書店で見付けて手に取り、ノスタルジーな物語?と、購入。
読み始めは、感動もののファンタジーかと思ったが、全然違う方向へ。
「手紙」の章では壮絶な北朝鮮の状況から目が離せない。まさかこんな展開とは思わず、早く結末が知りたくて、最後まで一気読み。
キーワードの「勇気」という言葉。
自分は勇気を持って生きているのか?
生きる、を改めて考えさせられる。 -
ブクログ登録1000冊目!は、大好きな野球と、地元西宮の物語。タイムラインで見かけて、興味を持って手に取りました。
西宮にはかつて阪神と阪急、2つの球団があったんだなぁ。西宮球場には昔ゆずのライブを観に行ったことがあるくらいで、数年後には取り壊されて阪急ガーデンズが建った。そんな今はなき西宮球場と阪急ブレーブスの思い出から始まる物語です。
ノスタルジックな父と子の物語かな?と思って読んでいたら、思わぬ方向に話が進んで行って、一気読みしてしまった。
北朝鮮の実態については、別の本でも読んだことがあるのですが、フィクションであれと思うくらい悲惨で、読んでいて辛かった。日本のすぐ近くに、そんな国が存在するのかと驚かされると同時に、今当たり前のように平和に暮らせていることに感謝したくなる。
登場人物があまりにも綺麗にまとめられすぎている感じはありましたが、国も時空も越えて繋がる物語に涙。私も生きる勇気をもらえた気がします。 -
同級生に薦められて読みました。小説の舞台になった西宮に住んでいたのでかなり感情移入してしまった感はありますが、人と人のつながり、優しさにあふれた作品です。ラストは涙がとまりませんでした。
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筆者の増山実氏の文章の書き方・着眼点・表現の仕方(演出)などが読者に伝わりやすく、登場人物たちが今まさにそこでどのようにして過ごしているのかが目の前に映るようでした。また、朝鮮人の方々の苦しく過酷で悲惨な環境も学びました。
それを重たく終わるのではなく、本編終盤で、我々読者にさえも希望として歩んでいってほしいという示唆を含めたセリフに温かみがあり、中盤からは悲しいシーンが多かったですが、前向きに本を閉じることができた、読んで良い本だったと感じております。 -
2017年1月8日読了。
最初は、父親に対する想いを描いた渋い小説なのかなと読み進めていましたが、壮大な規模の物語でした。あらためて現代の日本が、過去の時代に生きた人々の想いが礎となって平和と自由を保っているのだと考えさせられました。
物語のテーマである「勇気」、自分の人生をあきらめずに自分で選択していくという力は必要不可欠だなと改めて実感したし、またがんばっていこうと励まされる小説です。
ただ、文章が少し軽かったのと、やや説明的な部分は、小説という表現形式を使うにあたっては少し物足りないかな、と思いました。
主人公の父の若き日の恋愛はせつなくて、読んでいて涙ぐみました。
ラストはすべてがつながって、良い余韻がありました。 -
はじめのうちは、面白く読めていたけど、こんなに北朝鮮の暗い話しになるとは思っていなかった。
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目で読んでスッと入ってくる関西弁の文章が良い。
放送作家の業務や、報道番組のリアルな裏側を皮肉ってるのがおもしろくて、どんな物語になるんかなぁって思ってたら、急にタイムスリップした笑!
開拓民の話、競輪の話、能登半島と朝鮮半島の話など、職業野球という言葉があった時代の出来事がとても興味深かった。
ま~!「父の秘密」で父ちゃんが語る回想シーンの長いこと!笑
長~~~いこと語ってたな!京都銀行!
あの、安子から届いた手紙の封を切る瞬間の正秋の気持ちたるや…。手紙の内容は、もはやラブレター。
異国で貧乏と戦い、差別を受けながらも平穏に暮らせる人生を捨てて、故郷に還ることを選んだ者を裏切るような国家はアカン。人として最低限の暮らしすら保障できない国家はクソ。
しかし、端から見れば腐ったしょ―もない国やと思われていても、祖国を想う人からすれば、故郷であることに変わりはないということを改めて思い知らされた。どんなにポンコツのクソッタレでも、親は親、故郷は故郷なんかな。だって、そこで生まれ育ったんやもんな。
2000年代になっても、貧しい暮らしをしている人々の食べ物より、中国の犬のエサの方がはるかに豪華なんだとか。何発もミサイルを発射できる資金源があるはずやのに。
数奇な運命。巡り合わせ。人の想いは時空を越える、という使い古されたワードが嵌まるタイムスリップファンタジーやけど、そんな事よりも北朝鮮の現実の方がファンタジーであってほしいと、フィクションであってほしいと願う。
2017年12月02日 -
同級生からのお勧めで読みました。生まれてから25年間住んでいた西宮北口が出てくるということで、気軽に読みはじめたら、西宮どころか日本を出て異国が舞台になり、びっくりしました。タイムリープなどファンタジー要素があるのですが、現実感もあって不思議な世界観です。バラバラに出てきたいくつかの家族、登場人物が終盤にどんどんつながっていくところは上手いなあと思いました。図書館で借りて読みましたが、自分で買って手元に置きたくなる本です。
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これ本当の話?
綺麗に人が繋がってった。
安子さんの話から一気に読めた。
安子さんすごいわ、、心が強すぎる
からこそつらくなった。
今の時代に生きる自分がいかに恵まれてて
平和で豊かな生活ができてるか思い知った。 -
主人公と同年代、西宮北口の近くで20年以上暮らして、ブレーブスファンである私。読み始めは、主人公が過去に戻り亡き父と再会する、昔読んだ浅田次郎さんの「地下鉄に乗って」や大林宣彦さんの映画「異人たちとの夏」みたいな感じの作品かと思ったのですが、意外なストーリーの展開にのめり込みました。父と初恋の女性の切ない別れ、女性の苛酷で悲しすぎる人生。実在する登場人物。フィクションとノンフィクションが絡み合う。読み終わって、私自身の亡き父とほとんど交流を持たなかったことに後悔しました。
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8日間かけて読んだ。もったいないことをした。登場人物が次々とつながってゆく。そのつながりがぼちぼち読んだせいで接点、生い立ちがぼやけてしまっていた。それでも素晴らしかった。行き交いめくるめく人生のつつましくも壮大なドラマだ。大ファンだった阪急ブレーブスが一つの題材になったのもうれしかった。
北朝鮮の帰国事業による悲劇は別の本でも読んだけれど、本書でさらに悲惨な思いを抱き、切なく悲しく怒りを感じた。これほど非人道的な国があるだろうか。懸命に生きた安子さんに感動した。また是非、読みなおしたい。 -
阪急ブレーブスと西宮球場からつながる人と人とが交わり、離れていくストーリー。アナウンスの聞き間違いから始まったタイムスリップによって父の秘密を知ることになり、そこからどんどん物語が広がっていく。直接的、間接的につながっていく登場人物たちの人生に魅了され、先を急ぐように読んだ。言えなかった思い、言わなかったこと。それを伝えることができて幸せなラストには心打たれた。一部はフィクションではなく、残酷で人権を無視した行為には、忘れることなく二度と起こらないようにすべきだ。
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読み始める時を考えるとこんな物語だとは思わなかった。深い、重い、辛い、北朝鮮帰還事業にまつわる物語。この物語を読むまでは知らなかったこと、考えなかったことだらけだった。最後の場面だは伝えたい人に伝えたいことが伝わって胸に突き刺さり、報われた瞬間だったと思う。この物語はたくさんの人に読んでほしい。 -
こういうストーリー展開はあんまり好きじゃないけど
北朝鮮の事、こういう時代があったのかと
想いを馳せた -
2023#9
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なにをもって故郷とするのか。
当時の政策によって過酷な生活を強いられた人々。きっと同じように何万人のストーリーがあるのだろう。こんなにも過酷だったのかと、読んでいてしんどくなるところがあった。 -
とっても面白かった。ストーリー自体は非現実的だが、そこがそう繋がるのか!と読んでいて楽しかった。