金曜日の本屋さん (ハルキ文庫 な 17-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.54
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本棚登録 : 1429
感想 : 167
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758440295

感想・レビュー・書評

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  • ★3.5
    題名に惹かれて読みました
    それぞれのキャラが良いです

    本屋さんなので、本の紹介もあり、読んでみたい本が増えました

  • レビューを拝見して知った本です。ありがとうございます。
    ビブリオミステリーでは『ビブリオ古書堂の事件帖』などが有名ですが、この本も負けず劣らずとても、楽しい本でした。
    主要な本以外にもいろいろな本が登場し、下手なブックガイドなどより数倍面白く読めました。
    ご紹介していただいた方、本当にありがとうございました。
    ブクログならではの出逢いでした。

    以下、ネタバレしています。

    第一話 読みたい本なんか見つからない
    僕こと倉井史弥は北関東の小さな駅の中にある本屋<金曜堂>へ電車に乗って出かけました。
    <金曜堂>は『読みたい本が見つかる本屋』としてSNSなどで有名です。
    僕の探している本は今、闘病中の父で大型書店の経営者の父が好きだった、庄司薫の『白鳥の歌なんか聞こえない』。父には何度同じ本を持っていっても「これじゃない」と言われています。史弥はそこで探していた本に出会い、<金曜堂>でアルバイトを始めます。
    「読書は究極の個人体験。人によって響く部分が違うのはあたりまえなのです」

    第二話 マーロウにはまだ早すぎる
    <金曜堂>にきていた女性客、猪之原寿子が本の万引きをしたと思い、僕は間違えて自分の本で書き込みのたくさんある『長いお別れ』(フィリップ・マーロウ清水俊二訳)を持っていたのをみつけます。万引き犯扱いされて寿子は怒りますが、同じ大学の職員と学生として再会した僕に寿子は自分の交際相手の男性を見張ることを頼んできます。寿子はなぜあんな外見も中身も申し分ない男性、瀬見鉦とに自分が慕われるのか全くわからないといいますが、それにはちゃんとした理由があったことが判明します。
    瀬見兼人がいつも<金曜堂>で読んでいた本は『長いお別れ』で、飲み物は『長いお別れ』に登場するギムレットでした。

    第三話 僕のモモ、君のモモ
    <金曜堂>に子役の津森渚が現れて朗読会に参加します。そこで読んだミヒャエル・エンデの『モモ』の本を店員の楢川さんに譲って欲しいと渚が言うと、楢川さんは「この『モモ』は友だちからもらった大切な本だから誰にもあげられない」と言われてしまいます。
    渚くんは「僕は灰色の男だからモモとはけっして友だちになれない」と言います。
    店長の槙野さんは「モモがモモになるために必要なものは何でしょう。答えがわかったら渚くんもモモになれますよ」といいます。
    そして、その後、渚くんは楢川さんが「友だちにあげたいから」と言って買った『モモ』をプレゼントされます。

    第四話 野原町綺譚
    藪北勝という人物が<金曜堂>に現れ、河童について書いた本は
    ないかと言い出します。
    槙野さんは梨木香歩の『家守綺譚』を持ってきます。
    次に女性記者がやってきてオーナーの和久さんが地元のヤクザとつながりがあるのではないかと疑われますが、皆で女性記者を追い払い、和久さんの祖父の伊蔵が事の真実とともに、昔みた河童と自分の孫の和久さんがそっくりだと言い出します。
    そして最後に藪北こそが新聞記者だったことが判明し、ヤスさん(和久)の家が何もやましい事がないということが世間に明らかになり、新聞記事には『家守綺譚』の『葡萄』という短編の文章も引用されます。

  • 本屋さんの日常の謎ですね。
    「北関東にある小さな駅ナカ本屋さんは"読みたい本が見つかるらしい"」のキャッチフレーズで呼び込まれた主人公がその本屋さん「金曜堂」を訪ねたところから物語は始まる。
    気の弱い主人公が「金曜堂」の三人の個性豊かな店員さんとの交わり、書店で起きる謎解きがユーモアと人情たっぷりに描かれています。
    「野原駅」が舞台ですが、野原高校を始め、地域との絆、謎の地下書庫等バラエティーも盛りだくさん、面白く読み進めました。
    出てくる本も懐かしい物を始め興味深い作品も有り、本の情報もありがたいですね。
    シリーズに成っているので読んでいきたい。名取さんの文章にも馴染んで行けそうです。柔らかい文章とペーソスを絡めた独特の筆力なので飽きずに楽しめます。

  • 読み始めてすぐは登場人物と話の展開にどうかなと、ちょっと思いながら読み進めました。
    結果、作者の好きな本に対する思いが深く伝わる良いお話でした。
    本屋さんで働く人達とお客さんとのやり取りで話は進んでいきますが、作者の好きな本が紹介されています。
    その本と絡めてのやり取りは響く言葉が沢山あります。
    それを小説とした作者さんの人柄も素敵な人ではないかと。
    初めて小説に読み直したい箇所に付箋をはりました。
    自分も物語に参加しているような気持にさせてくれる大切にしたい本になりました。

  • 実際に世にある本基準にうまく組み合わせたストーリーは斬新だった。元の内容を、知っていたらもっと楽しめたと思う。

    地下の書庫という設定が夢広がるなー
    空間一面に本が敷き詰められている光景が大好きだから想像でも楽しめた。

    そしてオカルト好きなので家守奇譚が気になった。
    続編があるようなので読んでみよう。

  • “読みたい本が見つかる本屋”らしい、金曜堂。

    店舗は、地下鉄廃墟の巨大書庫ありの魅惑物件。
    店長をはじめ、オーナー、店員共々魅力人物。

    各章に、個性的なお客様が本を求めて来店する。
    彼らの必要とする本を、そのストーリーに絡めた短編風に見つけ出す。登場する小説は、著者の推し作品ですねえ、ついつい読みたくなってしまう。
    何冊か図書館予約してしまいました。

    「読書は、空極の個人体験」同意しまあす。
    音読は苦手なんですけれど。

    • 松子さん
      おび、ありがとう(^^)
      変なおばさんだなんて、絶対思わないよー
      趣味が幅広くて、博識で、知性溢れる感想が
      伝わってくるから見ちゃうブク友さ...
      おび、ありがとう(^^)
      変なおばさんだなんて、絶対思わないよー
      趣味が幅広くて、博識で、知性溢れる感想が
      伝わってくるから見ちゃうブク友さんの気持ちわかるっ!絶対みんな、おびと話してみたいと思ってる!こんなゆっくりやりとりできる時間は貴重なんだね。大切な時間〜♪わたしラッキー!

      ひろの感想は癒しの宝石箱で、疲れた時や、社員食堂とかで充電したいときに開いて、勝手に癒されてるの(^^) ふふふ。 見た感想全部いいねしたいけど、変な人に思われるかなと…
      松、こわっ!みたいな。
      2022/03/21
    • おびのりさん
      ありがとうございます♪
      まっちゃんもひろさんもヤスコさんも、お休みかな?お仕事かな?
      読書お楽しみください。
      ありがとうございます♪
      まっちゃんもひろさんもヤスコさんも、お休みかな?お仕事かな?
      読書お楽しみください。
      2022/03/21
    • ひろさん
      こんにちは~♪
      ふたりとも熱い感じがいいなぁ~(*´꒳`*)
      趣味が幅広いの憧れます!変なおばさんとは思わないです。おびさん家の本棚は色んな...
      こんにちは~♪
      ふたりとも熱い感じがいいなぁ~(*´꒳`*)
      趣味が幅広いの憧れます!変なおばさんとは思わないです。おびさん家の本棚は色んなジャンルの本があって楽しそうっ♪

      まつ、宝石箱は褒めすぎだよ~、でも嬉しい(笑)
      まつの感想は色んな感情がストレートに伝わってきて、いつも勝手に元気もらってます(*^^*)
      2022/03/21
  • 最後の1ページまで面白かった。
    夢中で読んでいたら降りる駅に気付かず
    乗り過ごしてしまった。

    『読みたい本が見つかる本屋』金曜堂がお話の舞台。3人の元同級生が経営する金曜堂でアルバイトを始めた少し気弱な大学生•倉井くんの目線で話が展開されていく。

    一話毎に悩みを抱えた登場人物とその登場人物が一歩前に進む勇気をくれる、背中をそっと押してくれる本が出てくる…。

    知的好奇心が満たされ、物語に感動し、本に対する考え方や表現の素晴らしさ、色々な角度の驚きと感動が満載で心が忙しかった!
    涙が溢れないように読むのも大変!

    好きなシーンを紹介。

    人と本の感想がいつも違って読書に抵抗がある主人公の倉井くんに言った店長の言葉が好き。
    『読書は究極の個人体験です。人によって驚く部分が違うのは、当たり前なのです。作者の思いやテーマを汲み取る努力を、読者がしなければならない義理はありません。好きに読めばいいんです。感想を誰かと同じにしなくていいんです。』

    も一つ好きなシーン
    『家守綺譚』の小説の中のセリフ。
    『死んでいようが生きていようが、
    気骨のある魂には、そんなことはあまり関係がないんですよ。』
    この言葉にグッときた。本当にそうだなと。

    はぁ、続きが楽しみです!


  • 北関東の小さな駅のナカにある本屋は
    "読みたい本が見つかる本屋"

    ネット上でこんな噂を目にした大学生の倉井史弥は、訳あって
    父親から無断で借りたまま失くしてしまった本を探すため
    藁をもすがる思いでその駅へと向かう───

    駅ナカにあったその本屋は一見したところ、ごく普通の本屋。
    けれども一歩店内に入ってみると......

    小さな町の小さな駅のナカにある、小さな本屋〈金曜堂〉では
    ユニークオーナーと底抜けに明るい女店長、そして
    黒髪碧眼のイケメン店員が待っていた。

    果たしてその本屋〈金曜堂〉で、倉井史弥の探している本は
    見つかるのだろうか....。

    このお話の中に、実在する名作の数々が登場するとは知りませんでした。
    "ビブリア古書堂"の最終話を読み終えたばかりの次に読むことにしたのは
    まったくの偶然。"ビブリア"にも少し似た、だけどそれとは180度も違う
    新たな本の世界へといざなってくれました。また楽しみな本に出会えて嬉しい♪

    連作された四つのお話のなかでよかったのは
    ・僕のモモ、君のモモ

    渚少年の気持ちが変わっていく様子が微笑ましかった♪^^

    読んでみたいと思った本は
    「長いお別れ」:レイモン・チャンドラー著

  • 「読みたい本が見つかる」本屋とは?
    本を巡るほっこりミステリー。

    主人公の大学生・倉井史弥には、どうしても見つけなければならない本があった。
    「読みたい本が見つかる」という評判を聞いて、北関東の駅ナカの本屋「金曜堂」に出向きます。
    そこは一見ごく普通の本屋‥
    ところが地下に秘密があったのです!
    ちょっと天然な女性店長・南槇乃は無類の本好き、イケメンの店員がいるカフェがあり、オーナーは金髪でちょっと柄の悪い男。
    じつは高校の同級生だという彼らにも、なにか事情が‥?

    「白鳥の歌なんか聞こえない」「長いお別れ」「モモ」「家守綺譚」を取り上げながら、店に来るお客さんとゆるやかな関係を築き、心を解きほぐしていきます。
    本が題材なので勇んで読みました。上記の作品はどれも以前読んでいます。
    期待過剰だったのか?微妙にキャラがしっくり来ないところもありました。
    それでも、本と本屋の話ですからね。
    続きはいずれ読むつもりで~楽しみにしています☆

  • 夜、眠る前に飲むホットミルクのような、心がほんわか、あったかくなる本屋さん『金曜堂』物語。槇乃店長をはじめ、ヤスさん、栖川さん、そして倉井くんと、金曜堂のメンバーたちそれぞれ個性は違えどもみんな好感が持てます。そして、みなさんただ明るいとか、顔が広いとか、かっこいいとか、坊ちゃんとかそんな表面上の裏には何やら抱えているものがあるようです。金曜堂を訪れる悩めるお客さんも含めて、彼らはこの本屋さんで出会う一冊の本に導かれていきます。一冊の本との出会いの中で、自分自身が気づかない振りをしていたこと、願っていたこと、本当はどうしたいのかなんてことが見えてきます。勿論、本は彼らの心に響く言葉をただ静かに抱いているだけで、魔法のように願いを叶えてくれるわけではありません。それでも、その本との出会いの中でひとつの文章が魔法と同じくらいの力を与えてくれる時があると思います。その力は、彼らひとりひとりが一歩踏み出すための勇気や感動を与えてくれます。そこから、歩きだすには彼ら自身の力がないとダメなんだけれど。だからこそ、本ってなくなっちゃいけないものなんだと思うのです。
    金曜堂で紹介された本は、どれも読みたくなると思います。家守綺譚は大好きな本なので、もっとみんなに知ってもらえたら嬉しいです。

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著者プロフィール

名取 佐和子(なとり・さわこ):兵庫県生まれ、明治大学卒業。ゲーム会社勤務の後に独立し、2010年『交番の夜』で小説家デビュー。著書に『ペンギン鉄道 なくしもの係』(第5回エキナカ書店大賞受賞)シリーズ、『金曜日の本屋さん』シリーズ、『シェアハウスかざみどり』『江の島ねこもり食堂』『逃がし屋トナカイ』『寄席わらしの晩ごはん』『七里ヶ浜の姉妹』『ひねもすなむなむ』『図書室のはこぶね』(京都府私立学校図書館協議会司書部会「中高生におすすめする司書のイチオシ本2022年度版」第6位、「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2022」第8位、うつのみや大賞2023第4位)ほか多数。

「2023年 『文庫旅館で待つ本は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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