食堂つばめ 8 (ハルキ文庫 や 10-8)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 126
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758440509

感想・レビュー・書評

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  • 私が大好きだったシリーズが、終わってしまったぁとちょっと心にぽっかり穴が空いた感じがしましたが、終わり方が個人的には好きです。
    前巻で出ていたあの球体。やっぱりノエさんだったんだなぁ。柊子さんの所に出てきてる事からちょっと考えていたんですが、こっちを読んで納得しました。生まれ変わるって寂しいような嬉しいような、すごく複雑な気分だったかのかもしれない。
    終盤になっていく中、うるってする部分あり!まさかのクスッと笑える部分もあり!あとがき含めて楽しかったです。続編とかあったら、絶対に読みたい!

  • か、完結したあー!
    なんだか不思議な世界観らしく、不思議なオチがついた。
    不思議ではないんやけど(?)、なんでもありみたいな。
    気持ちのいいなんでもありみたいな。
    読了感はすっごくよかったです。

    長い期間をかけて読んでしまったので(途中数年開いてるので五年くらい…?)初期のころの細かいところはちょっと忘れちゃったかも。申し訳ない。

    もちろんそれでも十分楽しめるんやけど、最終巻を読んだときに、初めに秀晴くんが「街」にやってきたときのことを鮮明に覚えていたら(わたしが)もっとじんわりきたかもなあとも思う。^^

    ところどころで砕ける文章が面白かったなあ。
    この本の初版が2016年やから、ちょうどわたしが本読み生活に戻ったあたりかあ。
    1巻もそのころに読んでるはず…。
    でも、2016年にこの最終巻を読んでも、ここまでほっこりはせんかったかもしれん。

    年齢を重ねるごとに、「そう思ったら物事はそう」という考え方が好きになってきてる。

    白黒はっきりつけることが世の中には多すぎるから、つけなくてもいいことこそ大事にしたいねんな。
    説明できない感情とか、感覚とか、そういったもので構成されてる。し、構成されたい。
    仕事は、そんなことをいうわけにはいかんからね。笑

    わたしも「街」に行って(帰ってきて)みたいなと思ったけれど、あとがきを読むと著者曰く、こういう「街」は自分で作るものなのだと。
    なるほど確かにそうかも。
    わたしも子供のころは、お風呂の湯舟に映る世界を見て「この向こうの世界は、」と、何度も想像したなあ。
    そんなことをいつの間にわすれてたんやろ。笑。

    わすれてたというより、わたしは二次創作へすっかりはまってしまったので、「街」はわたしの二次創作にある。
    最近全然できてない(二次創作が)!

    ちょうどいま、書きたいネタがあるから、明日絶対書こう。
    わたしも、わたしの「街」に、ふとした瞬間に訪れるのだ。
    その感覚を忘れないようにしないと。^^

    秀晴の訪れる「街」は、著者にとっても気分転換になる大事な世界(のひとつ)のようで、その「街」について書いたものがこのシリーズ(でもあった)らしい。

    わたしは著者の想像の世界に浸って、おいしそうだなとか悲しいなとかうれしいなとか、たくさんの感情を共有したわけで。

    …ん? そう思うと、これはどこまでが「想像」なんやろ?
    著者の「想像」は小説として「現実」になり、その「想像の現実」にわたしはまた想像をかきたてられている。わたしはわたしを著者の書く「街」へ何度もとばしている。

    あれ? いま、わたしはどこの世界線におるんやろ? 笑

    作中作でもないけれど、物語と現実の境界線を見失う瞬間が、本読みをしていて一番ぞくっとくる。

    まさかこのシリーズで、そんな感覚をじわじわ感じるなんて、最初は思いもしてなかったなあ。

    とても、楽しくて、せつなくて、「どこか見覚えのある」読了感でした。
    読んでよかった。

著者プロフィール

一九六四年、埼玉県生まれ。八五年、矢崎麗夜名義で星新一ショートショートコンテスト優秀賞を受賞し、八九年『ありのままなら純情ボーイ』で作家デビュー。主な著書に「ぶたぶた」シリーズ、「食堂つばめ」シリーズ、「NNNからの使者」シリーズ、『あなたのための時空のはざま』など。

「2022年 『おいしい旅 想い出編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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