情熱のナポリタン: BAR追分 (ハルキ文庫 い 20-3)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 963
感想 : 117
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758440653

感想・レビュー・書評

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  • 「BAR追分」3冊目。

    前作で宇藤くんや純くんの過去が少し知れそこからどう展開するかと思っていたが、本作でもとらえどころのない展開は変わらず。粉モンはどれが好き、って話だけで終わった第1話には脱力。
    芥川龍之介の「蜜柑」とリンクしてバスタ新宿での別れのシーンが鮮やかな第3話は良かった。新宿高野のメロンパンもおいしそうだし、中村屋のカリーパンもモンスナックのカツカレーも懐かしい。

    宇藤くんには人生の岐路というべき出来事も起こったが、赤と緑でノルウェイの森を思い出すと言われてピンとこないようでは、物書きを目指している人間としては確かに『恥ずかしすぎる……』。
    落ち込んだ顔ばかりしていてモモちゃんに元気づけられるばかりだし、もう少ししゃんとして欲しいところ。『可愛くて天然で、ドジな女の子』なら世間一般的にはうけると思っているようでは、破格の条件で引っ張られる脚本家には思えないよねぇ。

    パンケーキにお好み焼き、とろろご飯と牛タン、オムレツ&カレーに肉団子の煮込み、和風仕様のナポリタン…、今回もモモちゃんが作るおいしそうな料理がたくさん出てきたが、一番食指を動かされたのは、ゴメン、すずやのとんかつ茶づけだったわ。

  • 様々な人々の人生の追分を描いた、シリーズ第3巻。出てくるメニューはどれも定番なのに何故だか無性に続きが気になって、書店で即購入してきました❗グルメ小説は、お腹だけではなく心も満たしてくれるので、ほっこりしたい時にはマストのジャンルです♫

    好きな話しは、『秋の親子丼』と『蜜柑の子』の二編です❗久し振りに、名古屋の喫茶店のナポリタンが無性に食べたくなりました♫

  • 新宿の「ねこみち横丁」振興会の管理人をしながら、脚本家を目指す宇藤。
    コンクール作品を書き上げた直後、「BAR追分」にやって来たのは劇団を主宰する桜井義秀と出会う。
    この桜井は夜の「BAR追分」で働く純とも因縁があったが、桜井と二人三脚で劇団を支えて来た空開の後任として、宇藤を劇団付の脚本家として、誘う。
    念願の脚本家の道が開けてきた宇藤だったが、人生の大きな岐路に戸惑ってしまう。
    宇藤の心の迷いを丁寧に描きながらも、BAR追分に訪れる人々との出会いを描き、相変わらずモモちゃんの料理も美味しそう。
    特別な食材を使う訳でなく、作り方を変えることで、様々なメニューを生み出すモモちゃんの才能がとても羨ましい。
    今作ではこれまで登場しなかった人物がたくさん登場するが、やはり「蜜柑の子」のラストで、なかなか心を開かない柊くんが、自分が大好きだったメロンパンを別れ際に宇藤に渡すシーンには涙・・・
    ただ、コンビニのレジの横に売っている、ソーセージをホットケーキミックスをつけて揚げた食べ物は、「ホットドック」ではなく、「アメリカンドック」ではないの?
    それとも、地域によって呼び方が違うのかしら?
    ラストに出て来る空開の「情熱ナポリタン」も食べたくなった!
    この後の作品が出ていないようだけど、シリーズはこれで終わりなのだろうか?

  • シリーズ第三弾。

    「ねこみち横丁」振興会の管理人をしながら脚本家を目指す宇藤君。コンクール応募の為の原稿を書き上げて、昔の同級生に読んでもらったりしている最中、BAR追分に居合わせた売れっ子劇作家にその原稿を読んでもらう事に・・・。

    今回も美味しい料理が盛り沢山の連作四話でお送りする本書。全体を通して、宇藤君の進路といいますか、人生の岐路に立たされた彼の葛藤を軸にしつつ、BAR追分を訪れる人々の物語が絡んでくる展開です。
    個人的に第三話「蜜柑の子」が好きでした。特にラストで柊君が長距離バスの窓からメロンパンの入った袋を宇藤君に投げるシーンが印象的で、この場面を芥川龍之介の『蜜柑』とリンクさせてくるところが心憎いですね。
    第四話の終盤で、今後の“決断”をする宇藤君ですが、“物書き”としてやっていくつもりなら、もうちょい本を読んでおこうね・・・と、老婆心ながら思った次第です。

  • シリーズ三作目。今作は、宇藤くんの葛藤や成長を中心にストーリーが進んでいく。出てくる料理も、自分へのごほうびや、自分を鼓舞したいときに食べるご飯がメイン。いろんな人の”とっておき”をお裾分けしてもらえた気がする。「蜜柑の子」のラストには、思わずうるっときた。

    いいところで終わったので、これから宇藤くんやモモちゃん、伊藤くんがどうなるのか気になる!伊吹有喜先生、シリーズ四作目待っています……!

  • シリーズ第三作。宇藤君の分岐点、追分。本作はほっこり感が少な目。

  • 2023.3.5 読了。
    「BAR追分」シリーズ第3弾。4編収録。

    主人公の宇藤輝良は相変わらずコンクールに応募するシナリオを書いていて脚本家としてはまだ仕事をしていないがだんだんと周りから必要とされてきている感じであと数ヶ月でコンクール応募締切とあったので続編があると嬉しいなと思う。
    今作はお酒の話題も出てきたがバール追分のももちゃんがあれこれと工夫し作る料理が美味しそうだったし、彼女にも過去何か抱えるものがあったようなのでこれから明らかにされる作品を読んでみたい。
    「人生の分岐点を追分という」という文章ひとつで作品がグッと深まったし、ももちゃんの言う「いつまでも続かない」という言葉も深い。

  • 宇藤くんの人生の転換期。彼の選択は私は良かったと思う。彼はちょっと物書きを目指すにしては知らなさすぎると思うし、見ていないと思う。柊くんの話はとても良かったけれど、そう簡単に子供を預かれる器量が宇藤くんにあると思えず、彼に色々違和感を抱く自分に気付いてしまった3作目でした。桃ちゃんは相変わらず可愛いし、純くんも気になる存在。宇藤くんを取り巻く人達と、お料理の描写がとても美味しそうなので、もう少し追いかけたいです。

  • 今回は料理より少々青臭い宇藤君の葛藤がメインかな。
    でも、多くの人が感じると思うけど真の主役は柊君。
    彼が少しずむ心を開く様子はとても微笑ましい。

  • 白米、カレー、ナポリタンーー。美味しいー。
    デビイ以外の猫たちも、ちょろりと登場。キナコかわいい。
    追分から、各々の道へ向かう。柊くんかわいかったなぁ。ママ・お祖母ちゃんと楽しく過ごして欲しい。

著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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