金曜日の本屋さん 秋とポタージュ (ハルキ文庫 な 17-3)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 611
感想 : 73
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  • / ISBN・EAN: 9784758441124

感想・レビュー・書評

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  • 本を通して日常の謎を解くハートフルミステリーですね。
    「金曜の本屋さん」の三冊目です。
    実は、三冊目を飛ばして、四冊目を読んでしまいました。
    ですから、この本は番外編みたいな感じて読みました。
    反れでも十分楽しめるのが良いですね。
    四話の連作短編です。
    四話の内、未読は二話の「ノルウェーの森」だけでしたので、本の内容とオーバーラップしながら、楽しめました。
    成長物語でもあるのですが、その辺りも噛み締めながら、
    「金曜堂」の仲間と、悩みを抱えて訪れる人々の人間模様、
    心に響くふれあいを感じながら読み進めました。
    名取さんいつもの人間の内面を表に導く手法に、癒されながら、心地よく謎解きを見つめるように読み進めるのです。
    シリーズは完了して、残念ですが、他の作品で名取さんに出会えるのが楽しみですね。

  • 「金曜日の本屋さん」。シリーズ3作目。
    春から「読みたい本が見つかる本屋」の<金曜堂>でアルバイトを始めた大学生の僕こと史弥も、夏を経て秋になり気になる店長の槇乃さんとの仲もちょっとだけ進展が…。
    槙乃さんと仕事で二人きりで電車で東京に行っちゃったり。
    この本は「秋とポタージュ」という副題がついていますが、何度か出てくるポタージュスープと添えの料理が美味しそうで秋に読みたかったと思うことしきりです。
    第4話に出てくる『ハルさん』は未読なので読んでみたいと思いました。

    第1話 誰かが知ってる
    『誰も知らぬ』太宰治
    第2話 書店の森
    『ノルウエイの森』村上春樹
    第3話 自分の歳月くらい
    『自分の感受性くらい』『歳月』茨木のり子
    第4話 カイさん
    『ハルさん』藤野恵美


    第3話が最も秀逸なストーリーのような気がしました。
    以下ネタバレしているのでご注意を。

    第3話 自分の歳月くらい
    <金曜堂>に母の再婚により名前がダザイオサム(太宰士おさむ)になってしまった一人暮らしの青年がやってきます。
    太宰はライトノベルを読むことが娯楽の範囲を超えて生活のすべてになっています。
    そこへヤスさんが動物病院で知り合った太宰の母親の実彩子が足の骨を折って入院したことを知らせ、太宰と僕こと史弥が病院へ急行します。
    太宰の実家に実彩子の荷物を取りに行くと、僕は本棚に茨木のり子の詩集『歳月』があるのを見つけます。
    それを知った息子の太宰は母の再婚に反感を示していて「だからこそ、読みたくなかったんだ。俺は三次元の女は苦手なの。生身すぎて、ましてそこに母親の一面が重なってくるなんて地獄だよ」と言って逃げようとしますが、ちょうど<金曜堂>では詩集のフェアを開催していて槙乃さんは太宰にとある助言をします。
    自分の心を見つめ直した太宰はその後『歳月』を買いに<金曜堂>を訪れます。


    『歳月は』再婚をして、また十五年で夫を亡くしてしまった実彩子さんにとって本当に必要な詩集だったということがよくわかるお話でした。
    『歳月』はとても淋しい夢をみているかのような詩集だったと記憶していますが、再読してみようと思いました。

    • りまのさん
      暑さに、気をつけて。どうか。
      暑さに、気をつけて。どうか。
      2020/08/04
    • まことさん
      はい。行ってきます!
      はい。行ってきます!
      2020/08/04
    • りまのさん
      行ってらっしゃい。♫
      行ってらっしゃい。♫
      2020/08/04
  • 今さら気がついたことだけど、装丁には登場する本が描かれていたのか。ノルウェイの森は読んだことないがよく見かける。
    ハルさんは思わず画像検索した。単行本から文庫本になるときガラリとデザインが変わるものもあるからね。

    今回は親子の話が多く、特に歳月の話が良かった。
    お互い素直に慣れずすれ違っていた関係が、フリーパスを使って解決したし、スープのくだりの話もなるほどね、と思った。

    そして徐々に縮まる倉井くんと槇乃さんの関係も気になる!
    次の巻で進展があることを期待する。

  • シリーズ第3弾。
    小さな駅ナカ書店「金曜堂」で働く仲間たち。読みたい本を求めてそこへ訪れる、様々な事情や想いを抱く人たち。本を通して人との出会いや繋がりが描かれる。
    魅力的な登場人物たちは変わらず。倉井くんの恋の行方も気になりつつ読み進めた。読後は心がポカポカして胸がいっぱいに。
    心の内に秘めた想い。すれ違った関係を修復するかのように、本が代弁してくれる。様々な家族のあり方、生き方を肯定してくれる。本の持つ力ってすごい。
    私にとっては「金曜日の本屋さん」が特別な本。きっと、読み返すたびに、ここで出会った人たちのことを思い出すから。本について語り合える仲間がいるって幸せだなぁって思わせてくれた。この気持ちはずっと大切にしたいです。

    • 松子さん
      季節に合わせて読むって素敵だねぇ〜♡
      とっても良い考え!

      本当だね、ここで読書仲間に出会えて、しかも一緒に共感したり感動したり、宝物のよう...
      季節に合わせて読むって素敵だねぇ〜♡
      とっても良い考え!

      本当だね、ここで読書仲間に出会えて、しかも一緒に共感したり感動したり、宝物のような場所だよね。
      ひろとフォローしあった日のこと、とってもよく覚えてる。
      たまたま同じタイミングでお互いの本棚のぞいていて、お互いのレビューにイイねしあってたんだよね♪
      その時からずっとお友達でいてくれて、
      こちらこそありがとうだよ!(^^)
      2022/11/26
    • ひろさん
      私も昨日のことのように覚えてるよ~♪あの頃は返信の仕方もよく分からなくて、あたふたしてたなぁ(笑)
      まつ、これからも末永くよろしくね(*´˘...
      私も昨日のことのように覚えてるよ~♪あの頃は返信の仕方もよく分からなくて、あたふたしてたなぁ(笑)
      まつ、これからも末永くよろしくね(*´˘`*)
      2022/11/27
    • 松子さん
      ひろ、おはよ(^^)
      ふふ、あたふたしてただなんて、全然気付かなかったぁー
      ひろ、こちらこそ末永くよろしくお願いします
      (*´∀`*)
      ひろ、おはよ(^^)
      ふふ、あたふたしてただなんて、全然気付かなかったぁー
      ひろ、こちらこそ末永くよろしくお願いします
      (*´∀`*)
      2022/11/27
  • 東京とうどん県を3往復。
    疲れた…脳が心が身体が癒しを求めてる…
    そうだ、ヤスコさんに教えてもらった
    金曜日の本屋さんを読んで癒されよう!

    名取佐和子さんの『金曜日の本屋さん』
    全部で4巻。前回1巻を読んで大好きになり
    続きで2巻を買ったと思ったら3巻だった…。
    どうりで知らない話の流れがあると思った。

    それでも充分に癒されたぁ!
    登場人物のしぐさや言葉、
    悩んでいる人への心の寄り添い方。
    作者の名取さんの優しさや本を大切にする気持ちが
    ほんわか伝わってくる。

    全部好きだけど
    2話と3話と4話が特に好き。
    2話は
    知海書房の本店の店長、ニ茅さんと
    病床に伏す社長(主人公の父)のお話。
    二茅さんの心に秘めた思いと、
    2人の絆、信頼関係。
    結婚せずに仕事一筋の二茅さんの人生と、
    心の真っ直ぐさがとても美しい。

    3、4話は家族のお話。
    家族には色々な形があっていい!
    色々な生き方があっていいんだよなって
    この二つのお話を読んでいて思う。
    大切なことは一つ一つゆっくりでも
    後回しでもいいから、その時々に出てくる
    課題に向き合って挑戦してみることなんだなぁと…。

    話が進むに連れて
    主人公(知海書房)の1人息子倉井くんが
    本や登場人物に出会い、疑問に思い
    自問自答し、仲間に気付かされながら
    成長していく姿にも目が離せない。

    金曜日の本屋さん、充分に癒されました‼︎
    2巻探しにいこっ!

    • 松子さん
      ヤスコ、年末の忙しい時にごめんね!
      年末のご挨拶とお礼を…と思ってコメントしました(^^)

      今年ブクログを始めたきっかけは
      大沢在昌さんの...
      ヤスコ、年末の忙しい時にごめんね!
      年末のご挨拶とお礼を…と思ってコメントしました(^^)

      今年ブクログを始めたきっかけは
      大沢在昌さんの作品の感動の共有をしたい!&本好きな方とお話ししてみたいという気持ちが膨らんだからやったんよ。
      周りには本を読む人があまりおらんくてね(涙)

      ヤスコとコメントするようになって
      楽しいのと、親近感と、本棚見ると見たことの無い本が沢山あってワクワクするのと
      色々な気持ちで一杯♫楽しい!
      ヤスコ、ありがとう!大好き!
      そして来年もどうぞお願いしまっす(^^)
      忙しい時にごめんね。
      コメントのお返事不要やけんね!
      良い年末年始を〜(^^)
      2021/12/31
    • ヤスコ。さん
      松子、こちらこそ、楽しい時間をありがとう!

      松子とは、そうなのそうなの!と共感できることがいっぱいあって
      なんだか楽しかった!
      本が好きな...
      松子、こちらこそ、楽しい時間をありがとう!

      松子とは、そうなのそうなの!と共感できることがいっぱいあって
      なんだか楽しかった!
      本が好きな人はこの世に沢山いても、好みが近いとか、そういう人と出会えるってなかなかないよね。
      ほんと、嬉しい。(私も佐江さん好き(笑))

      私の本棚は同じ本を買ったり借りたりしないように、ひとまず登録!って思って始めてたんだけど、
      公開にして、自分からコメントして…と行動に移してみてよかった。
      松子に出会えたからね‼
      最高の一年だった。

      松子、大好き!
      私の故郷は『晴れの国』で、今は『おしい』です
      きっと来年は出会えるのではないか?
      なんて思っています
      お互いのこの世界を壊さないように、続けられるように、楽しい時間を共有したいと思っています!
      (深い意味はない!)
      ほな、松子、また来年ね!
      良いお年を!
      2021/12/31
    • 松子さん
      やすこぅ、
      寒中見舞い申し上げます。
      本年もどうぞお願い致します(^^)
      去年身内に不幸があったのでご挨拶遅くなりごめんね。

      年末にヤスコ...
      やすこぅ、
      寒中見舞い申し上げます。
      本年もどうぞお願い致します(^^)
      去年身内に不幸があったのでご挨拶遅くなりごめんね。

      年末にヤスコからもらったコメント
      すっごい嬉しかった!ありがとう!
      私も全く同じ気持ちです。
      ヤスコとの時間を大切に続けられるよう、
      そして楽しい時間を共有していきたいです!
      そうそう!『晴れの国』わからんかったから
      検索したんよ!
      なんと、お向かいさん♫
      うどん県帰る時連絡するー!

      そして…ヤスコも佐江さん好きとは‼︎(涙)
      佐江さんいいよね!大好きなんだよー!
      狩人シリーズ、色々魅力的な登場人物出てくるけど、やっぱり佐江さんなんだよなぁ(^^)
      お腹出てても、ネクタイにシミがついてても気にならんのよ。
      佐江さんの芯の強さが好き!
      はぁ、長くなってしまった。ごめんちゃい。

      最後に…今年も楽しいブックライフを
      一緒におくりましょー!!(^^)
      2022/01/07
  • シリーズ第3弾。
    〈金曜堂〉のメンバーの立ち位置も安定してきて安心して読める。
    好きな本について仕事を越えて熱くなり、本の海で溺れそうになっているお客様に浮き輪を投げてくれる〈金曜堂〉のメンバーと本の話がしたくなった。

    今回は友達や夫婦、親子といった人と人との関係についてしみじみと考えさせられた。
    特に最後に紹介された『ハルさん』は一度読んでみたい。
    「子育ての最終目標は、自立。ひとりで生きていく力をつけさせること」は子育て真っ最中の私にとってズシリとくる言葉。
    子供がやりたいことを見つけて独り立ちする時、私もそっと応援しながら背中を押してあげたい。

    秋の夜長、温かくて美味しいポタージュを飲みながらまったりと好きな本を読む。
    なんて贅沢な一時…。
    「読書は人の心の映し鏡」
    この言葉を胸に今日も読書しよう。

  • 親子だったり、チームメイトだったり、同じ目標に向かう仕事仲間(上司と部下)だったり、町の本屋と大型書店だったり。今回は人と人との繋がりが特に大切に描かれていたと思います。それは家庭環境が複雑な倉井くんにも何らかの影響を及ぼしたようです。お父さんとの関係、三人のお母さんとの関係、知海書房との関係、そして金曜堂とのこれから。・・・と、店長さんへの恋心もかな。
    人と人の間を取り持つのは本です。そこからお互いが顔を合わせ話をする事で、相手のことを理解し認め合い赦しあうことが出来るのは、人の想いの力があるからこそでしょう。また本は、自分の知らない自分に気づくきっかけを与えてくれるものでもあるようです。一つの文章、一編の詩、その言葉のひとつひとつに気づかない振りをしていた自分自身というものを重ね合わせることが出来る。それも心ある人だからでしょうね。本が愛おしくなる物語です。

  • シリーズ3作目。
    今回主に登場するのは以下の4冊。

    ◉太宰治「女生徒」より「誰も知らぬ」
    ◉村上春樹(ノルウェイの森」
    ◉茨木のり子「歳月」「自分の感受性くらい」
    ◉藤野恵美「ハルさん」

    ・本は生き物。同じ作家が同じテーマを書いても執筆時期や精神状態で全く違う作品になる。
    ・この世界には弱いものがいる。懸命に頑張っても強いものと同じことはできない。人も書店も、できることしかできない。
    ・たいていの人間関係における「二人のコック」はポタージュを仕上げる。

  • シリーズ3作目。
    本に出てくるご飯を食べさせてくれる本屋さんの中の喫茶店なんて最高!
    そんなお店が近くにあったらいいな。
    ネットで本が買える時代、リアル書店が生き残っていくのは難しいとは思うけど、リアル書店ならではの企画や、リアル書店でないと出会えない本ってやっぱりあると思うから、お気に入りの本屋さんは存続して欲しい。
    電子書籍ではなくやっぱり紙の本が好きだから。
    本そのものが好きだから。
    紙の本だからこそ愛着が湧くし、愛読書だと言えるのだと思うから。

  • シリーズ3作目。
    今作は家族の再生をテーマにした話が多かった気がする。
    前作で「金曜堂」のメンバーの過去が明らかになり、今作では「金曜堂」に訪れる訳アリの人々の力になっていくメンバーの様子が描かれる。
    個人的には、主人公・史弥の父とその父が経営する書店で働く二茅さんの過去が描かれる「書店の森」が一番好き。
    「ノルウェーの森」がメインで描かれており、学生時代、大好きで、読み返すだけでは物足りなく、ペーパーバック版も読んだ記憶が鮮明に蘇った。
    「カイさん」で描かれる親子の話も心温まる。
    家族の微妙な関係を「ポタージュ」に例えてしまうところが何とも言えず、心が小さく震えるようだった。
    血のつながった親子でさえも、最初は「ポタージュ」。ましてや、他人なんて、簡単に「ポタージュ」の味になんてなれやしない。
    登場する本より、この本自体のメッセージ性が強く印象に残った。
    次作でラストは少し寂しい。

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著者プロフィール

名取 佐和子(なとり・さわこ):兵庫県生まれ、明治大学卒業。ゲーム会社勤務の後に独立し、2010年『交番の夜』で小説家デビュー。著書に『ペンギン鉄道 なくしもの係』(第5回エキナカ書店大賞受賞)シリーズ、『金曜日の本屋さん』シリーズ、『シェアハウスかざみどり』『江の島ねこもり食堂』『逃がし屋トナカイ』『寄席わらしの晩ごはん』『七里ヶ浜の姉妹』『ひねもすなむなむ』『図書室のはこぶね』(京都府私立学校図書館協議会司書部会「中高生におすすめする司書のイチオシ本2022年度版」第6位、「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2022」第8位、うつのみや大賞2023第4位)ほか多数。

「2023年 『文庫旅館で待つ本は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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