台所のラジオ (ハルキ文庫 よ 10-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 972
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758441148

感想・レビュー・書評

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  • 美味しいものと美味しいお店が連なった短編集。
    そして、どのお話にもラジオがさりげなく出てきて、ほっこりさせてくれる。
    趣はそれぞれ違うけれど、どれも人を笑顔にしてくれるようなお話ばかりだった。
    吉田さんの遊び心が満載で、ちょっと聞き慣れない職業が出てきたり、いろんな仕掛けがあって楽しい。
    さくっと気軽に読めるものばかりです。
    特に「マリオ・コーヒー年代記」がよかった。

  • 12篇からなる短編集。
    共通するのは、流れるラジオと美味しそうな食事。
    物語が終わらせているようで終わらせない。終わりの余韻に浸る。
    そして食べ物の描写が良い。ビフテキ、紙カツにそそられる。
    日常にさらりとラジオを流す暮らし。憧れる。。。

  • 連作短編集。登場人物はほぼ被っていないけれど共通点はタイトル通りみんなラジオを聞いているところ。吉田篤弘には『小さな男*静かな声』という作品がありますが、あの「静かな声」の静香さんの番組かなと思いながら読みました。

    あと共通点は、食べ物が必ず出てくるところ。紙カツ、きつねうどん、生姜焼き定食、ヨイッパリベーカリーのパン、子羊のロースト、ビフテキ、ミルクコーヒー etc...。一番食べたかったのはアリスの生姜焼き定食。美味しそう。

    変な職業の登場人物が多いのも吉田篤弘らしい。お気に入りは「夜間押ボタン式信号機」。「毛玉姫」の女友達と「さくらと海苔巻き」の死んだ彼氏は、主人公は腹を立てていないからスルーしそうになるけど結構ひどい人だった気がする。

    ※収録作品
    紙カツと黒ソース/目薬と棒パン/さくらと海苔巻き/油揚げと架空旅行/明日、世界が終わるとしたら/マリオ・コーヒー年代記/毛玉姫/夜間押ボタン式信号機/<十時軒>のアリス/いつか、宙返りするまで/シュロの休息/最終回の彼女

  • あとがきがなにより素敵だった。
    本編である12の短編も好きだけれど。
    起承転結の起承あるいは起承転を描いた話です。

    余談だけど、短編集の感想を書くときが一番難しい。どの話について書けばいいかわからないので。

  • 台所にラジオ、、、本を読みはじめてふと、わが家も台所にラジオを置いていたことに気付く。
    朝のコーヒーを入れる時、ご飯の支度の時、ラジオから流れるニュースや音楽を聞いている。

    台所とラジオに関連した様々なストーリーがあり、心地よく読み進めることができた。
    妻が好きな本を読んでみようと思ってなんとなく手に取ったが、普段読まない分野の本を読めて新鮮であった。

  • 不思議な世界観だったー
    前半は普通に受け入れられる話が多かったけど、後半は現実味のない感覚。
    でもこの空気感、好きなんですよね。

    『マリオ・コーヒー年代記』が好きです

  • 大きなことはなにも起きない。ここから物語が動いていく…というところで結びがくる吉田篤弘さんのこの感じが、とても心地いい。

    よく「滋味深い作家」と紹介されることが多いように感じますが、本当にそのとおりだなぁと思います。

    休日、起きてひととおり家の中のことを済ませた10時過ぎごろに吉田さんの本を読んで二度寝したい。
    夕暮れどき、コーヒーなどで一息つきながら吉田さんの本を読んで夜ごはんの支度をしたい。

    なにも起きないから、なんでもない日常に本当によく馴染む。
    ちょうどよく寄り添い癒してくれる、そんな作家さんと作品です。

  • 決して主役ではない。台所のラジオは静かに語りかける。
    女性と男性が交互に主役になり、そしてその人たちがどうもとてもユニークなのです。
    それがまたとてもいい味を出していて、出てくる料理もおいしそうで、最後まで楽しく読みました。

    この空気、とても良かったです。

  • 吉田さんの本を読んだ時にしか感じられないなぞの懐かしさ、切なさが今回もあった。胸がぎゅっとなるんだけど心地よい、これはなんだろう。語彙力がなさすぎてもどかしい。
    あとがき最後の一文から「うかんむりのこども」を少しずつ読み進めようかなと思い立つ。

  • 紙カツ美味しそう。ヨイッパリベーカリー行ってみたい。
    吉田さんの描く世界が好きー。

著者プロフィール

1962年、東京生まれ。小説を執筆しつつ、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作、装丁の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂とぼく』『雲と鉛筆』 (いずれもちくまプリマー新書)、『つむじ風食堂の夜』(ちくま文庫)、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナリザの背中』(中公文庫)など著書多数。

「2022年 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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