単語の構造の秘密: 日英語の造語法を探る (開拓社言語・文化選書 14)

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  • (株)開拓社
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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758925143

作品紹介・あらすじ

英語と日本語の単語に関する興味深い話をわかりやすく述べるとともに、英語と日本語の意外な共通点や異文化理解に関わることなども(日米の運転免許証の共通点と相違点、アメリカの自動車のナンバープレートのさまざまなデザインなど)、カラー写真や4コマ漫画も利用して、巧みな語り口で伝える。身近な表現(リンスインシャンプーなど)を掘り下げて、日英語の違いを明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 造語法の本であるが、半分はアクセントの話。それくらいアクセントと造語の関係が密接だと言うことを知った。
    一冊の本で、少なくとも2つ3つの新発見があるのが嬉しい。この本では、以下が新鮮であった。
    右側主要部の規則:複合語は右側に意味の中心を持つことが多い。品詞もそれに従う。このルールがわかるだけで、未知だった単語「Bottle-green」が”暗緑色をした”という形容詞であることが予想できる。
    複合語強勢と意味関係:
    English teacherは「英国の先生」「英語の先生」の2つの解釈があるが、アクセントの違いではっきり、それが示される。

    やはり、普段から聞いて話さなければ、習得はありえない。

  •  主に単語が派生したり、他の単語とくっついて複合語を形成したりする際のメカニズムを解説したもので、形態論の分野に属する話。英語の勉強好きには面白い話も多い。
     日本語と対照させられているところが特徴らしいが、おれが日本語学に疎いのか何なのか分からないけれど、あんまり知的に面白いと思った部分もなくて、残念だった(おれが)。
     受験英語では「名前動後」と教えられる単語は「近似転換」(approximate conversion)というらしい(p.97)。その例として、permit(許可証)、combine(農耕機械のコンバイン)、produce(農産物)いうのは知らなかった。そしてこれらは「強勢の位置の変化を起こす場合には、しばしば意味も特殊化する」(pp.97-8)というのは思い至らなかったので、面白かった。
     あと「OED2によるmicrowavableという単語の形成過程は?」(pp.78-82)はとても面白かった。wave+microにovenが付いて、ovenが取れて、動詞になって、ableがつく、というのを樹形図で示してあって、すごい。「現代英語の共時的な研究においても、特に逆形成以外のご形成の仕組み(派生、複合、品詞転換など)を考察するときにおいても、OED2をもっと利用して研究することは大切である」(p.82)というのは、大学生の時に聞いておけばもっと面白いことを思いついたかもしれない、とか思ってしまった。
     それから例えばladies and gentlemenがgentlemen and ladiesにならない理由は、「強弱」とか「強弱弱」というリズムが「ゲルマン語派の特徴」(p.121)というのも面白い。英語史を勉強した時こんな話聞いたっけ?と思った。おれが忘れているだけなのか。ちなみにロマンス語派はこれとは対照的に「語末に近い音節にアクセントが置かれる」らしい。
     否定辞のunとinは、「un-が基体に付加した場合には派生語全体の意味は合成的に決まるのに対して、in-が不可した場合には、ほとんど合成的に決まるが、そうはならない例外的な場合がある」(p.134)というのは、そう整理したことはないけれど、言われてみれば納得だった。つまり、incorrect, independent, insignificant, insufficientに対して、infamous, innocuous, invaluableなど。
     もう一つ「-ableという接尾辞で終わる形容詞の圧倒的多数が『~されることができる』という受身の意味で使われる」(p.139)というのも発見だった。だから「~首相にはガバナビリティがない」(p.138)という言葉は正しくない、らしい。うっかり日本語の使用に引きずられるところだった。あくまで「『統治される』国民や国に関して使われる表現であり、『統治する』首相などに使われる表現ではない」(p.139)ということらしい。
     途中で雑談のようなコーナーも挟まっていて読みやすく、英語の勉強好きには楽しい本だと思うが、ひたすら単語の話が続くので、飽きっぽい人には向かない。(17/03)

  • 文を構成する基本的な要素として単語があります。本書は、こうした私たちが日常的に使っている単語をじっくりと観察し、それらが作り出される仕組みや、解釈される仕組みを分かりやすく解説するものです。普段何気なく使っている単語をよくよく観察してみると、そこには不思議なことがたくさん潜んでいます。例えば、名詞と名詞をくっつけて作った「ミツバチ」と「ハチミツ」を比べてみましょう。どちらの単語も「ハチ(蜂)」と「ミツ(蜜)」という名詞が使われています。違うのは二つの順番だけですが、その解釈は全く違っています。すぐわかるように「ミツバチ」は蜂の一種を意味しており、「ハチミツ」は食べ物を問題にしています。こうした事例から名詞と名詞をつなげて作った単語では右側に来る名詞が単語全体の中心的な意味として解釈されると言えます。他にも「通学 バス」と「バス通学」、「包み紙」と「紙包み」などでも同じようなことが言えそうです。本書ではこのように私たちが実際に使っている単語を観察することで、一定の規則性を導き出し、さらに一歩進んで、なぜそうした規則が存在するのかということまで掘り下げて考えていきます。言語学の初心者でもすらすら読むことができ、単語の奥深さを味わうことができる一冊と言えます。
    (ラーニング・アドバイザー/人社 IKARASHI)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1358685

  • 日本語では母音一つで単語を構成するものがいくつかあるが、例えば、胃 、英語にはない。定冠詞の a くらい。

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