性器の進化論――生殖器が語る愛のかたち(DOJIN選書029) (DOJIN選書 29)

著者 :
  • 化学同人
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759813296

作品紹介・あらすじ

ヒトの性現象を、生殖器、性生理、性行動、性交渉、雄と雌の関係性が密接に関連し合った複合体としてとらえたとき、性や愛をどう描き出すことができるのか。"生殖器の進化"という切り口によって、系統的にヒトと近縁な動物たちとの比較分析をし、生殖器と密接に関連する要素を総合的に考察しながら、性複合体としてのヒトの性のありさまを浮き彫りにする。繁殖にまつわる性現象にとどまらず、愛も理解するヒントに満ちた野心作。

感想・レビュー・書評

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  • 平易な文章で、内容も面白かったです。

  • ヒトの生殖器官について、詳しい生物学的機能などについて要点をまとめた本

    【こんな人におすすめ】
    生殖器官についての科学的な知識に興味がある人

  • ふむ

  •  ヒトの性愛行動、繁殖行動が、他の類人猿、霊長類、哺乳類、動物とどのように異なり、どのように同じかを、ビーリャ(ボノボ,ピグミーチンパンジー)など霊長類研究者である榎本知郎が解いた本。
     ヒトの妊娠成功率が10%前後なのは、他の哺乳類で類をみない低さであり、生殖管内の淘汰が非常に厳しい。など非常にかんがえさせられる。

    また、性愛行動における包容やキスなどは、ヒト固有で、赤ちゃんとのコミュニケーションを模倣しており、これが他の霊長類とヒトを分けているのではないか?などの主張が、デズモンド・モリスなど西洋の霊長類研究者/人類学研究者と違った分析なのが面白い。

     他にも、チンパンジーのペニスにはXXがあったり、メスの尿道はxxxしたり、第三性調という概念がある。など、知らなかったことが沢山。

  • 第一章 性を決めるもの
    第二章 繁殖をめぐる内なる戦い 雄の内生殖器
    第三章 いかに良い遺伝子を獲得するか メスの内生殖器
    第四章 ヒトのペニスはなぜ突出しているか 雄の外生殖器
    第五章 性信号を発しているか? 雌の外生殖器
    第六章 愛はなぜうまれたか 生殖器の進化と人間の性

    愛はかけがえのない感情であり、誰もが愛の秘密を知りたがっている。だが愛は、因果関係やメカニズムを研究する現在の科学では捉えきれない。愛を理解するには、どうしたらいいだろう?愛の歴史、愛の進化の歴史から探ってみたらどうだろう?愛は性現象のひとつの現れ、または性現象は愛の表現の一つだ。
    性現象は繁殖以上に複雑だ。愛や結婚、繁殖に留まらず、生殖器の構造や機能、性行動、男女の関係のあり方などのすべてを含んだ複合体だ。個別に取り出して分析しても、性についての理解は深まらない。
    そして、性とは何か、という問いは、人とは何か、という問いにつながる。

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    http://oriduru1970.blog.fc2.com/blog-entry-1669.html トリビア
    http://oriduru1970.blog.fc2.com/blog-entry-1670.html 適応度と出生率


    まあまあ面白い。関心することも多くて、疑問を持つどころか、なるほどなるほどって頷きながら読んでいた。でも、生物学的に選ぶ権利を持っているのは女性だけれど、日本社会で生まれ育った男性として、男性の優位性を信じていたいという視点が見え隠れして、少し薄気味悪かった。

  • 興奮して勃起するのはペニスやクリトリス、乳首はもちろんのことながら、乳房、小陰唇さらに鼻の中の粘膜まで膨らむのだそうだ。そのため、鼻息が荒くなったり、マンガなどでよくあるように興奮して鼻血を出す男子がいたりする、ということらしい。ペニスの形、精子の形など、生物によって大きく異なる。ヒトのペニスの亀頭冠の切れ込みは、先に送り込まれていた別のオスの精子をかき出すためにあるのだとか。動物によっては別のオスの精子をブロックするために、メスの膣内で精液が固まるものもいるらしい。ウサギの精子は卵管の中を粘液の流れに乗って卵にまでたどり着く。たくさん死ぬからたくさん産む。それに対し、ヒトの精子は粘液の流れに逆らって上っていく。そこに淘汰圧がかかっている。強い子孫を残すための策らしい。クリトリスの形もいろいろで、たとえばケナガクモザルでは5cmほどの長さがあり、ペニスよりも大きいらしい。尿道が通っているものもあれば、ヒトのようにそうでないものもある。なぜそんなに多様化したのかは謎のようだ。「精子戦争」の話など過去に読んだ話題もあったが、まだまだ知らないこと、分からないことはいっぱいである。なかなか、おおっぴらに研究できないところがつらいところかもしれない。ふだん、本を購入するときはカバーも袋もいりません、と言っているが、本書購入時はちゃんとカバーを付けてもらった。夜寝る前に少しずつ読みました。

  • 男性が、女性に選ばれるように、着飾っていくのは、実は間違っていないと思います。
    生物学的にはメスが選ぶ側、オスが選ばれる側(これは卵子と精子の数からしてそうならざるをえない)
    オス側が身なりが派手な生き物も多いが、選ばれる側ということで理にかなっている。
    だけど、人間って逆ですね。女性側が男性に選ばれるように着飾っている。

  • 淘汰は悪いものを取り除くという意味だし
    選択は良い物を選び出すという意味で
    両方の意味を含んでいる場合を何と言うかといえば
    変化とか進化とか冒険と言うのかもしれない

    生物の進化は高い方へ向かうという意味ではない
    ダーウィンが述べたように
    雄が自分の美意識で「表現」した自分の姿や造形を元にメスがオスを選ぶ場合と
    オス同士が「武力」によって決着を付けて勝ったオスがハーレムを作る場合と
    近年理解されだした精子が排卵と共に一斉にスタートして
    先を争って卵子を捜して求める「精子競争」による場合との
    三種類の淘汰方法が現在学会によって認められているらしい

    男が配偶者を平均値である歪みのない左右対称を絶対美として選ぶとしたなら
    その姿も心も固定された物になってしまい進化が起こらないことになる
    又女は通常対等感を持ち合わせた男を好むが排卵期になると闘争的な男を選ぶという
    心を除いた生存競争だけから見れば乱交が自然界における常識になる
    つまり配偶者の選択は様々な歪みを魅力や美として判断されるのだろう
    だから蓼食う虫も好き好きが成り立つ

    ダーウィンの進化論や自然淘汰説は人権論と折り合うのだろうか
    そもそも権利や義務なるものが自然界に通用するのだろうか
    責任についてはどうだろうか
    自分に対しての責任ならば意識状態によって通用するかもしれない

    つまり心が関与した状態で初めて責任(権利と義務)を意識し始める
    愛と情・精神と肉体を全体としてとらえられたときに
    やっと対等な人間関係を議論するベースができるのだろう

    人間の性には繁殖のための性行動の部分と
    一体感の確認のための性行動の部分とがある
    更に不安から逃れるために利用する陶酔的応用としての性行動もある
    ダーウィンはこのうちの繁殖の部分だけを取り上げて種の起源をまとめたのだろう

  • ヒンズーのシヴァ神の象徴はリンガ(ペニス)
    性同一障害は新生児期の脳の性分化が失敗した結果。
    猿、孔雀、牛などの礼が出ている。

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著者プロフィール

1947年 鳥取県生まれ.
[現職]東海大学医学部助教授.[専門]霊長類学,ニホンザルとボノボの行動研究に従事.
『愛の進化』どうぶつ社,1990.『サルの文化史』(共著)平凡社,1991.『人間の性はどこから来たのか』平凡社,1994.『攻撃とは何か』(翻訳)ジョン・クレーマ著,どうぶつ社,1990.『仲直り戦術』(共訳)フランス・ドゥ・ヴァール著,どうぶつ社,1993.

「1997年 『共同態』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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