DNA鑑定は万能か―その可能性と限界に迫る(DOJIN選書31)

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著者 : 赤根敦
  • 化学同人 (2010年4月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759813319

DNA鑑定は万能か―その可能性と限界に迫る(DOJIN選書31)の感想・レビュー・書評

  • DNA鑑定について、その前提となるDNAの構造や分析方法から、DNA鑑定発達の歴史、現在の主要な鑑定手法であるSTR、Y-STRやミトコンドリアDNAなどにつき、その理論と実際の鑑定方法、それぞれの問題点等につき極めて平易に解説した良書。また、広く使用されているこれらの手法のみならず、STRが使えない場合に用いられる事もあるSNPなどの方法についても(ちょっと難しいけど)触れられており、最新の知見にも触れることができる。さらに、DNA鑑定の限界について、コンタミネーションや経年劣化など極めて具体的に述べられているのもよい。

    DNA鑑定について、何となく知ってるつもりだけど、ちゃんと理解したい、という非専門家にはちょうどよい導入となるのではないか。

    個人的には、北朝鮮が拉致被害者の遺骨と称して「返還」してきたものについて、被害者とは別人のDNAだとの鑑定結果に基づく日本側の主張について、疑問を投げかけている点が極めて興味深かった。DNAは200度程度の熱で分解するそうだ。そうすると、高温で火葬された遺骨からDNAの塩基配列を検出することはまず不可能だそうだ。普通の報道に接していると、北朝鮮がまたしょうもないウソついたのかように思わされてしまうが、ことはそう単純ではなさそうだ。

    事件を報道する社会部記者なども、本書程度の知識は持っていて欲しいものだ。著者に的外れの取材をするくらいなら、半日もあれば読める本書をおすすめする。

    (2014/9/24読了)

  • 足利事件の再審以来、気になっていたDNA鑑定だが、この本、チェックしつつもなんやかやで先延ばしになっていた。
    わかりやすく誠実に書かれている本だと思う。

    DNA鑑定の種類や原理、実際の事件への応用など、入門書として適した構成だろう。
    1)DNAの抽出、2)PCR法によるその増幅、3)電気泳動やシークエンシングによる解析という、大まかな流れに沿って、実際の分析がどのように行われているかが述べられている。
    個人識別の基本となるSTR(Short Tandem Repeat)、父から子に伝わるY染色体、母から伝わるミトコンドリアの話など、興味深く読めた。
    ニコライ2世やマリー・アントワネットなどの歴史上の人物達の謎に迫る解析も読みごたえがある。

    有用な手段ではあるが、もちろん、「限界」もある。特に犯罪現場で採取される試料は微量であり、また不純物や犯人以外の試料の混入もあり、時に、腐敗も進んでいる。技術の進歩にしたがって感度が上がっていっても、それだけでは解決できない問題がある。

    結局のところ、「万能」とするかどうかは使い方次第なのだろう。
    実際の鑑定部分は専門家にゆだねるしかないわけだが、市民の立場でどう捉えていったらよいかの一助となる本だろう。

    *末尾で、筆者がアナログ情報をデジタル情報に置き換える危険性について述べているのは、本当にそうだろうなと思う。裁判員裁判制度が始まって、陪審になる可能性もあるわけで、心に留めておきたい。

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DNA鑑定は万能か―その可能性と限界に迫る(DOJIN選書31)の作品紹介

いわゆる「足利事件」におけるDNA鑑定では、なにが問題だったのか。いまDNA鑑定の信頼性は大きくゆらいでいるのか。1990年代から、犯罪捜査にも本格的に導入されたDNA鑑定。本書では、DNAの分析方法を丁寧に解説しながらその能力を探るとともに、それ自体がはらむ"弱点"に迫る。20年以上DNA鑑定に携わってきた研究者の冷徹な分析によって明らかとなる、大いなる可能性と避けることのできない限界。

DNA鑑定は万能か―その可能性と限界に迫る(DOJIN選書31)はこんな本です

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